ゆらり、揺れる

秋臣

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走光性

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それからというもの、毎日ではないが四ツ木くんは俺の退社時間を待つようになった。
腕を掴んだり強引なことはしない。
ただ、
「お疲れ様です」
と声をかけるだけだ。

おかしな子だな。


そんな時、連絡が入る。
画面の名前を見て、おっ……と思うくらいには久しぶりだった。

会社帰りにそのまま向かう。
待ち合わせ場所にその人は既に来ていた。

「一絃さん、久しぶり!」
すばるくん、久しぶりだね」
「なんかまた渋くなってない? 一絃さん」
「老けたって言いたいのか?」
「違うよ~ そんなんじゃないって!」
「じゃあなんだよ」
「そのまんまだよ、かっこよくなってる」
「それはどうも」
「俺は? どう?」
君はいつだってキラキラしてるよ、昴くん。
でも言わない。
「ガキだな」
「ちょっと! 酷くない? 褒めてよ!」
「あはは!」


俺はゲイだ。
昔はそれなりに恋人はいたが、今は特定は作らずにいる。
昴くんとは馴染みのゲイバーで知り合い、時々こうして会っている。

昴くんの小指が俺の小指に触れる。
偶然じゃない。
触れた指が絡みつく。

「一絃さん、誘っていい?」
「最初からそのつもりじゃないのか?」
「……それなら攫う」

俺の手を掴み、ホテルへ入る。

「一絃さん……」
ドアを閉めると待てない昴くんがキスをねだる。
「少しは待てないのか?」
「待てない、スーツかっこいい……」
「だから会社帰りってことか」
「そういうこと」

待ちきれない昴くんがキスをする。
絡んだ舌と指が熱い。
昴くんの癖なのか、舌と指の動きが連動する。
舌もさることながら、指の動きがエロいなといつも思う。
「ねえ、スーツ着たままじゃダメ?」
「シワになるだろ?」
「Yシャツとネクタイはつけたままでしたい……」
「好きだな」
「好きだよ」

そう言ってスーツを脱がせると、Yシャツ姿の俺をベッドへ押し倒す。

「ヤバいよね……一絃さんって……」
「ん?」
「こんなバリタチみたいな顔してネコなんだもん」
「嫌か?」
「最高って言ってんの!」
「そうか」
そう言って笑う俺のシャツの中へ昴くんの手が伸びる。
「んっ」
「相変わらず敏感だね……」
「あっ……」
「こんな渋い男が乳首弄られて気持ち良くなってんのエロすぎかよ」
俺は焦ったくてシャツを自らたくし上げる。
昴くんの目がギラつく。
ニヤッと笑うと、乳首を口に含む。
舌で転がされると、おかしくなりそうなくらい感じてしまう。
「ふうん……」
「かわいい声出して……」
「んん……あ……」
腹の奥がゾクゾクする。
おかしくなる……気持ち良くて……もっとして欲しくて……

「んんっ!」

昴くんが下着の中にも指を滑らせる。
窪みに指を当てがい静かに沈ませる。

「あれ? 解れてる」
「……」
「ねえ、なんで解れてんの?
誰かと約束してたの?」
そんなんじゃない。
でもこのところ忙しくてご無沙汰だったから、そろそろ誰かを……昴くんを誘いたいと思っていた。
だから……

下着を脱がせ俺を全裸にすると、昴くんの指がズブズブと沈み込む。
「ダメだよ、一絃さん。
俺だけにしてって言ってるのに……」
飲み込んだ指が中で蠢く。
「やっ……あ……ダメ……」
「ダメって言いながら腰動いてんだよなあ」
「やあ……」
「ねえ、俺のものになる?」
君は俺には若すぎるよ。
「ねえってば……」
こんなおっさんじゃもったいないよ。
「答えないの? じゃあお仕置きしないとね」

くいっ
指が俺の気持ちいいところを的確に狙うう。
「ああっ!」
「反応いいね……」
「……あっ!ダメ……」
「一絃さんのダメは全然ダメじゃないんだよねえ。ね?」
そう言ってまた気持ちいいところを押してくる。
頭が真っ白になる。
気持ち良すぎて何もわからない。
もっとして……もっと……

「ねえ……すっごい腰動いてんだけどさあ、来て欲しいの?」
「あ……」
欲しい……昴くんが欲しい……
「そんなかわいい顔しないでよ……くるじゃん……」
昴くんが全裸になる。

「服着てる一絃さんの方が色気があるってなに?」
そう言いながら俺を抱きしめ、すかさずキスをする。
「熱っぽい目で見ないで……やられる……」

散々弄られたところに昴くんが入ってきた。
「ヤバい……一絃さん、ヤバすぎ……」
こっちのセリフだ……
昴くんの背中に縋り付いてしまう。
パン! パン! と腰を打ち付け奥を突く。
もう無理……イきそう……

ズルッ……と抜かれてしまう。
「あ……」
「一絃さん、上来てよ……」
昴くんは仰向けに寝ると腕を伸ばして俺を呼ぶ。
俺はシャツとネクタイをしたまま、昴くんに跨る。
「一絃さん、挿れて……」
もう待てない、早く欲しい、昴くんが欲しい……
昴くんのモノを当てがう
深く深く刺さる。

昴くんが下から突き上げる。
目がチカチカする……
なすがままにされ、何度もイってしまう。
俺がイくと昴くんはすぐに来てくれる。
イった直後に挿れられるのが好きなのを熟知しているからだ。
痺れるような快感と何をされても気持ちよくて止まらなくなってしまうのが堪らないのだ。
あまりの快感に体を保てなくなるが昴くんが受け止めてくれる。
「ほら……俺が抱いてるから動いて……
一絃さんの好きなように動いて……」

ゆっくり抜き、ギリギリまで浅くしたらまた深く突き刺す。
「あっあ……あ……」
声が漏れる。
「うん、気持ちいいね……もっとして一絃さん」
円を描くように腰を動かしながら上下にも動かすと、
「それヤバい……」
と言っておとなしかった昴くんの腰が大きくグラインドする。
「あ……いいっ……あ……昴くん……もっと……」
抱きつきながら喘ぐ俺に、
「こっち」
と言ってキスをねだる。
舌を絡ませるほど腰の動きも激しくなる。
このままずっと溺れていたい。
昴くんはそれを叶えてくれる。
俺をいつまでも快楽の海で泳がせてくれた。



あんなにベッドで甘く熱くなっていたのに、昴くんの去り際は清々しいほど小気味いい。
「ねえ、次はいつ会える? そろそろ俺のものになってね。連絡するね!」
と言うと、人目を盗んでちゅっとキスをする。
「こらっ!」
「またね! 一絃さん!」
子どものように大きく手を振って飛び跳ねながら帰っていく昴くんに笑ってしまう。

だから言ってるじゃないか、君はキラキラしていて俺には眩しすぎるんだよ。
その眩しさに時々当てられたくなってしまうのは、光に集まる虫のようだなと自分に笑ってしまう。
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