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第一章
第9話後編「二つの声・衝突」
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──廃墟の谷間。
漆黒の《SNR-12》のコクピットで、ひよりは呼吸を整えていた。
目前に立つのは、赤白の《AX-04》。
その瞳が、自分を真っすぐに見据えている。
『目標補足。交戦を推奨』
「了解」
セラの指示に従い、刃を振るう。
鋭い斬撃が空気を裂き、赤白の機体へと迫る。
だが。
「右へ……! 避けて!」
彩花の叫びと共に、AX-04が滑るようにかわす。
アルの補正と彩花の直感が重なり、最適解を超える動きが生まれていた。
「……今のは……?」
ひよりの眉がわずかに動く。
セラの計算を外れる行動を、確かに赤白は取った。
『次弾装填完了。前方へ推進』
「行く」
SNR-12が突進する。
高速の連撃。
彩花は必死に操縦桿を握り、アルの声を復唱しながらも、自分の意志で動きを挟み込む。
シールドを展開し、反撃の射撃を放つ。
火花が散り、衝撃波が廃墟を震わせた。
息が乱れる。
だが、目の前の赤白は退かない。
その瞳に宿るのは、恐怖ではなく決意だった。
(……前に見たときとは、違う)
あの時は、ただAIに従うだけの怯えた少女。
だが今、彼女は──AIと共に、並んで戦っている。
胸の奥がわずかにざわめいた。
セラに委ねてきた自分の戦い方とは、違う何か。
連撃を受け止めきれず、SNR-12の装甲が軋む。
計器に赤い警告が走る。
『損耗率上昇。機能停止の危険』
「……そんな……」
焦りが喉を焼く。
無敵だと思っていた自分が、追い込まれている。
(これは……偶然じゃない。あの子は……)
その瞬間、上層部から緊急通信。
「交戦を中止せよ! 両機、即時撤退!」
無線の命令に、ひよりは息を吐いた。
視界の先では、赤白の機体がなおも揺るぎなく立っている。
「……前とは違う……」
自分の声が、誰に届くでもなく零れ落ちた。
彩花は、息を荒げながら呟いていた。
「私……アルと一緒に……戦えた」
──依存と共存。
二つの声が交錯した戦いは、決着をつけぬまま幕を下ろした。
(第一部・完)
漆黒の《SNR-12》のコクピットで、ひよりは呼吸を整えていた。
目前に立つのは、赤白の《AX-04》。
その瞳が、自分を真っすぐに見据えている。
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セラの指示に従い、刃を振るう。
鋭い斬撃が空気を裂き、赤白の機体へと迫る。
だが。
「右へ……! 避けて!」
彩花の叫びと共に、AX-04が滑るようにかわす。
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「……今のは……?」
ひよりの眉がわずかに動く。
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『次弾装填完了。前方へ推進』
「行く」
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高速の連撃。
彩花は必死に操縦桿を握り、アルの声を復唱しながらも、自分の意志で動きを挟み込む。
シールドを展開し、反撃の射撃を放つ。
火花が散り、衝撃波が廃墟を震わせた。
息が乱れる。
だが、目の前の赤白は退かない。
その瞳に宿るのは、恐怖ではなく決意だった。
(……前に見たときとは、違う)
あの時は、ただAIに従うだけの怯えた少女。
だが今、彼女は──AIと共に、並んで戦っている。
胸の奥がわずかにざわめいた。
セラに委ねてきた自分の戦い方とは、違う何か。
連撃を受け止めきれず、SNR-12の装甲が軋む。
計器に赤い警告が走る。
『損耗率上昇。機能停止の危険』
「……そんな……」
焦りが喉を焼く。
無敵だと思っていた自分が、追い込まれている。
(これは……偶然じゃない。あの子は……)
その瞬間、上層部から緊急通信。
「交戦を中止せよ! 両機、即時撤退!」
無線の命令に、ひよりは息を吐いた。
視界の先では、赤白の機体がなおも揺るぎなく立っている。
「……前とは違う……」
自分の声が、誰に届くでもなく零れ落ちた。
彩花は、息を荒げながら呟いていた。
「私……アルと一緒に……戦えた」
──依存と共存。
二つの声が交錯した戦いは、決着をつけぬまま幕を下ろした。
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