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剣先の瞳
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翌日以降の騎士団の訓練は苛烈を極めた。
午前中にリヒトが現れ一度騎士たちが力尽きるまで訓練を指導すると午後にゲオハルトが現れ陣形の組み方や地形を生かした攻守の指導をする。
そんな日々にも騎士たちがなれなんとか一日を倒れずに過ごせるようになった頃訓練終了時にリヒトが現れた。
指導をしているゲオハルトに近づくと耳打ちをする。
今まで二人が並んでいるところを見たことのない騎士たちが浮足立った。
その空気をしめるように訓練場にゲオハルトの低音が響いた。
「突然だが今から最終訓練をする。合格しなければ私と辺境へきてもらう。そこで特訓だ。なお辺境伯領での任期は三年。このまま王都づとめをしたいものは私に一本入れてみせろ」
「私ではない私達だ。床に転がったものは失格だ」
リヒトの言葉に騎士たちから抑えたうめき声が上がる。ゲオハルトだけなら多勢に無勢でなんとかなったかも知れないがリヒトに一本いれる?騎士たちの背中に嫌な汗が流れた。
「では一番隊よりかかってこい。はじめ」
ゲオハルトの合図で一番隊のものが前に出た。他の者達は訓練場の壁際へと下がる。
十人ほどがゲオハルトとリヒトを囲むが勝負は一瞬でついた。リヒトに剣の届く位置まで近づくと足払いをくらい転がされる。転がるものを避けようとするとその隙きを突いて投げ飛ばされる。ゲオハルトに挑んだものは木剣を叩き落された瞬間に蹴り倒される。
あっという間に最後の隊の順番が終わり合格者が一人も出ないまま訓練は終了した。
ゲオハルトもリヒトも息を乱してさえいない。騎士たちは気まずさに静まり返った。
「長い間戦いがなかった弊害がここまでひどいとは思わなかったな。ゲオハルト、お前と私で手本を見せよう」
「は」
「ではかかってこい」
リヒトの合図にゲオハルトが一気に距離をつめ木剣を振り下ろす。その木剣を自らの剣で受け流し一旦離れすぐさまリヒトは足を払いにいった。その足をよけ次の一撃を振り下ろすゲオハルト。リヒトの肩を直撃するかと思われた剣が地面をたたき衝撃で木剣がおれた。
「ちっ」
振り向いたゲオハルトの腕が背中を狙っていたリヒトの脚をないだ。
「いい動きだなゲオ!!」
再び距離を取ったリヒトは楽しそうにゲオハルトに斬りかかる。
「まだまだ負けません」
ひさびさのリヒトとの手合わせで自分が高揚しているのがゲオハルトは分かった。
この訓練場で何度も手を合わせた夜色の髪がまた目の前で踊っている。金の瞳の中に自分の姿が映る。年老いた髭面の男を見て一瞬意識がそれた。
(あぁこの瞳が)
剣が目前に迫っていた。その剣を交わしながらゲオハルトもリヒトの胴を拳で狙う。周りのものからその拳がリヒトを捉えたように見えた次の瞬間床に転がっていたのはゲオハルトだった。
「今の?」
「リヒト様がゲオハルト様の拳を軸にひねり倒した」
「俺よく見えなかった」
騎士たちが見守る中リヒトが告げた言葉はゲオハルトにだけ届いた。
「お前は誰を見ている?」
冷気を孕んだ言葉にゲオハルトが答える前にリヒトは訓練場を去っていった。
その後様子を見に来た第一王子のとりなしで連れて行く人数は五分の一に減らされ一年交代で行くことになったが騎士たちの顔は沈んだままだった。
午前中にリヒトが現れ一度騎士たちが力尽きるまで訓練を指導すると午後にゲオハルトが現れ陣形の組み方や地形を生かした攻守の指導をする。
そんな日々にも騎士たちがなれなんとか一日を倒れずに過ごせるようになった頃訓練終了時にリヒトが現れた。
指導をしているゲオハルトに近づくと耳打ちをする。
今まで二人が並んでいるところを見たことのない騎士たちが浮足立った。
その空気をしめるように訓練場にゲオハルトの低音が響いた。
「突然だが今から最終訓練をする。合格しなければ私と辺境へきてもらう。そこで特訓だ。なお辺境伯領での任期は三年。このまま王都づとめをしたいものは私に一本入れてみせろ」
「私ではない私達だ。床に転がったものは失格だ」
リヒトの言葉に騎士たちから抑えたうめき声が上がる。ゲオハルトだけなら多勢に無勢でなんとかなったかも知れないがリヒトに一本いれる?騎士たちの背中に嫌な汗が流れた。
「では一番隊よりかかってこい。はじめ」
ゲオハルトの合図で一番隊のものが前に出た。他の者達は訓練場の壁際へと下がる。
十人ほどがゲオハルトとリヒトを囲むが勝負は一瞬でついた。リヒトに剣の届く位置まで近づくと足払いをくらい転がされる。転がるものを避けようとするとその隙きを突いて投げ飛ばされる。ゲオハルトに挑んだものは木剣を叩き落された瞬間に蹴り倒される。
あっという間に最後の隊の順番が終わり合格者が一人も出ないまま訓練は終了した。
ゲオハルトもリヒトも息を乱してさえいない。騎士たちは気まずさに静まり返った。
「長い間戦いがなかった弊害がここまでひどいとは思わなかったな。ゲオハルト、お前と私で手本を見せよう」
「は」
「ではかかってこい」
リヒトの合図にゲオハルトが一気に距離をつめ木剣を振り下ろす。その木剣を自らの剣で受け流し一旦離れすぐさまリヒトは足を払いにいった。その足をよけ次の一撃を振り下ろすゲオハルト。リヒトの肩を直撃するかと思われた剣が地面をたたき衝撃で木剣がおれた。
「ちっ」
振り向いたゲオハルトの腕が背中を狙っていたリヒトの脚をないだ。
「いい動きだなゲオ!!」
再び距離を取ったリヒトは楽しそうにゲオハルトに斬りかかる。
「まだまだ負けません」
ひさびさのリヒトとの手合わせで自分が高揚しているのがゲオハルトは分かった。
この訓練場で何度も手を合わせた夜色の髪がまた目の前で踊っている。金の瞳の中に自分の姿が映る。年老いた髭面の男を見て一瞬意識がそれた。
(あぁこの瞳が)
剣が目前に迫っていた。その剣を交わしながらゲオハルトもリヒトの胴を拳で狙う。周りのものからその拳がリヒトを捉えたように見えた次の瞬間床に転がっていたのはゲオハルトだった。
「今の?」
「リヒト様がゲオハルト様の拳を軸にひねり倒した」
「俺よく見えなかった」
騎士たちが見守る中リヒトが告げた言葉はゲオハルトにだけ届いた。
「お前は誰を見ている?」
冷気を孕んだ言葉にゲオハルトが答える前にリヒトは訓練場を去っていった。
その後様子を見に来た第一王子のとりなしで連れて行く人数は五分の一に減らされ一年交代で行くことになったが騎士たちの顔は沈んだままだった。
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