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第19話「崩れる連携」
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夜の港湾ビル。
鉄骨がむき出しの通路を、ジョーカーとクイーンは並んで駆ける。
だが二人の間には、目に見えぬ亀裂が走っていた。
「右から回れ、Q-01」
「……いや、私が正面を押さえる」
即座に判断が割れる。
ジョーカーの声には感情が滲み、クイーンはわずかに眉をひそめた。
「命令に従え」
「命令がすべてなら、私はここにいない」
そのやり取りの隙を突くように、銃弾が壁を削った。
二人は反射的に身を翻すが、視線は交わらない。
◇
梁の上、〈クラウン〉は腕を組み、舞台を見下ろす観客のように笑った。
「いいねえ……共演者同士の衝突。観客はこういう裏切りを待っているんだ」
仮面の奥の瞳が、愉悦に細められる。
「さて、幕が上がるのはどちらの役者かな?」
◇
ジョーカーは“Quiet”を構え、敵影を次々と沈めていく。
その狙いは正確だ――だが。
クラウンを視界に捉えた瞬間だけ、指が遅れた。
「……!」
その隙を、クイーンが補おうと前へ躍り出る。
鋼の剣が弧を描き、迫る影を切り払う。
だが次の瞬間。
背後から放たれた銃弾が、クイーンの肩口を穿った。
「っ……!」
鮮血が飛び散り、彼女は壁に叩きつけられる。
「クイーン!」
ジョーカーが駆け寄る。だが返るのは鋭い視線だった。
「……未完成。お前の迷いが、足を引っ張った」
掠れた声に、痛みより冷たさが宿っていた。
◇
クラウンは高みからひらりと降り立ち、仮面越しに二人を見下ろす。
「主役はもう決まったようだな」
マントを翻し、楽しげに一礼する。
「舞台を壊すのはいつだって――迷える役者さ」
その言葉を残し、闇の中へ消えていった。
◇
残されたのは、血に濡れたクイーンと、震える銃を握るジョーカー。
無線からは、冷たい指令の声が流れ続けていた。
「……積荷はどうした」
天音の心に突き刺さったのは、弾丸でも任務失敗でもない。
――ただ、自分が「駒」でしかなかったという事実だった。
◇
夜風が吹き込む中、彼女は初めて銃口を下ろしたまま立ち尽くしていた。
鉄骨がむき出しの通路を、ジョーカーとクイーンは並んで駆ける。
だが二人の間には、目に見えぬ亀裂が走っていた。
「右から回れ、Q-01」
「……いや、私が正面を押さえる」
即座に判断が割れる。
ジョーカーの声には感情が滲み、クイーンはわずかに眉をひそめた。
「命令に従え」
「命令がすべてなら、私はここにいない」
そのやり取りの隙を突くように、銃弾が壁を削った。
二人は反射的に身を翻すが、視線は交わらない。
◇
梁の上、〈クラウン〉は腕を組み、舞台を見下ろす観客のように笑った。
「いいねえ……共演者同士の衝突。観客はこういう裏切りを待っているんだ」
仮面の奥の瞳が、愉悦に細められる。
「さて、幕が上がるのはどちらの役者かな?」
◇
ジョーカーは“Quiet”を構え、敵影を次々と沈めていく。
その狙いは正確だ――だが。
クラウンを視界に捉えた瞬間だけ、指が遅れた。
「……!」
その隙を、クイーンが補おうと前へ躍り出る。
鋼の剣が弧を描き、迫る影を切り払う。
だが次の瞬間。
背後から放たれた銃弾が、クイーンの肩口を穿った。
「っ……!」
鮮血が飛び散り、彼女は壁に叩きつけられる。
「クイーン!」
ジョーカーが駆け寄る。だが返るのは鋭い視線だった。
「……未完成。お前の迷いが、足を引っ張った」
掠れた声に、痛みより冷たさが宿っていた。
◇
クラウンは高みからひらりと降り立ち、仮面越しに二人を見下ろす。
「主役はもう決まったようだな」
マントを翻し、楽しげに一礼する。
「舞台を壊すのはいつだって――迷える役者さ」
その言葉を残し、闇の中へ消えていった。
◇
残されたのは、血に濡れたクイーンと、震える銃を握るジョーカー。
無線からは、冷たい指令の声が流れ続けていた。
「……積荷はどうした」
天音の心に突き刺さったのは、弾丸でも任務失敗でもない。
――ただ、自分が「駒」でしかなかったという事実だった。
◇
夜風が吹き込む中、彼女は初めて銃口を下ろしたまま立ち尽くしていた。
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