救世主として転生させられたが余計なスキルのせいで快適な異世界生活どころじゃない。良かれと思ってだろうがスキル解除するまで世界は救ってやらない

takaoka

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23話 お人よし

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「やっぱり君達に頼んで正解だったよ。これはお礼だ」

また大量の硬貨の入った袋を差し出す。こんなに困っているというのによくそんなお金が出せるものだ。

「ありがたく受け取りますがこれ以上の依頼は勘弁してください」

「ははは、しばらくはお願いすることはないから安心してくれ。おかげで街の周囲はかなり安全になったよ」

「それはどうも。この街のためになったのならこちらとしても嬉しいです」

こうして無事に依頼を達成した俺達は自由の身となった。そして手元には大量のお金、普通なら喜ばしいことなのだが今の俺達にはなんとも言えない。

「さて、このお金どうするかな。もちろんあるに越したことはないんだけどこのお金があってもできることはあまり変わりそうにないんだよな」

今、特にこの街は平時ではないためお金よりも現物の方が重宝されるまである。もちろん俺達の活躍によって他の街との交流も再開しだしているから時間を置けば元に戻っていくだろう。

(でも今はその時間が惜しいんだよな)

サウスの街までの中継点がしっかりしてくれないと困るから今回の魔物退治は無駄ではないと言えば確かにそうだが・・・

『結局ここより南へはいけないと判断しているようですね』

(今までの問題が解決されてないからな。ここで戦えているのも街に戻って来れるという保険があるからだ。それがない状況でどこまでできるのか。試してみるにも危険すぎるからな)

『そのお金で人を募ってみてはどうでしょう?今の貴方達なら好意的に受け止めてもらえると思いますよ』

(偶には良いこと言うじゃないか)

「なぁ、この貰ったお金なんだがこのお金を使って誰か雇うとかどうだろう?」

「・・・今の私達だけじゃここより先には行けないってことよね、わかったわ。やってみましょう。ダメもとでここまで来たんだもの少しでも足掻いてみないとね」

決まったらすぐ行動だ、ギルドの方で俺達に同行してくれるものを募集した。ありがたいことに先の件もあって優先的に探してくれることを約束してくれた。

腕に自信があって危険な旅になることを許容できる人。これが条件だ。そして最後は俺が直接その人の性格、戦闘能力を判断する。

「まぁこれで来なけりゃ諦めだ」

期間は1週間で設定した。その間暇にはなるがまぁ適当に魔物でも狩っていればいいだろう。

1週間はあっという間であったが、暇ということは全くなかった。ちょっとギルドに様子見に行ったが最後、俺達のうわさを聞き付けた冒険者に質問攻めにあったのだ。

熱心に聞いてくる冒険者たちを無碍にはできず、答えきれなかった方に対しては後日ということにした。次の日も俺への質問は止まらず勘弁してほしかったがギルド側も流石にこの事態を重く見たのかギルド側で質問をまとめてくれることになった。

助かったと言えばそうなのだがまとめてできるとはいえ、質問の量はかなり多い。そして一番困ったのが魔物の弱点を教えてくれという質問だ。俺達はそういうのは関係なく、ただ力押しに近いことをしているため全く分からないのだが何度言っても理解してもらえない。

「はぁ、俺達の実力が世間一般とかけ離れていることを痛感しているよ。早くここから離れたい気持ちでいっぱいだ」

質問への回答を書きながらため息をつく。

『適当にあしらえばよかったでしょうに。相変わらず甘いですね』

(それはそうなんだけど、実際に面向かって話されると弱くて・・・)

『次からは目立たない様に気を付けることをお勧めします』

そうだよなぁ・・・あれ?本来の目的であるスキルのこと、あれから全然進んでないけどこのままずるずる世界を救ってしまうのか?なんだかそうなったらこいつと別れる機会が一生失われてしまうような・・・

「なんだか質問以外のことで悩んでいるようだね。読まなくても大体想像はつくけど」

「そうだよ、スキルだよ。このまま進んでいったら多分色々なことに巻き込まれてそれどころじゃなくなるってのは簡単に予想できるからな。でもこのまま放っておけば人類の生活圏はどんどん減っていくだろうからなぁ」

「だけど思っているよりは粘れているんじゃない?」

「まぁみんな生きるのに必死だからな。だけど余裕のない状態がいつまでも続けれるわけじゃない。俺達みたいに強い人はいるんだろうけどそんなに多くはないだろうからな」

「なんだか恥ずかしくなってきたわ。私達が英勇みたいになってるじゃない」

「実際この街ではそうなってるだろ。今の俺を見ろ」

「確かに・・・貴方に全部押し付けてたけどそうね。私はなるべく目立たないようにしているから気にしてなかったけど見つかった時のことを考えると結構深刻ね」

「君も目立つのは嫌か?」

「当たり前じゃない。見つかっても何も特にならないからね。私の時間を奪う輩は許せないわ」

「何だか仲間ができた気分だよ」

「あら?既にパーティー組んでいるしそうじゃないの?・・・なんだろう貴方の強い思いが読めないわ。時々あるんだけどどうしてだろう。まるで何かに阻まれているかのよう」

(ん?どういうことだ?アンデレの思考は読めないってのは知っているけどそれ以外に何かあるのか?)

『もしかしたら前世の記憶に関する情報は触れることができないのかもしれません。別世界の情報に触れられると色々面倒なことになるのでありがたいと言えばそうなんだが』

「無理に読もうとしない方がいいかもしれないね。俺としては普段から自重して欲しいんだけど」

「それができるなら苦労してません。流石にその発言は起こりますよ」

「すまない、でも無理にしない方がよさそうというのは帆の津田。根拠はないけど信じてくれ」

「ふーん、まぁそうしておくわ」

ユカはそう言うと外へ出ていった。もちろん、顔が見えにくいようにして。

そして俺は残った質問への回答をひたすらに書き続けるのだった。
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