ストック

︎冬

文字の大きさ
上 下
1 / 1

ストック

しおりを挟む
「兄弟で同性で恋人で。」





















僕は、2パターンの夢しか見れない。

一つ目は、

灰色の空の下で大好きなお兄ちゃんと僕が楽しそうにぐるぐるぐるぐる廻っている。大好きで大好きで大好きで大好きなお兄ちゃん。これは、本当に幸せな夢。お兄ちゃんが生きてるだけで幸せな夢。


2つ目は、

水に溺れそうになってる、お兄ちゃんと僕が川に浮かんでいる。お兄ちゃんが動かない。冷たい。たすけてたすけて。お兄ちゃんをたすけて。これは、正夢になった悪夢。お兄ちゃんが死んだ大っ嫌いな夢。


いつも肝心な所で目が覚める。

一つ目の夢は、お兄ちゃんが、灰色の空の下でぐるぐる廻って僕に手を伸ばしてくる。お兄ちゃんが笑ってぐるぐるぐるぐる廻っている。無邪気で可愛いお兄ちゃんが僕は大好きだ。だから、僕は、お兄ちゃんに「大好き」と伝えようとする。だが夢は、いつもそこで終わる。何故言わせてくれないのだろう。血が繋がっていないからなのか。兄弟だからなのか。それとも、お兄ちゃんと僕の性質が真反対だからだろうか。それとも、僕とお兄ちゃんが同性だからだろうか。只の夢なのに、深入りし過ぎて、そんな事ばかり考えてしまう。

2つ目の夢は、お兄ちゃんと僕が川で溺れている夢。お兄ちゃんは、泳げないからゴボゴホ水の中で泡を吹いて、僕もバタ足くらいしか出来ないので、どんどん溺れていく。水中は、冷たい。お兄ちゃんの身体も冷たい。息をしていない。揺さぶっても身体も動かしてくれない。それどころか目も開けてくれない。お兄ちゃんは、多分死んじゃった。上を見上げると光が差し込んだ。僕は、お兄ちゃんを抱えて一生懸命泳ぐ。泳いで泳いで泳いで、そこに船が通る。「お兄ちゃんをたすけて」そう言おうとする所でいつも目が覚めて夢が終わる。お兄ちゃんを助けないといけないのに。お兄ちゃんがまだ川の中で溺れて藻掻き苦しんでいる。「たすけてたすけて」「なんでお前だけ」そう言っている。だから僕は、この夢を見た日は、必ずお兄ちゃんの墓参りに行く。「大好き。大好きだよ。僕だけ生きてごめんね。苦しかったよね。ごめんね。」墓参りに来ては、同じ事を毎回毎回繰り返して言っている様な気がする。

お兄ちゃんが死んだのは、今から一年半前の春。お兄ちゃんが死んだのは、僕のせい。僕があの悪夢を見始めてから、お兄ちゃんは、死にたいと言い出した。それまでは、平均より上で、どちらかと言えばカースト上位の人だった。勉強も出来て顔も良いし友達も沢山居た。絵に書いた様な完璧人間で、四字熟語で言えば、美麗秀句というか十全十美だった。僕は、お兄ちゃんが大好きだった。自他共に認めるブラコンで、教室には、毎日の様に行っていた。そのせいかお兄ちゃんのクラスの人達とは、仲良くなれた。僕が先輩達と楽しそうに話していると、お兄ちゃんが「あお、こっち」と不貞腐れながら膝の上に乗れと言わんばかりに太ももをパンパンと叩いていた。僕が、お兄ちゃんの膝の上に乗るとお兄ちゃんは、満足気な顔をして先輩達を見る。先輩達は、「ずるいぞー」や「嫉妬とか醜いぞー」等と笑いながら言っていた。それでもお兄ちゃんは、「羨ましいなら引き剥がしてみろー」と言っていた。お兄ちゃんも先輩達も僕がお兄ちゃんから、離れないのは、知ってる癖に「離れろよ」とか「引き剥がしてみろ」なんて言う。先輩達に囲まれてるだけなのに嫉妬するお兄ちゃんが大好きだった。お兄ちゃんは、僕と血縁関係が無い事を母から聞くと、ボディタッチが以前より過剰になった。一緒に寝るようになった。僕とお兄ちゃんには、親が居ない。僕は、父の連れ子。お兄ちゃんは、父の恋人の連れ子。僕達は、小さい頃に出会った。父と母は、僕がまだ小さい頃に出ていったので、血が繋がってないことは、お兄ちゃんから聞いた。僕は、物心ついた時から、お兄ちゃんが大好きだった。この大好きは、兄弟愛じゃない。多分、恋愛感情だった。けれど、実のお兄ちゃんだと思っていた頃は、そんなこと言ったら駄目だと思っていたので黙っていた。そんなある日、僕は女顔で身長も低かったので、クラスの男子に襲われかけた。僕が助かったのは、お兄ちゃんのおかげだ。友達がお兄ちゃんに「あおが。あおが連れてかれた。」と伝えてくれたので僕は、襲われずに済んだ。お兄ちゃんが助けてくれて良かった。けれどその時のお兄ちゃん表情は、今でも忘れられない。今まで何をしても怒らなかったお兄ちゃんが、怖い顔をしてクラスの男子達を睨んでいた。お兄ちゃんがお兄ちゃんじゃなくなると思った。怖かった。その後、家に帰りお兄ちゃんに血が繋がってないと聞かされた。泣きたくなった。お兄ちゃんと血が繋がってない。お兄ちゃんは、兄弟じゃない。お兄ちゃんと僕は、赤の他人。お兄ちゃんから離れないと駄目なの。そんなの嫌だ。
「お兄ちゃん。僕達離れないと駄目なの?」
「そんなことないよ。いつまでも一緒に居ればいい。俺があおを守る。」
「でも、そんなのお兄ちゃんの迷惑になる。」
「別にいいよ。そんなこと気にするな。」
「僕ね。お兄ちゃんが好き。兄弟愛じゃない。恋愛感情として大好き。今言うべきじゃないのは、分かってる。分かってるけど、言いたかった。ごめんなさい。」
「俺も血が繋がってない事を早く言うべきだった。言っとけば、あおと付き合えたのに。俺も好き。恋愛感情として大好き。」
「ほんと、?嬉しい。」僕は、嬉し涙を流した。
「俺の友達と仲良くしてるとこ見て、モヤモヤして、これが恋愛感情なんだなって、気づいた。」
この日から僕達、兄弟は恋人同士になった。大好きな大好きな大好きなお兄ちゃん。この時は、幸せでいっぱいだった。
一つ目の夢を見始めたのは、お兄ちゃんと付き合い始めてから一ヶ月半後だった。最初は、お兄ちゃんの顔にモヤモヤがあって誰だか分からなかったが、夢を見続けるにつれ、だんだん顔のモヤモヤが消え、お兄ちゃんの顔が出てきた。僕の隣で寝ている大好きなお兄ちゃんが僕の夢の中でぐるぐるぐるぐる笑顔で廻ってる。幸せな夢。ずっとこの夢ならいいのに。
二つ目の夢を見始めたのは、お兄ちゃんが自殺して二週間後だった。気づいたら辺り一面水で、よくよく見ると海だった。海の上にぷかぷかお兄ちゃんと浮いていたかと思えば、どんどんどんどん沈んでいく。僕もお兄ちゃんも泳げないから、どんどんどんどん溺れていく。たすけて。たすけて。水のせいで上手く息が出来ない。お兄ちゃん。お兄ちゃん、何処。ねぇ、お兄ちゃん。答えてよ。お兄ちゃんの口や鼻から泡が出ていない。それどころか目が開いていない。ねぇ、死んじゃったの。嘘。嘘だよね。信じない。信じたくない。お兄ちゃんの死を悲しんでる僕の後ろで船のモーターの音がした。お兄ちゃんをたすけなきゃ。おーい。おーい。船に向かって声を上げ手を振るが気づいて貰えない。船までバタ足で進む。ねぇ、お兄ちゃん。大好きだよ。待っててね。今、助けるから。という所でいつも終わる。枕と顔が涙で濡れている。お兄ちゃんが隣に居れば「どうした?怖い夢でも見たのか?」と心配してハグをしてくれるのに。もう僕を慰めてくれる大好きな恋人は居ない。もうお兄ちゃんは、居ない。また来世でも恋人同士になれたらな。その時は、同性愛にも偏見が無くなってますように。そう願って僕は、また悪夢の中に入った。





















「浮気と第一章」




















私は、都内に住む24歳。私は至って平凡だ。公立の高校に行き、平均点を取り卒業した。恋愛も普通の数。顔も普通。友達の数も普通。性格も良くも悪くもない。私は、二年前まで、パン屋でアルバイトをしていた。そこで出会った佐々木 佑と付き合っていた。佑と別れてからもう一年半が経つ。佑と付き合った期間は、約一年だ。互いが忙しかった事もあり、付き合ってから三ヶ月後位からは、時々しか会っていなかった。というか私は、会いたくなかった。その時は、倦怠期が私にも来たんだと思っていた。付き合った当初は、毎日電話していたし、毎日の様に会っていた。そんなラブラブ生活は、一瞬で終わった。佑が他のアルバイトをし始めたのだ。私は、別に気にしてもいなかった。余り会えなくなると言っても一週間に一回は、会えると思っていたからだ。けれど私の思いと裏腹に、佑は、忙しいばかり言い、私に会ってくれなくなった。電話も断り続けられ、私は、不審に思い、佑のアルバイト先に内緒で行った。すると、アルバイト先の女の子とキスをしていた。私は、驚いたが証拠を掴まないと、と思い、写真を撮ろうとした。その時、私の足元に置いてあった掃除用のモップが私の足に引っかかった。私は、大きな音を立てて転けた。その音で佑とその女の子に見つかり、そこで佑に「そんな事する人だとは、思わなかった。別れよう。」と言われたのだ。腹が立った。なんでお前が別れようと言う立場なのか。私だって、お前が浮気する人だとは、思わなかった。浮気するぐらいなら、私と別れてからすればいいのに。と佑に向かって言いたかったが、言っている途中で涙が溢れて話にならないと思い、言うのを辞めた。私は、佑に「わかった。さよなら。」と言いその場を後にした。私は、電車の中で泣いた。声が少し漏れていたので、周りの人に迷惑をかけたかもしれない。だが、泣かないと私は、私じゃなくなる気がした。今、泣かないと私は、佑を許してしまいそうだった。私は、電車に乗っている間、ずっと泣いており、家に帰っても涙が止まらなかった。家に帰り、冷静になって考えると、やはり佑が悪いと思った。私は、わざわざ電車を乗って一時間半かけて佑に会いに行っていた。佑がオムライスが好きと言っていたので、私は、会う度、オムライスを作っていた。佑が好きだと言っていたエヴァンゲリオンのフィギアも一週間後にある佑の誕生日渡そうと思っていた。佑にしていた事、しようと思っていた事が全部馬鹿らしくなった。私が会いたくなかったのは、倦怠期が来たんじゃなかった。佑が浮気してると勘づいていながら心の中で否定していただけだった。私は、佑と別れてから佑のSNSを全てブロックし写真も全部消した。後から、佑が私の悪口を言っていた事を風の噂で聞いた。内容は、私が佑の為を思い、頑張っていた事だった。「毎週会うとオムライスを作ってくるがいい加減飽きた。」「美味しくない。」「一時間半もかけて会いに来てる。と言われても会いに来てくれなんて頼んでいない。」「あんな奴と付き合わなきゃ良かった。」と男友達やバイト先の人達に愚痴を言っていたらしい。そんな事思っていたのなら、言って欲しかった。迷惑だったのなら、言ってくれれば良かったのに。その時から私は、恋愛を辞めた。辞めたと言うより、恋愛が怖くなった。今では、恋人に尽くすのでは無く、本屋巡りと美術館巡りが趣味になった。この前、本屋で評判が良いと噂の本を買った。それが20代の知見という本だ。その本には、「辛い事が起きたら第一章終わりと思いなさい。何故なら小説は、一章の終わりに辛い事を書くからです。」と言う言葉が乗っていた。私は、確かにと思った。辛い事を忘れないと前に進めないと思ったからだ。私は、辛かった佑との恋愛を第一章に置いていく事にした。これからは、一人で趣味を楽しんでいこうと思う。それでは、私の第二章始まり


















「虐めJK」



















私は、今年、華の女子高校生になった。世の中の女子高校生達は、寒さをも我慢して生足を出してる。私も出そうとは思うが寒くてタイツを履くと思う。今の時代は、痩せてる子が大半だ。私もその中のひとりなのか。私は、周りから心配される程に身体が白く痩せ細っている。白いのは、日焼けしないのもあるが日焼け止めを毎日塗っているからだ。痩せ細っているのは、トラウマのおかげだ。昔の私は、元々ご飯、お菓子が大好きで、特に天ぷら等の油っこい物が好きだった。私は、小学五年生まで満腹になるまで食べ、三時になるとお腹が空いていなくても食べる。私は、食にしか興味が無かった。食以外に興味がいかなかった。けれど、そんな食の興味も小学六年生になると無くなっていた。小学五年生の頃、私の体重は、平均よりずっと重い58キロだった。家族からは元気で何よりと言われ、クラスの女子からは、本当に美味しそうに食べるよね!と言われるがクラスの女子達の目は、私を蔑んでる目だった。クラスの男子からは、(その時の私の身長は、クラス内では、下の153だった)チビデブと簡単で小学生がいかにもつけそうなあだ名で呼ばれていた。クラスの男子に言われてるだけならまだ良かったのだが、身体測定の際に、クラスのリーダー格の女子に体重を見られ、その日から私の名前は、クラス全員が公認した"チビデブ”という名前になった。私は、一日位で終わるだろうと甘い考えをしていた。その翌日、学校に行き皆に「おはよう」と言った。そしたら、皆は、「おはよ!チビデブ!」と元気な声で、皆で声を揃えて、言ってきたのだ。その日皆は、私の事をチビデブとずっと呼んできた。給食の時も「あっ!チビデブ!チビデブは、勿論大盛りだろ?言われなくても分かってるって!」と言われ何も言っていないのに、給食全部が大盛りになっていた。休み時間の時も私達は、クラス全員でサッカーをしていたのだが、クラスのある男子がボールを遠くまで蹴ってしまったのだ。それを私に取りに行かせてる間も大きな声で「おーい、チビデブー!早く取ってこいよー、おっせえなあ」と笑いながら言われた。帰る時も時間割りを見ていただけなのに、クラスのリーダー格の子が居る女子グループに「チビデブ、もう明日の給食見てるの?笑。」と鼻で笑いながら言われた。私は、その日から大好きだった学校が嫌いになった。ご飯も見たくない程嫌いになった。学校から帰ってきて早々風呂にも入らず「ただいま」とも言わず自分の部屋に駆け込んで行く私を見て、母は、なんて思っただろう。父は、母からこの事を聞いて何と思うのだろうか。そんな事を考えているといつの間にか寝ていた様だった。辺りは、もう真っ暗で時計を見ると21時32分だった。流石にお腹が空いたので下に降りた。リビングの電気は消えて真っ暗だったが、いい匂いがした。私は、電気をつけた。そこには、天ぷらと天つゆがラップにかけられ置いてあった。その上には、書き置きがあった。『何があったかは、聞きませんが、お腹が空いたのならこれを電子レンジで温めて食べなさい。おやすみなさい。』と書いてあった。私は、天ぷらと天つゆを電子レンジの中に入れようとした時、ハラりと紙が落ちた。私は、天ぷらと天つゆを電子レンジの中に置いてから、その紙を拾った。その紙には、『嫌な事があったのなら聞くからね。とりあえず、亜紀が元気なら良かったです。また明日。』と書いてあった。私は、一個前の手紙でも泣きかけたというのに、この手紙でも泣きかけた。一個目の手紙は、母の字だった。母は、私の詮索はしない。穏やかでいい人。頼れる人。という印象だったが少しヒステリックな所もあった。二個目の手紙は、父のものだ。字がカクカクしているのですぐ分かった。父が私にこんなこと言うのは、初めてだったと思う。父は、口下手で堅物で真面目だった。近所の人からは、”家族より仕事"という印象がついてるかもしれないが、父は、愛妻家だと私は思う。天ぷらと天つゆを電子レンジで温めて居る時にスマホの通知音が鳴った。誰だろうと思った。出来ればクラスの人じゃないといいなと私は、強く願った。通知音は、兄からだった。「父さんから聞いたけど、嫌な事あったのか?明日は、バイトないから一緒に買い物に行こう。リフレッシュしようか。」と来ていた。多分父が心配で兄にも言ったんだろう。私は、兄からのメッセージに「ほんと!やった!」と返信した。兄の事は、大好きだ。出かけるのも嬉しい。だが、私みたいなチビデブが兄の隣に並んでいいのか。兄は私と真逆でスラッとしていて身長も高い。その上芸能人並みの顔だ。そんな人の隣に私みたいなチビデブが。顔も下の下の奴が並んでもいいのか。兄に聞いたら多分「そんな事ない。亜紀は可愛い。ちょっとぽっちゃりしてるだけだ。」こう言うだろうな。私は、その言葉を兄に送り、送信取り消しを押した。その後は、夜中まで眠れずに結局3時間ぐらいしか眠れなかった。兄の部屋に行くと兄がまだ寝ていた。下から声がするので多分母と父だろう。私は、下に降りドアを開けた。また「チビデブ!おはよ!」と言われるかもしれないと怖かったが私は、勇気をだして開けた。すると母と父が「おぉ、起きたのか。おはよう。」と言った。父が「お前もおはよう」と言うので、兄が起きたのかと思い振り返った。勢い良く振り返ったので兄のお腹にぶつかって「ぶぇ」と不細工で潰れたカエルのような声が出た。兄は「なんだその声笑」と笑い洗面所に消えていった。母が口を開き「今日、お兄ちゃんと出掛けるんでしょう?用意しなくていいの?」と言われ、私は兄と出かけることを思い出し用意をし始めた。私は、母から亜紀の骨格はウエーブだからスカートを履いた方が細く見えるわよ。と言われカーディガンに黒のスカートを履いて厚底を履く事にした。兄も準備が出来降りてきた。私は、兄に「どお?」と聞き、スカートをフワッとさせながら一回りした。兄はグッジョブと良い、靴を履いた。私達は、行ってきまーすと言い、兄の車に乗ってカフェ巡りをした。兄にも母にも父にもこの事は言っていない。絶対言いたくない。私は、この事がトラウマになりご飯を見るだけで吐き気がし食べ物自体を食べなくなっていった。野菜、果物、飲み物、ゼリー等は食べれたが、天ぷら等の油っこい物、米系、麺類は、身体が受け付けてくれなかった。私は、食べたかった。せっかく母が。父が。兄が買ってきてくれたのに。作ってくれたのに。私のせいで全部駄目になる。私は、私が大っ嫌いになった。こんな太いウエストが無ければ。こんな太い足が無ければ。こんな太い腕が無ければ。こんな顔が大きくなければ。こんなに鼻が低くなければ。こんなに頭が悪くなければ。私は、私の全部を否定し自分を傷つけた。私は、痩せ細り、引きこもっていたせいか太陽の光を浴びなくなったせいか身体が白くなっていた。そんな私の醜い姿を今の時代は、羨ましがり欲しがりどうやってそうなったのかと経緯を聞いてくる。私の高校のクラスの女子達は「30キロ代になりたい~」等馬鹿げた事を言っている。もう既に細いと言うのに。細くなっても心配されるだけなのに。そんな事を考えていると、クラスにギャルが入ってきた。このギャルは、ルーズソックスというものを履いていた。一昔前のギャル時代は、ルーズソックスが流行っていたらしい。私が女子高校生になる時は、そんなの流行ってないだろうな。なんて考えていたのに、どうやらまた流行りだしたらしい。この間、ニュースでルーズソックスを履いた人がインタビューされてるのを見た。その人は「時代は巡るという事ですね。」と言っていた



















「亡霊の舞う過去を今日も哀している」



















僕は生きるという行為を諦めました。

僕は死ぬという行為に興味を持ちました。

僕は自殺行為と自傷行為を始めました。

僕は今年精神障害者になりました。

僕は毎晩泣いている気がします。

君は愛される事を諦めました。

君は人を信じる事を諦めました。

君は人を愛する事に命を懸けました。

君はずっと僕の傍にいる気がします。

僕は死ぬ事に命を懸けます。

君は愛される事に命を懸けます。

僕は君の事が好きでした。

君が僕の事をどう思って居たかは知りません。

君の想いは死ぬまで知りたくありませんでした。


昔の話ですが中学生の時、遊園地に君と二人っきりで遊びに行ったのを僕は昨日の事のように覚えています。僕は、その日に観覧車で君に告白しました。君は僕の告白に返事をくれませんでした。次の日、君は、学校に来ませんでした。君の机の上には、百合の花が置いてありました。君が死んだと言う事を僕は理解しました。君は僕に手紙を残していました。

「告白嬉しかった。私も君が好き」

僕は困惑しました。

両想いならあの時「私も好き」と何故言わなかったのか。

理由は簡単でした。

君は虐められていて今日死のうと決心していた事。

先生に見て見ぬふりをされた事。

僕が遊園地で遊びたいと誘った時、泣く程嬉しかった事。

僕に告白された時一瞬戸惑った事が、君の部屋で見つけた紙で分かりました。僕は君の事が悩んでいる事を、全く知りませんでした。僕は君の悩みを一緒に悩みたかった。僕は君と笑い合いたかった。僕は君と一緒に生きていたかった。なんて今更言っても遅いのは知っています。もっと早くに自分の気持ちを、伝えれば良かったと後悔しています。

暖かい春の日に僕は君の墓参りに行きました。僕は、手を合わせてこう言いました。

『来世ではもっと早くに逢い、愛し合いましょう。君は、僕の運命の人は君なのですから。』と言って僕は墓に花を置いて家に帰りました。僕が君の墓に置いてった花は、胡蝶蘭の花。花言葉は『永遠の愛』

時は進み、寒い冬の日。

僕は君に手紙を書きました。

「死人に手紙を書いた」なんて馬鹿げた話ですが、僕は僕が生きている間にどうしても、あの人に伝えたかったのです。

『僕は其方の世界で君に逢い、君の声で。君の言葉で告白の返事を聞こうと思っている』と___。



















「君は何故死んだのか」




















僕には、好きな人が居る。その人とは、幼稚園からの腐れ縁。その人とは、多分スキンシップが激しい方で僕は、その人が僕に触れる度、ドキドキしていた。こんな想い、絶対バレてはいけないと思っていた。最近、その人が僕に恋愛話をふっかけて来るようになった。好きな人でも出来たのかと思い「君、好きな人、居るの?」と聞いてしまった。その人は、俯いたまま頷いた。僕は、その時点で失恋したと思った。その時、たまたま通りかかったクラスメイトが『え?!なになに?好きな人いんの?誰?やっぱ可愛い女の子だよなあ』と言ってきた。僕は、心が痛くなった。「やっぱり君も女の子が良いよな」と思った。その場に居ると僕は、涙が出そうだったので「先、帰る」と言ってその場を後にした。その翌日の放課後に「大好き」と書かれた紙を、君に渡された。僕も君が好きと言った。だけど君は驚いた様な悲しい様な顔をして、教室から飛び出した。翌日から君は学校に来なかった。僕は、なんで来ないのだろうか。そう思った。1週間後、君は自殺した。君は僕に手紙を残していた。「同性だし、無理だよね。僕はずっと好きだよ。」と書かれていた。あの時僕も紙で好きと答えればよかったと僕は後悔した。だって君は耳が聞こえないんだもの。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...