『ハズレ』召喚者『氣功術師』ののんびり異世界旅行!!

メガネの助

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呪詛を全力で解呪しました。

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 あまりにも強力な呪詛を受けていた上皇后マリーヌ殿下の解呪には、リョータ1人では少し無理があった。

「皆んな。協力してくれ」
「「「「「「『我らが旦那様(お兄ちゃん・主人)の御心のままに』」」」」」」

 リル達が【聖域の箱庭サンクチュアリ】を使って、部屋中の瘴気を浄化すると、リョータは【神々の慈悲】を使って解呪を試みる。
 が、ほんの少しだけしか症状が良くならないので、人前では使わないと決めていた最上級解呪魔法の【完全解呪パーフェクト・ディスペル】を使った。
 瞬間、リョータの魔力と闘氣がごっそりと持っていかれ、リョータの両手足と身体がガクガクと震え出して、両膝をついた。
 リョータはそれでも続けた。
 自分の気力を振り絞って耐えながら。
 両手から放たれる金色の粒子がマリーヌ上皇后殿下の身体を優しく包み込む事、実に1分間の刹那。リョータにしてみれば、その1分が10分にも1時間にも思える程の永遠の刹那を経た時、上皇后殿下の口から禍々しくてドス黒い瘴気が吐き出された。
 それが上皇后殿下の身体を蝕んでいた呪詛だった。

「逃すな!!」
「【聖なる捕手ホーリー・バインド】」

 ティア達が聖属性拘束魔法で瘴気を捕らえたので、リョータは間髪入れずに紫水晶を取り出して、瘴気に向かって投げつけた。
 すると、ドス黒い瘴気が紫水晶に吸い込まれ、紫水晶が真っ黒な、禍々しい暗黒よりも暗い闇の色に変わった。
 リョータは震える手で、その闇色の水晶を取って、陛下達に見せた。

「これが上皇后殿下にかけられた呪詛です。この呪詛は封印しました。もう大丈夫でしょう」

 リョータの言葉の通りに、上皇后殿下の顔は痩せこけてはいたが、それでも生気に満ち溢れていた。
 紫色だった唇は淡い桃色に、目の下の隈は綺麗さっぱりと消え去っていた。さすがに5年間も呪詛に蝕まれていたので身体は痩せ細ってはいるが、息遣いは落ち着いていた。

「リョータ様…母は…?」
「もう大丈夫ですよ」

 その時、

「ッ…ド…フレ…ッド…」

 上皇后殿下の口からフレデリック皇帝陛下を呼ぶ声がした。

「は、母上…?」

 マリーヌ上皇后殿下の瞼が開き、その瞳がフレデリック皇帝陛下の顔を捉えた。

「フレッド…私は…?」
「助かったのですよ、母上。助かったのです!!」
「助かっ、た?私が…?」
「はい!はい!そうです!助かったのです!!」

 フレデリック皇帝陛下もマリーヌ上皇后殿下も手を取り合って、喜びの涙が溢れ出した。

「陛下。コレを」

 この瞬間を邪魔するのは些か野暮だとは思ったが、この小瓶を渡さないと後にも先にも進めないので、仕方なかった。

「リョータ様。この小瓶は?ポーションですか?」
「ポーションと言えばポーションだが、それは体力や魔力の回復ポーションではなく、生命力を回復させるポーションです。コレを飲めば完全に治りますよ」
「生命力を」

 フレデリック皇帝陛下の喉がゴクリと鳴った。

「フレッド。こちらの方はどなた?」
「母上。こちらの御方様は亜神様であり、[帝国騎士]の称号を持つ、リョータ=ベルツ=シュルフ卿にあらせられます」
「あ、亜神、様…神様、ですの?」

 マリーヌ上皇后殿下はギョッとして起き上がろうとしたのを、リョータが手で制した。

「神と言っても下っ端も下っ端。神々との謁見も許されていない身分ですよ」

 苦い顔で笑い飛ばす。
 それでも神は神。
 マリーヌ上皇后殿下は両手を組んで拝み出した。

「この度は私の身にかけられた呪詛を祓って下さいましたる事、誠に有り難う存じます。貴方様は私の命の恩人。何かあれば私に仰って下さいませ。微力ではありますが、私で出来る事ならば全力を尽くします故」
「分かりました。その時はお願いします」

 リョータはニコニコ笑顔を浮かべた。

「お兄ちゃん。お腹空いたの。ペコペコなの」

 ティアが上着の裾を引っ張って、自分のお腹を押さえていた。
 ティアだけではなく、リル達も空腹を訴えてきた。

「皆んな頑張ったからね。今日はグレートタイラントタートルの柚子ポン鍋にしようかな」

 リル達が歓声を上げた。

「上皇后殿下もご一緒にいかがですか?グレートタイラントタートルの肉は滋養強壮に満ちていますので、お身体に大変良いですよ」
「グレートタイラントタートルですか。懐かしいですね。私の主人が存命中に一度だけ食した事がありましがたが、その美味しさは今でもはっきりと覚えております。亜神様「リョータ」はい。リョータ様のお言葉に甘えて、御相伴させていただきます」

 マリーヌ上皇后殿下の優しい笑顔が戻った事に喜んでいた陛下達も一緒に食する事になった。
 リョータは宰相をそっと手招きして、闇色の水晶玉を渡して、耳元で何かを囁くと、宰相は小さく頷いて水晶玉をポケットに仕舞った。
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