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第10話「師の影」
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王国軍は再び前線へと駆り出された。
夜明けの冷たい風が吹く草原に、鬨(とき)の声が轟く。
リシアは小さな体で剣を握りしめ、兵の列に立っていた。
胸は早鐘のように鳴り、手のひらには汗が滲む。
敵陣を見据えていた斥候が戻り、震える声で報告した。
「……帝国の将、ヴァルターがいる」
その名を聞いた瞬間、リシアの奥で老いた声が震えた。
『……ヴァルター。わしを育てた師だ』
リシアの呼吸が止まる。
「師って……あなたを?」
『ああ。剣も戦も、奴から学んだ。わしが猛将と呼ばれるに至ったのは、あの男の教えがあったからだ』
前方、帝国軍の最前に立つひときわ大きな影。
黒鉄の甲冑に身を包み、戦斧を肩に担いだ男。
白髪混じりの髪と鋭い眼差しが、遠目にも迫力を放っている。
兵士たちがざわめいた。
「ヴァルターだ……帝国の黒鉄の巨将だ……!」
「一度立ち向かえば、生きて帰れる者はいないと……」
リシアの膝が震える。
けれど胸の奥で老ベルナルトの声が低く響く。
『恐れるな。奴は強大だが、読みもある。……だがなリシア、わしにとっては恩人でもある。斬るとなれば……迷いが生じる』
リシアは唇を噛み、心の中で答える。
「……だったら、私が決める。あなたの過去でも、私の戦いは変えられない」
青い瞳が燃えるように揺れた。
彼女の小さな決意は、やがて大きな戦いへと繋がっていく。
そして、草原に太鼓の音が鳴り響き、戦が始まった。
夜明けの冷たい風が吹く草原に、鬨(とき)の声が轟く。
リシアは小さな体で剣を握りしめ、兵の列に立っていた。
胸は早鐘のように鳴り、手のひらには汗が滲む。
敵陣を見据えていた斥候が戻り、震える声で報告した。
「……帝国の将、ヴァルターがいる」
その名を聞いた瞬間、リシアの奥で老いた声が震えた。
『……ヴァルター。わしを育てた師だ』
リシアの呼吸が止まる。
「師って……あなたを?」
『ああ。剣も戦も、奴から学んだ。わしが猛将と呼ばれるに至ったのは、あの男の教えがあったからだ』
前方、帝国軍の最前に立つひときわ大きな影。
黒鉄の甲冑に身を包み、戦斧を肩に担いだ男。
白髪混じりの髪と鋭い眼差しが、遠目にも迫力を放っている。
兵士たちがざわめいた。
「ヴァルターだ……帝国の黒鉄の巨将だ……!」
「一度立ち向かえば、生きて帰れる者はいないと……」
リシアの膝が震える。
けれど胸の奥で老ベルナルトの声が低く響く。
『恐れるな。奴は強大だが、読みもある。……だがなリシア、わしにとっては恩人でもある。斬るとなれば……迷いが生じる』
リシアは唇を噛み、心の中で答える。
「……だったら、私が決める。あなたの過去でも、私の戦いは変えられない」
青い瞳が燃えるように揺れた。
彼女の小さな決意は、やがて大きな戦いへと繋がっていく。
そして、草原に太鼓の音が鳴り響き、戦が始まった。
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