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公爵令嬢リーベの想い④
腰をおろし、ほぅ、とため息をつく。
ストルグ様がベンチだと言っていたから背もたれの無い長椅子を想像していたけれど、温室にあったのは背もたれの角度が調節できるようになっている二人掛けの椅子だった。
ここに座って、ストルグ様も花を眺めたりするのかしら。
ストルグ様と同じ景色が見てみたくて、斜めに倒されていた背もたれに寄りかかって花を眺める。
綺麗……
花たちが陽の光で輝いて、まるで色彩豊かなステンドグラスのよう。
こんなにゆっくり花を眺めたのは、いつ以来かしら。
あの花って、よく見たらハート型の花びらをしていたのね、可愛い。
葉っぱも……みんな緑だけれど、薄かったり、濃かったり、複雑な色をしている。
葉っぱの緑色がそれぞれ違うなんて、考えもしなかった。
少し立ち止まってみれば、すぐに気が付く事なのに。
そんな事も分からなくなるほど、疲れていたんだわ、私。
………………
………………
………………
……そっか、私、疲れていたんだ。
心の奥ではいつも、助けてと悲鳴を上げていたのかしら。
休んでいいよって誰かに言ってほしくて。
ストルグ様だけが、気づいてくれた。
自分を押し殺して声に出せなかった、心の奥の叫びに。
鼻の奥の方が、ツンとした。
ハンカチを口元に当て鼻をすする。
なぜだかわからないけれど、涙が出てきそう。
ハンカチからは微かに、自分のではない香水の匂いがした。
暖かな陽の光を浴びて育ったような、爽やかな果実の香り。
先ほどストルグ様が汗を拭いた時に、匂いが移ったのかもしれない。
もう一度、スン、と嗅いでみる。
太陽のような人柄のストルグ様に、ぴったりな香りだと思った。
* * * * * * *
ストルグ様に純潔の証を貫かれ、視界が滲んでぼやけていく。
目尻から涙が零れていくのがわかった。
泣いたのは、純潔を失ってつらかったからでも、痛かったからでもない。
ストルグ様の輝かしい未来を奪ってしまったことが、ただただ悲しかった。
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