双影レゾナンス ~依存と共存~

Y-z

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第二章

第10話「再起の影」

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──数か月後。

夜の市街地。
崩れかけたビルの谷間を、赤白の《AX-04》が駆け抜ける。
機体の足音がアスファルトを震わせ、光弾が闇を裂いた。

「アル、左から来る!」
『確認。迎撃を推奨』
「迎撃──!」

彩花の声は以前のように掠れてはいない。
操縦桿を握る手はまだ固く強張っていたが、動きは止まらなかった。
アルの指示を復唱しながら、ほんの一瞬だけ、自分の判断を差し込む。

──数か月前の自分なら、絶対にできなかった。



戦闘後。

整備ドックに戻ったAX-04は、両腕と脚部に大きな傷跡を残していた。
火花を散らす装甲に、整備班が一斉に群がる。

「ここ、骨格までいってるぞ!」
「でもパイロットは安定してた。前より落ち着いてたな」

作業員たちの声が耳に入る。
彩花は柵の外から機体を見上げ、かすかに笑ってみせた。

(私……少しは変われたのかな)

けれど、笑顔はすぐに震えに変わった。
胸の奥にはまだ、あの日の記憶が沈んでいる。

──炎に呑まれた街。
逃げ惑う人々。
そして、最後に振り返った小さな背中。

(さな……ごめん……)

忘れられるはずがない。
その痛みが、ずっと彩花の根っこに残っている。



夜。寮の部屋。

窓の外には、遠くに瞬く都市の光。
ベッドに腰掛ける彩花の耳に、冷静な声が届いた。

『修復作業、進行中。出撃可能になるまで七十二時間を要する』

「アル……私、まだ怖い」

『恐怖は正常な反応だ。だが──君は選んで動いた。僕はそれを支えた』

「……私が選んで、アルが支えてくれる……」

小さく呟くと、胸の奥の痛みがほんのわずか和らいだ。
恐怖は消えない。後悔も消えない。
けれど、それでも前に進もうと思えた。

(今度こそ……もう後悔なんてしない)

彩花は毛布を握りしめ、深く息を吐いた。
夜の静けさの中で、その決意だけが灯のように残った。
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