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最悪で最高な出会い
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パートカーのサイレンがうるさく僕の前で響く。珍しく気弱なケンが僕に「シュン、、、どうしよう」と言った。普段と違う弱そうなケンの立ち姿、震える手、今にも泣き出しそうな表情と赤く染まった靴を見て初めて、取り返しのつかないことをしたのだと、
僕は気づいた。
時を遡ること一年前肌寒さがまだ体に残る三月。気怠い授業を終えいつもの何の変哲もない田舎街の道を歩いて帰路に着く高校二年生のシュンとその友達のハヤト。この二人は小学校の時からの友達だ。ハヤトは空気を読むのが上手く人付き合いが上手い。人見知りなシュンが唯一気を遣わないで話せる親友だ。
ハヤトが校門を出てすぐのセブンで買ったホットスナックを手に持ちながらシュンに問いかけた「シュンってやりたいことをある?」
突然の質問に反応を困らし、苦笑いをしながらすかさず聞き返す、「何その質問?」
ハヤトは笑みを浮かべこう言う「進路希望、なんて書いた?」
稲妻に打たれるくらいの衝撃がシュンの背中に走った。そう、今日は進路希望の紙を提出する日だったのである。
動揺を隠せないままシュンは唇を震わせながら「忘れた、、」と言った。
シュンの言葉を聞いた途端大笑いをしながらハヤトは言う、「ササセンに殺されちゃうな。
あいつ、怒ったらそうとうめんどくせーぞ。」
ササセンというのはハヤトとシュンがいる2年B組の担任でハヤトの言うとおりとてつもなく怖い。「だよね」シュンは肩を落として言う。そんな困り果てた表情を見てハヤトは「今日、金曜だろ。土日は学校ないんだからその間に決めろよ、意外と一日遅れだったら許してもらえるって。」と言った。
そんなこんなしてるうちにいつもの十字路に着いたここの十字路でいつもハヤトとシュンは別れる。
「じゃあ、また。」とお互いに挨拶を交わしながら別れた。早速家に着きシュンは進路希望調査表に目を向けた。しかし、シュンはすぐに答えを出す事はできなかった。周りの目を気にして、人の言う事に従い続けていたシュンに、自分の考えを書くと言う行為はハードルが高すぎたのだ。当然その日は進路など決まるはずもなく、夕飯を食べその後すぐに眠りについた。
次の日、うるさいノックの音が部屋中に響き渡る、母親のサナエだ。「あなた、土曜日なんだから少しは外に出たらどう?」甲高い耳障りな声がドア越しに響く。シュンは無視をして眠りにつこうとしたが、そんな事は出来るはずもなく重い体を起こしドアを開けた。そしたらサナエは「おつかい、よろしく。」と言い、買ってきて欲しい商品のメモ書きと千円札を渡し一階に戻った。シュンはいつものことだからさほど驚きもせずすぐ着替えて外に出た。差し込む日の光に眩しくなりながら十分ほど歩き駅に向かう。シュンの住んでいる家からスーパーまで二駅ほどかかる。十分ほど電車に揺られ目的の駅に着くとスーパーへ向かおうと、その間にある公園を横切ろうとしていた。そんなシュンの足が思わず止まった。シュンの耳に、聞いたことのないような鈍い音が響いた。恐怖心と好奇心が、葛藤しながらシュンは音なる方へ近づいた。恐る恐る、少しづつ近づくと同時に響き渡る音も大きくなる。木が生い茂った細い道を抜け、大きな芝生が広がる広場に出た。すると、シュンの目にはとんでもない光景が広がっていた。二人の人間が向かい合い互いの拳を互いの体にぶつけ合う、それを囲み大声を出す周りの観衆。喧嘩すらしたことのないシュンには当然、見たことのない光景だった。
「おい!お前も見に来たのか?」シュンの背中から呼びかける声がした。振り向いたらそこにはハヤトがいた。何のことかわからず尋ねると、ハヤトは「YouTuberだよ、最近有名な過激系の。」と言った。何のことかわからず戸惑っている僕にすかさず言う。「あそこにある金のグローブはめてるやついるだろ。あいつが登録者十万人越えのYouTuberケンだよ、街のヤンキーにケンカ売ってボコボコにする動画で金稼いでるんだと。」皮肉混じりに興奮しながらハヤトは言う。シュンはそのケンという男に目を向ける。
シュンより数倍も太いケンの腕が相手の頭を撃ち抜くたびに、心拍数が上がる、足が震える、手が震える、ドスッ、ドスッ、聞こえるたびに吐きそうになる。なぜこんな反応を体が示したのかはわからない。だがこれだけは言える、シュンはこの時恐れていたのではない、
“興奮”していたのだ。
なぜかはわからないがシュンはこの異様な血の気の引くような光景に興奮していた。
おつかいのことなど忘れ夢中になっていた。ハヤトも夕飯があるため帰り、他の観衆もいなくなり、気付けばシュンだけが公園に残っていた。戦いが終わり。ケンは息を切らしながらカメラに別れの挨拶を言って録画ボタンを停止した。ケンと戦っていた目を腫らし腕が反対方向に曲がり見るに耐えない姿になっていたヤンキーをじっくり、舐め回すように見てシュンはこう呟いた。「お前に着いていきたい。」
ハッとしてシュンは自分の心に問いかける。え?どうして?今、、、僕、なんて言った?
ケンはしばらく立ち止まったあと、高らかな笑い声を上げ、振り返り、血だらけの拳と幹のように太い足を交互に振りながらこっちに向けて歩き出した。そしてシュンの目の前で立ち止まり優しい目を向けてこう言った。「もちろん。」
今思うとこれが僕の最悪で最高な青春の、人生の、全ての、始まりだった。
僕は気づいた。
時を遡ること一年前肌寒さがまだ体に残る三月。気怠い授業を終えいつもの何の変哲もない田舎街の道を歩いて帰路に着く高校二年生のシュンとその友達のハヤト。この二人は小学校の時からの友達だ。ハヤトは空気を読むのが上手く人付き合いが上手い。人見知りなシュンが唯一気を遣わないで話せる親友だ。
ハヤトが校門を出てすぐのセブンで買ったホットスナックを手に持ちながらシュンに問いかけた「シュンってやりたいことをある?」
突然の質問に反応を困らし、苦笑いをしながらすかさず聞き返す、「何その質問?」
ハヤトは笑みを浮かべこう言う「進路希望、なんて書いた?」
稲妻に打たれるくらいの衝撃がシュンの背中に走った。そう、今日は進路希望の紙を提出する日だったのである。
動揺を隠せないままシュンは唇を震わせながら「忘れた、、」と言った。
シュンの言葉を聞いた途端大笑いをしながらハヤトは言う、「ササセンに殺されちゃうな。
あいつ、怒ったらそうとうめんどくせーぞ。」
ササセンというのはハヤトとシュンがいる2年B組の担任でハヤトの言うとおりとてつもなく怖い。「だよね」シュンは肩を落として言う。そんな困り果てた表情を見てハヤトは「今日、金曜だろ。土日は学校ないんだからその間に決めろよ、意外と一日遅れだったら許してもらえるって。」と言った。
そんなこんなしてるうちにいつもの十字路に着いたここの十字路でいつもハヤトとシュンは別れる。
「じゃあ、また。」とお互いに挨拶を交わしながら別れた。早速家に着きシュンは進路希望調査表に目を向けた。しかし、シュンはすぐに答えを出す事はできなかった。周りの目を気にして、人の言う事に従い続けていたシュンに、自分の考えを書くと言う行為はハードルが高すぎたのだ。当然その日は進路など決まるはずもなく、夕飯を食べその後すぐに眠りについた。
次の日、うるさいノックの音が部屋中に響き渡る、母親のサナエだ。「あなた、土曜日なんだから少しは外に出たらどう?」甲高い耳障りな声がドア越しに響く。シュンは無視をして眠りにつこうとしたが、そんな事は出来るはずもなく重い体を起こしドアを開けた。そしたらサナエは「おつかい、よろしく。」と言い、買ってきて欲しい商品のメモ書きと千円札を渡し一階に戻った。シュンはいつものことだからさほど驚きもせずすぐ着替えて外に出た。差し込む日の光に眩しくなりながら十分ほど歩き駅に向かう。シュンの住んでいる家からスーパーまで二駅ほどかかる。十分ほど電車に揺られ目的の駅に着くとスーパーへ向かおうと、その間にある公園を横切ろうとしていた。そんなシュンの足が思わず止まった。シュンの耳に、聞いたことのないような鈍い音が響いた。恐怖心と好奇心が、葛藤しながらシュンは音なる方へ近づいた。恐る恐る、少しづつ近づくと同時に響き渡る音も大きくなる。木が生い茂った細い道を抜け、大きな芝生が広がる広場に出た。すると、シュンの目にはとんでもない光景が広がっていた。二人の人間が向かい合い互いの拳を互いの体にぶつけ合う、それを囲み大声を出す周りの観衆。喧嘩すらしたことのないシュンには当然、見たことのない光景だった。
「おい!お前も見に来たのか?」シュンの背中から呼びかける声がした。振り向いたらそこにはハヤトがいた。何のことかわからず尋ねると、ハヤトは「YouTuberだよ、最近有名な過激系の。」と言った。何のことかわからず戸惑っている僕にすかさず言う。「あそこにある金のグローブはめてるやついるだろ。あいつが登録者十万人越えのYouTuberケンだよ、街のヤンキーにケンカ売ってボコボコにする動画で金稼いでるんだと。」皮肉混じりに興奮しながらハヤトは言う。シュンはそのケンという男に目を向ける。
シュンより数倍も太いケンの腕が相手の頭を撃ち抜くたびに、心拍数が上がる、足が震える、手が震える、ドスッ、ドスッ、聞こえるたびに吐きそうになる。なぜこんな反応を体が示したのかはわからない。だがこれだけは言える、シュンはこの時恐れていたのではない、
“興奮”していたのだ。
なぜかはわからないがシュンはこの異様な血の気の引くような光景に興奮していた。
おつかいのことなど忘れ夢中になっていた。ハヤトも夕飯があるため帰り、他の観衆もいなくなり、気付けばシュンだけが公園に残っていた。戦いが終わり。ケンは息を切らしながらカメラに別れの挨拶を言って録画ボタンを停止した。ケンと戦っていた目を腫らし腕が反対方向に曲がり見るに耐えない姿になっていたヤンキーをじっくり、舐め回すように見てシュンはこう呟いた。「お前に着いていきたい。」
ハッとしてシュンは自分の心に問いかける。え?どうして?今、、、僕、なんて言った?
ケンはしばらく立ち止まったあと、高らかな笑い声を上げ、振り返り、血だらけの拳と幹のように太い足を交互に振りながらこっちに向けて歩き出した。そしてシュンの目の前で立ち止まり優しい目を向けてこう言った。「もちろん。」
今思うとこれが僕の最悪で最高な青春の、人生の、全ての、始まりだった。
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