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第19話 消えた記録
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夜の寮室。蝋燭の灯りの下、私はいつものようにノートを広げた。
羽ペンの先を走らせるときの音が、静けさを埋めてくれる。
だが、その夜は違和感に気づいた。
ページを繰る。
確かに記したはずの一文が、そこから消えていた。
『舞台は従わぬ者を排除しようとしている』
――その行が、白紙になっている。
⸻
「……消された?」
小さく漏らした声に、自分でも驚いた。
書き忘れではない。インクの跡すらなく、初めから存在しなかったかのように消えている。
翌朝、私はこのことをカレンとユウリに話した。
「ええっ!? ノートから勝手に!?」
カレンは目を丸くして立ち上がった。
ユウリは腕を組み、冷静に言った。
「……舞台が、記録にまで干渉しているのだろう。台本に都合の悪い言葉を、消そうとしている」
⸻
「でも、全部消されたわけじゃないんだよね?」
カレンの問いに、私は頷いた。
「そう。拒絶の言葉の一部は残ってる。まるで消しきれないみたいに」
私はノートを開き、彼女たちに見せた。
『不可解は揺らぎ始めている』
そこだけは、確かに残っている。
⸻
「完全に書き換えられなくなっている……」
ユウリが低く呟いた。
「舞台の支配は揺らいでいる証拠だ。ルカの存在が、その綻びを広げている」
カレンは少し顔を曇らせて、私の手をぎゅっと握った。
「でもさ、ルカ……そんなの危ないよ。舞台に狙われてるんでしょ? 本当に消されちゃったら……」
私は彼女の手を握り返し、静かに言った。
「だから記録するの。消そうとされても、抗って残すために」
⸻
夜、再びノートを開き、震える羽ペンを走らせる。
『舞台は記録すら書き換えようとする。
しかし完全には消せない。
不可解は、記録の隙間から生き続ける』
インクが乾くのを見届けながら、私は深く息を吐いた。
羽ペンの先を走らせるときの音が、静けさを埋めてくれる。
だが、その夜は違和感に気づいた。
ページを繰る。
確かに記したはずの一文が、そこから消えていた。
『舞台は従わぬ者を排除しようとしている』
――その行が、白紙になっている。
⸻
「……消された?」
小さく漏らした声に、自分でも驚いた。
書き忘れではない。インクの跡すらなく、初めから存在しなかったかのように消えている。
翌朝、私はこのことをカレンとユウリに話した。
「ええっ!? ノートから勝手に!?」
カレンは目を丸くして立ち上がった。
ユウリは腕を組み、冷静に言った。
「……舞台が、記録にまで干渉しているのだろう。台本に都合の悪い言葉を、消そうとしている」
⸻
「でも、全部消されたわけじゃないんだよね?」
カレンの問いに、私は頷いた。
「そう。拒絶の言葉の一部は残ってる。まるで消しきれないみたいに」
私はノートを開き、彼女たちに見せた。
『不可解は揺らぎ始めている』
そこだけは、確かに残っている。
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「完全に書き換えられなくなっている……」
ユウリが低く呟いた。
「舞台の支配は揺らいでいる証拠だ。ルカの存在が、その綻びを広げている」
カレンは少し顔を曇らせて、私の手をぎゅっと握った。
「でもさ、ルカ……そんなの危ないよ。舞台に狙われてるんでしょ? 本当に消されちゃったら……」
私は彼女の手を握り返し、静かに言った。
「だから記録するの。消そうとされても、抗って残すために」
⸻
夜、再びノートを開き、震える羽ペンを走らせる。
『舞台は記録すら書き換えようとする。
しかし完全には消せない。
不可解は、記録の隙間から生き続ける』
インクが乾くのを見届けながら、私は深く息を吐いた。
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