転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ

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12 フラグ建設中

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「ええ?全部やり直し?」

お昼休みにやっと仕上がったレポートを提出しに来た僕にグリューネ先生からの無慈悲な言葉が降り注いだ。「先日の野草採集のやり直しを本日中に」とのこと「あなたダメな野草ばかり集めてましたよ。センスがないんじゃないですか?」とのお言葉までいただいて僕自信なくしちゃう。でも僕は真面目に頑張るって決めたからやるよ。貧乏貴族としての昔取った杵柄である野草ハンターとしてのプライドに火が付いたよ。もりもりにかごに積んで先生をびっくりさせてやる。

助手のシダーさんが部屋の隅から気の毒にって視線で同情してくれるけどお気持ちだけで。って思ってたら何かあるといけないからって言う先生にシダーさんも一緒に行ってくれるとのこと。自分も採集したいものがあるからって言ってくれるシダーさんはいい人。午後の授業がない僕はお昼休みにさっさといってしまうことにした。アーノルト様に会わずにすんでラッキーとかは思ってないよ。いやちょっと期待しちゃいそうだからあまり会いたくないのはあるけどね。ミカが変なこと言うからきたいしちゃうよ。でもやっぱりさー王子様と貧乏貴族の恋物語とかシンデレラとかみたいな可愛い女の子が主人公だから成立する話でしょ。モブモブ貧乏ボーイな僕じゃぁ駄目じゃない、色々と。

アーノルト様が僕のことを好きだって言ってくれたらちょっとは自信につながるけど。ううん。だめだめ。変な期待をしたらだめだ。


この前と同じように転移門をくぐればそこはすぐに野草園、春とはいえ曇り空の今日は少し肌寒い。天気が崩れないといいけどと思いながら森の方へむかう。

「そういえば何かあるといけないからっておっしゃってましたけど、何が起きるっていうんでしょう」

「まあ森があるから用心ってことさ。昔々には魔物が跋扈していたのがこのトラウム王国の森だからね。最近の子は魔王の伝説とか信じてないだろうけど。先生はああ見えて心配性なんだよ」

「はあ、建国時に魔王を倒したことにより魔物がすくう森がめぐみの森に変わったってやつですね。500年前のこととはいえあれって眉唾じゃないですか?」

「まあ昔と比べるとこの世界を巡る魔素の量が少なくなってるなんて研究結果が発表されてるし。昔は今の魔法使いが足元にも及ばないくらい魔法使いたちが強かったのかも。大魔法使いも魔王もいた方が夢があると思わないかい?魔素が多かったせいで植物たちも自立歩行してたって論説もあるしね」

前世で魔法がなかった世界で生きてた僕にはミカの治癒魔法も信じがたいレベルなのに魔王と勇者たちの大戦物語は到底信じられるレベルじゃない。山のように大きな魔石やそれを隠し守っていた魔物達。地下迷路に天空に浮かぶ魔王城。ファンタジーが過ぎて前世のゲームの世界だと言われた方が納得できる。

「夢があるっていうか動く植物って言うと人食い植物みたいなやつを考えちゃうんで怖いなぁとおもいますけど」

「そう?今でも魔素を大量に与えると急激に成長する植物とかもあるし植物の適応力を考えると今はこの環境に合わせて最適化してるだけで昔は色々と面白かっただろうと思うなぁ。植物だからって狩りが待ちの姿勢とは限らないんだよ?」

シダーさんの言葉に前世のジャングルに咲くラフレシアのように巨大な花が魔物がすくう森で僕を誘う香りを放ち、花から伸びた触手でぐるぐる巻にされる自分を想像し思わず顔をしかめた。

ヌメヌメとした液体に絡め取られて身動きがとれなくなったらクレーンのように吊るされて大きな袋状の器官に放り込まれてじっくりと溶かされていく。出来上がったスープは栄養たっぷり、花が動く度にたぷんたぷんと音がするんだ。そしてそのスープを狙って別の魔物がやってきて。食物連鎖が続いてゆく。

我ながらあまり気持ちの良い想像ではなかった。

「うぇぇ」

「ははは。大丈夫。僕が学園に入ってからこの森で何か起きたことはないからさ。心配しなくても大丈夫だよ。保証する、絶対」

物語では心配するなとか絶対大丈夫とか言うと逆のことが起きやすいんだって。知ってる?僕は知らなかったよ。

人はそれをフラグというんだよねぇ。もちろんそんなことに僕らが気づくことはなかったけどね。





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