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第20話「夜の終幕」〔後編〕
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閃光と爆炎が交錯する戦場。
瓦礫を踏み越え、クラウンとジョーカーの影が正面からぶつかり合った。
「やはり……君はただの駒ではない」
クラウンはマントを翻し、迫る銃弾をすり抜ける。
「兵器でもなく、人間でもなく――舞台に立つ“役者”だ」
「黙れ!」
ジョーカーは叫び、再び引き金を絞った。
その連射は鋭く、兵士を薙ぎ払うだけの威力を持っていた。
だがクラウンには届かない。
仮面の奥の瞳は、むしろ楽しげに細められていた。
◇
〈ヴェイル〉の声が耳を刺す。
「警戒レベル上昇。Q-01の反応に異常値――覚醒の兆候です」
「……覚醒?」
ジョーカー自身も、その言葉の意味を理解できなかった。
だが確かに、胸の奥から溢れる力が“Quiet Teddy”を通じて外へあふれている。
銃声は轟き、爆風すら巻き起こす。
足元の床が割れ、鉄骨が悲鳴をあげた。
◇
クラウンは笑いながらマントを広げた。
「いい、いいぞ! 舞台に必要なのは予定調和じゃない。台本を破り、観客を驚かせる役者こそ――真の主役だ!」
「私は……!」
ジョーカーは言葉を詰まらせた。
怒り、恐怖、そして奇妙な高揚が胸をかき乱す。
照準は揺れ、銃口はクラウンを捕えたまま、引き金に力がこもる。
――撃てる。
そう思った瞬間。
ビル全体が崩落し、轟音が二人を飲み込んだ。
◇
瓦礫の中。
ジョーカーはかろうじて立ち上がったが、全身に痛みが走る。
視界の端に、赤いマントの影。
クラウンは仮面の奥で薄く笑い、声を落とした。
「いや、芝居に敗者は必要だろう? 今回は君に喝采を譲った。それだけさ」
ヴェイルが冷ややかに囁く。
「……今回も、ですがね」
クラウンは構わず、瓦礫の上からジョーカーを見下ろした。
「次の幕は――君を盗むためにある」
◇
返す言葉はなかった。
ただ、銃を握る手が震えていた。
夜の闇が深まる中、第一章の幕はゆっくりと降りていった。
瓦礫を踏み越え、クラウンとジョーカーの影が正面からぶつかり合った。
「やはり……君はただの駒ではない」
クラウンはマントを翻し、迫る銃弾をすり抜ける。
「兵器でもなく、人間でもなく――舞台に立つ“役者”だ」
「黙れ!」
ジョーカーは叫び、再び引き金を絞った。
その連射は鋭く、兵士を薙ぎ払うだけの威力を持っていた。
だがクラウンには届かない。
仮面の奥の瞳は、むしろ楽しげに細められていた。
◇
〈ヴェイル〉の声が耳を刺す。
「警戒レベル上昇。Q-01の反応に異常値――覚醒の兆候です」
「……覚醒?」
ジョーカー自身も、その言葉の意味を理解できなかった。
だが確かに、胸の奥から溢れる力が“Quiet Teddy”を通じて外へあふれている。
銃声は轟き、爆風すら巻き起こす。
足元の床が割れ、鉄骨が悲鳴をあげた。
◇
クラウンは笑いながらマントを広げた。
「いい、いいぞ! 舞台に必要なのは予定調和じゃない。台本を破り、観客を驚かせる役者こそ――真の主役だ!」
「私は……!」
ジョーカーは言葉を詰まらせた。
怒り、恐怖、そして奇妙な高揚が胸をかき乱す。
照準は揺れ、銃口はクラウンを捕えたまま、引き金に力がこもる。
――撃てる。
そう思った瞬間。
ビル全体が崩落し、轟音が二人を飲み込んだ。
◇
瓦礫の中。
ジョーカーはかろうじて立ち上がったが、全身に痛みが走る。
視界の端に、赤いマントの影。
クラウンは仮面の奥で薄く笑い、声を落とした。
「いや、芝居に敗者は必要だろう? 今回は君に喝采を譲った。それだけさ」
ヴェイルが冷ややかに囁く。
「……今回も、ですがね」
クラウンは構わず、瓦礫の上からジョーカーを見下ろした。
「次の幕は――君を盗むためにある」
◇
返す言葉はなかった。
ただ、銃を握る手が震えていた。
夜の闇が深まる中、第一章の幕はゆっくりと降りていった。
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