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バーベキューは犯罪や
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「園田さん、ご趣味はなんですか?」
「ああ、えーと、釣り、釣りとかですかね。あのー。」
園田誠34歳独身は親の勧めでお見合いをしている。常々、どうせお見合いに来るような女は合コンに行っても相手にされないタイプだし、基本的にちょっと太ってそうだし、歯に歯垢がたまってそうだし、軟便しか出なさそう、と語っていた園田だったが、母親に結婚してくれ、お見合いをしろと号泣されたので、とりあえず形だけはやっとこう、結婚する意欲はありますねんけどいい相手が見つかりませんねん的なスタンスでいれば、あと3年はやり過ごせるだろうというんでもってお見合いに行くことにした。
御手洗響子29歳は写真よりも何倍も何倍も綺麗だった。顔ももろタイプ。ナメクジみたいな顔のやつが来るんだろうと思って油断していた園田は極度に緊張した。
「園田さん釣りお好きなんですか?! 私も昔はバス釣りをよくしていました。」
「ああ、はい。あー、あのー、御手洗さんはあのー、他に趣味とかあるんですか?」
「私が一番好きなのはバーベキューです。」
次の瞬間、園田の右ストレートが御手洗のあばらをへし折っていた。
「な、、、なに、、なにするんですか…」
「バーベキューは犯罪なんじゃ。」
続けて顔面に左フック。
「うぎぎ…」
「バーベキューが楽しい?いい身分やな。 お前らがはしゃいでる間、俺はずーっと火を起こしとんねん。鼻にピアスに開けとる見た目からして中卒やなとわかる輩に、はよ火起こせや、言われてひざ蹴りされたわ。煙が目に沁みた。火が起こせて、少し休んでたら今度は、タバコの吸いすぎで顔の毛穴がイチゴのブツブツぐらいでかい金髪オールバックの見た目からして仕事は鳶職やなとわかる輩に肉焼けやと言われヘッドロックや。肉をずっと焼いた。網の端にある黒く焦げて肉なのか野菜なのかわからんもんを肛門に入れられた。そのまま肉を焼かされた。終わって片付けの時も、鼻ピアス中卒中絶クソ野郎に唾だけで火を消せと命じられ4時間唾を垂らし続けた。頭の中でレモンレモンレモン梅干しレモンレモンレモン梅干し梅干し梅干しと唱え続けた。この苦しみがわかるんか。わからんやろ。ほざくな。クソが。」
園田はポッケに入っていたスマートフォンを取り出し、御手洗の口にぶち込んだ。そしてもう片方のポッケからガラケーを取り出し電話かけた。御手洗の口からパッヘルベルのカノンが流れる。御手洗の奥歯はスマホのバイブに応じガタガタと鳴った。
園田は御手洗の顔面に3枚の諭吉を投げつけ、店を出た。
御手洗は思った。
「3万て…」
「ああ、えーと、釣り、釣りとかですかね。あのー。」
園田誠34歳独身は親の勧めでお見合いをしている。常々、どうせお見合いに来るような女は合コンに行っても相手にされないタイプだし、基本的にちょっと太ってそうだし、歯に歯垢がたまってそうだし、軟便しか出なさそう、と語っていた園田だったが、母親に結婚してくれ、お見合いをしろと号泣されたので、とりあえず形だけはやっとこう、結婚する意欲はありますねんけどいい相手が見つかりませんねん的なスタンスでいれば、あと3年はやり過ごせるだろうというんでもってお見合いに行くことにした。
御手洗響子29歳は写真よりも何倍も何倍も綺麗だった。顔ももろタイプ。ナメクジみたいな顔のやつが来るんだろうと思って油断していた園田は極度に緊張した。
「園田さん釣りお好きなんですか?! 私も昔はバス釣りをよくしていました。」
「ああ、はい。あー、あのー、御手洗さんはあのー、他に趣味とかあるんですか?」
「私が一番好きなのはバーベキューです。」
次の瞬間、園田の右ストレートが御手洗のあばらをへし折っていた。
「な、、、なに、、なにするんですか…」
「バーベキューは犯罪なんじゃ。」
続けて顔面に左フック。
「うぎぎ…」
「バーベキューが楽しい?いい身分やな。 お前らがはしゃいでる間、俺はずーっと火を起こしとんねん。鼻にピアスに開けとる見た目からして中卒やなとわかる輩に、はよ火起こせや、言われてひざ蹴りされたわ。煙が目に沁みた。火が起こせて、少し休んでたら今度は、タバコの吸いすぎで顔の毛穴がイチゴのブツブツぐらいでかい金髪オールバックの見た目からして仕事は鳶職やなとわかる輩に肉焼けやと言われヘッドロックや。肉をずっと焼いた。網の端にある黒く焦げて肉なのか野菜なのかわからんもんを肛門に入れられた。そのまま肉を焼かされた。終わって片付けの時も、鼻ピアス中卒中絶クソ野郎に唾だけで火を消せと命じられ4時間唾を垂らし続けた。頭の中でレモンレモンレモン梅干しレモンレモンレモン梅干し梅干し梅干しと唱え続けた。この苦しみがわかるんか。わからんやろ。ほざくな。クソが。」
園田はポッケに入っていたスマートフォンを取り出し、御手洗の口にぶち込んだ。そしてもう片方のポッケからガラケーを取り出し電話かけた。御手洗の口からパッヘルベルのカノンが流れる。御手洗の奥歯はスマホのバイブに応じガタガタと鳴った。
園田は御手洗の顔面に3枚の諭吉を投げつけ、店を出た。
御手洗は思った。
「3万て…」
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