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第一章
第3話「救いの影」
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──市街地戦闘。
夜の空を裂いて、無数のドローンが押し寄せていた。
赤白の《AX-04》は、その波に立ち向かう。
『左旋回、二〇度。射撃』
「左旋回、二〇度。射撃!」
光弾が敵を貫き、爆炎が夜を染める。
彩花は必死に復唱を繰り返す。
アルがいれば、間違えない──そう信じて。
だが。
『……リンク、低下……同期率、三五%……』
「え……? アル?」
突如、耳元の声が途切れた。
視界は広がっているのに、導く声がない。
頭の中が真っ白になる。
「どうすれば……どうすればいいの……!?」
敵機の砲火が迫る。操縦桿を握る手が震え、動かせない。
シールド展開の警告音が鳴り響き、機体が衝撃で大きく揺れる。
轟音。
爆煙の中、黒い影が飛び込んだ。
彩花とは別組織であるNESTの機体。漆黒の《SNR-12》。
鋭い光弾が敵を撃ち抜き、迫る砲火を切り裂いていく。
「……っ!」
彩花は呆然と見つめた。
冷たい動き、迷いのない連携。
黒と白、二つの巨体が交錯する一瞬。
無線は繋がらない。
ただ、その機体は彩花を守るように立ちふさがり──そして、敵を沈めると何も言わずに去っていった。
「待って……!」
声を上げたが、応える影はなかった。
そのとき、耳元に再び声が戻る。
『同期率、復旧。彩花、応答を』
「アル……! よかった……!」
涙声で返しながら、彩花は操縦桿を握り直した。
(アルがいなきゃ……私は、何もできない……)
帰還後。
施設の廊下。俯く彩花の前に、明るい声が響いた。
「彩花!」
顔を上げると、さながパンを持って駆け寄ってきた。
「大丈夫? さっきの戦い……怖かったでしょ」
「……私は、全然……」
「でも、彩花が戦ってくれてるから私達は守られているんだよ」
「……私が……?」
さなの瞳はまっすぐで、無邪気に輝いていた。
彩花の胸にじんわりと温かさが広がる。
その温もりが、アルの冷たい声と対照的に心を満たしていった。
(第4話へ)
夜の空を裂いて、無数のドローンが押し寄せていた。
赤白の《AX-04》は、その波に立ち向かう。
『左旋回、二〇度。射撃』
「左旋回、二〇度。射撃!」
光弾が敵を貫き、爆炎が夜を染める。
彩花は必死に復唱を繰り返す。
アルがいれば、間違えない──そう信じて。
だが。
『……リンク、低下……同期率、三五%……』
「え……? アル?」
突如、耳元の声が途切れた。
視界は広がっているのに、導く声がない。
頭の中が真っ白になる。
「どうすれば……どうすればいいの……!?」
敵機の砲火が迫る。操縦桿を握る手が震え、動かせない。
シールド展開の警告音が鳴り響き、機体が衝撃で大きく揺れる。
轟音。
爆煙の中、黒い影が飛び込んだ。
彩花とは別組織であるNESTの機体。漆黒の《SNR-12》。
鋭い光弾が敵を撃ち抜き、迫る砲火を切り裂いていく。
「……っ!」
彩花は呆然と見つめた。
冷たい動き、迷いのない連携。
黒と白、二つの巨体が交錯する一瞬。
無線は繋がらない。
ただ、その機体は彩花を守るように立ちふさがり──そして、敵を沈めると何も言わずに去っていった。
「待って……!」
声を上げたが、応える影はなかった。
そのとき、耳元に再び声が戻る。
『同期率、復旧。彩花、応答を』
「アル……! よかった……!」
涙声で返しながら、彩花は操縦桿を握り直した。
(アルがいなきゃ……私は、何もできない……)
帰還後。
施設の廊下。俯く彩花の前に、明るい声が響いた。
「彩花!」
顔を上げると、さながパンを持って駆け寄ってきた。
「大丈夫? さっきの戦い……怖かったでしょ」
「……私は、全然……」
「でも、彩花が戦ってくれてるから私達は守られているんだよ」
「……私が……?」
さなの瞳はまっすぐで、無邪気に輝いていた。
彩花の胸にじんわりと温かさが広がる。
その温もりが、アルの冷たい声と対照的に心を満たしていった。
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