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翌日、雨天の明朝に目を覚ましたシャステは、自分を抱きしめたまま眠るレーベの顔を見て、瞳を閉ざして小さな息を吐いた。
「……ひとの顔を見てため息を吐くのはやめてくれる?」
けれど、そんな彼女の頬を長い指がつつく。
いつの間に、あるいはいつから起きていたのか、レーベのどこか不安そうな青い瞳がじっとシャステを見つめていた。
「……レーベ、婚約、破棄して」
もう一度シャステがそれを言うと、頬に触れていた指が首筋をなぞり鎖骨を辿る。レーベは何も答えないまま、シャステをきつく抱きしめた。
彼女を庇って斬りつけられたあの日のように。そして、あの頃よりずっと大きな手がシャステの黒い髪を撫でる。
しばらくして、彼は甘く囁くように言う。
「……嫌だ、って言ったら?」
予想していたとはいえ、変わらない婚約者にシャステは金色の瞳に悲しみを滲ませて怒鳴る。
「どうして分かってくれないのよっ、レーベの馬鹿!」
怒るシャステの髪を、またゆっくりと撫でて、切なそうに彼が言う。
「馬鹿はおまえのほうだ。この数年ぼくがどんな思いで居たと思っているんだ? やっと……やっとおまえを取り戻せたのに、もう二度と、手放すものか」
そこはさらっと手放してほしいというのがシャステの想いだ。またいつ操られて、彼を傷つけてしまうかも分からないのに。
けれど、もし立場が逆であったとして、レーベから離れることが自分にできただろうかと考えて、シャステは悩み、彼の胸に顔をうずめた。
「……好きなの、あなたのことが」
小さく呟く。シャステの華奢な身体を抱きしめて、レーベが答える。
「知ってる。ぼくもおまえが好きだから」
きっと、レーベをこんなに愛していなかったら、耐えられたのだ。
「だからもう、離れたいの……分かって」
レーベは何も答えず、ただ返事の代わりにシャステを抱きしめた。互いの体温が混ざりあって心地良いのに、離れがたいのに……けれど、離れなければと思う。
しばらくして、レーベが口を開いた。
「二度とあんな油断はしないし、おまえに手をださせもしない。あのときのことは……おまえの責任じゃない」
そういう言い方をされてしまうと、シャステがレーベを責めているかのようだ。こういうとき、彼はずるいと思う。
◇◇◇
その頃、二人の知らないところで進んでいる話があった。
国王の執務室を訪れたのはシャステと同じ長い黒髪に金色の瞳を持つ、白いドレスの女性。
第一王女フィエナは扇で口もとを隠して父に言う。
「お父様、シャステ、あのときのことを思いだしたのですってね」
「それがどうかしたのか? フィエナ」
机に向かっていた父が不思議そうに呟くのを見て取って、フィエナは金色の瞳を細める。
ぱちんと音をたてて扇を閉じて、彼女はにやりと嫌な笑みをうかべた。
「……お父様、その件でちょっとお話がありますのよ」
◇◇◇
「――は?」
午後になり、ようやく朝から降っていた雨もやみ始めた頃。
シャステは父の執務室に呼ばれ、告げられた言葉に無意味な音をこぼした。
「おまえとヴォルフレイア公爵の縁談を無しとする。それがおまえの望みであっただろう?」
「……え、ええ。そうだけど、急にどうなさったの? お父様」
心臓が早鐘を打ち、耳から鼓動が聞こえてくるかのようだった。
望んでいたことだ、そのはずなのに、いざ眼前につきつけられればこんなに動揺するとは。
それでも、好機であるのは間違いないのでシャステは不平を口にしなかった。
これでレーベを傷つけずにすむのなら、それでいい。
「なに、嫌がるおまえを嫁がせるのは気の毒だと思っただけだ。だが、それでは上層部の者たちも納得しない。だから代わりに、彼のもとにはフィエナに嫁いでもらうことになった」
「っ」
突然出てきた姉の名に、シャステの身体が強張る。
「ど、どうして姉さまがっ⁉」
「不服か?」
問いかけられて、言葉に詰まる。しばらく迷ったあと、シャステは首を横に振った。
「……いいえ、ありがとうございます。お父様」
フィエナは膨大な魔力も有しているし、彼を傷つけるような弱者ではない。シャステとは違って。
「ならいいが、おまえにはハーバールス伯爵家へ嫁いでもらおうかと思っている」
「はぁっ⁉」
シャステは大きな声をあげた。
「以前からおまえはヴォルフレイア公爵を護衛からはずしてほしいと言っていたことだし、これを機に彼にはフィエナの護衛を務めてもらおうと思っている。おまえの傍にはハーバールス伯爵が居れば足りるだろう」
「……と、嫁ぐって、グラナートのところに? 正気なの? お父様っ!」
あまりに突然な話ばかりだし、グラナートのところへ嫁がせるとはまた唐突なことだ。驚くなと言われても、不可能というもの。
「なんだ、これも不満なのか? ヴォルフレイア公爵でさえなければ誰でも良いと言ったのはおまえだろうに」
「――言ったけどっ!」
確かに言った、間違いなく言った、声を大にして。
なのでそこを否定することはできない。
「ハーバールス伯爵ならおまえの身も守ってくれることだろう。良い嫁ぎ先だと思っている」
「……もう決まったことなのね?」
シャステの問いに父は頷いた。それはつまり、もう覆ることはないということだ。
「分かった、あたしはそれで構いません」
頷くシャステを見て、父はにこりと微笑んだ。
「そうかそうか、ならばこれで話を進めよう」
もとより破談になってくれなければ困ることだったのだ。レーベをまた傷つけることになるかもしれないのなら、これでいい。
執務室をあとにして、シャステは小さな息を吐いた。
「姫様」
そんな彼女に扉の前で控えていたのだろうグラナートが声をかける。
「……本気、なのでしょうか? 陛下は」
「聞こえていた? それとも知っていたの?」
「私は先に聞かされておりましたので……」
シャステの問いに、彼は頷いた。
それを聞いて、彼女は少し困ったように金色の瞳を細めて微笑む。
「あなたには負担をかけてしまうわね」
シャステとレーベが愛しあっていたことは、グラナートも知っているだろう。
であれば、彼にとって負担でないはずがない。
というより、グラナートにだって恋しい相手が居たかもしれないのに。
グラナートはどこか不安そうにシャステを見つめて言う。
「私には……心に決めた相手というのはおりませんから、姫様のような苦しみは何もありません。ただ、私は姫様のことだけが気がかりなのです」
それに対して彼女は寂しそうな笑顔で答えた。
「あたしは平気よ。レーベとは破談になってくれなくては困るところだったのだもの」
「……あのときのことが……あるからですか?」
グラナートの問いに、シャステは頷く。
「もう、嫌よ。あたしの手で彼が傷つくのは……って、こんなこと、あなたの前で言うことではないわね、以降気をつけるわ」
そう言ったシャステの細い身体を、そっとグラナートが抱きしめる。
驚いて声をあげる前に、声が降ってきた。
「……無理をなさらなくていいのです。姫様が苦しんでおられるのを見ると、私も悲しくなりますから」
「――ありがとう、グラナート」
シャステがそう小さく呟いたときだった。
「随分と、仲がいいことだね」
氷のように冷えたレーベの声が響き、二人が振り向くと廊下の先に彼の姿があった。
「……ぼくと、破談になって嬉しいかい? シャステ」
腕を組んで小さく首を傾げたレーベの青い瞳には、確かに強い憎しみにも似たものがあった。
咄嗟に否定しそうになって、けれどシャステは寸でのところでそれを抑えこんだ。
嫌われてしまうなら、そのほうがいい。
恨まれても、憎まれてもいい。
シャステがしていることは、父に提示されて認めたことは、そうされても文句を言えないことだ。
「……何も答えないってことは肯定かな? 記憶を取り戻したらぼくを選んでくれるかと思っていたけど、そうじゃないんだね?」
厭味な笑みをうかべるレーベに、グラナートが眉を寄せて口を開く。
「レーベ、姫様は――」
けれどその袖をシャステが引っ張ると、彼は押し黙った。
「おまえの言葉なんか聞きたくないよ。よかったね? グラナート、これでおまえの家も安泰じゃないか」
こうも攻撃的な言葉を口にするレーベは初めてだ。
それほどまでに、彼の心が荒れているのだということが分かる。
それはきっと、シャステを信じていたがゆえにだ。
「じゃあね、二人とも……お幸せに」
それだけ言うと、レーベはその場を去った。
「……ひとの顔を見てため息を吐くのはやめてくれる?」
けれど、そんな彼女の頬を長い指がつつく。
いつの間に、あるいはいつから起きていたのか、レーベのどこか不安そうな青い瞳がじっとシャステを見つめていた。
「……レーベ、婚約、破棄して」
もう一度シャステがそれを言うと、頬に触れていた指が首筋をなぞり鎖骨を辿る。レーベは何も答えないまま、シャステをきつく抱きしめた。
彼女を庇って斬りつけられたあの日のように。そして、あの頃よりずっと大きな手がシャステの黒い髪を撫でる。
しばらくして、彼は甘く囁くように言う。
「……嫌だ、って言ったら?」
予想していたとはいえ、変わらない婚約者にシャステは金色の瞳に悲しみを滲ませて怒鳴る。
「どうして分かってくれないのよっ、レーベの馬鹿!」
怒るシャステの髪を、またゆっくりと撫でて、切なそうに彼が言う。
「馬鹿はおまえのほうだ。この数年ぼくがどんな思いで居たと思っているんだ? やっと……やっとおまえを取り戻せたのに、もう二度と、手放すものか」
そこはさらっと手放してほしいというのがシャステの想いだ。またいつ操られて、彼を傷つけてしまうかも分からないのに。
けれど、もし立場が逆であったとして、レーベから離れることが自分にできただろうかと考えて、シャステは悩み、彼の胸に顔をうずめた。
「……好きなの、あなたのことが」
小さく呟く。シャステの華奢な身体を抱きしめて、レーベが答える。
「知ってる。ぼくもおまえが好きだから」
きっと、レーベをこんなに愛していなかったら、耐えられたのだ。
「だからもう、離れたいの……分かって」
レーベは何も答えず、ただ返事の代わりにシャステを抱きしめた。互いの体温が混ざりあって心地良いのに、離れがたいのに……けれど、離れなければと思う。
しばらくして、レーベが口を開いた。
「二度とあんな油断はしないし、おまえに手をださせもしない。あのときのことは……おまえの責任じゃない」
そういう言い方をされてしまうと、シャステがレーベを責めているかのようだ。こういうとき、彼はずるいと思う。
◇◇◇
その頃、二人の知らないところで進んでいる話があった。
国王の執務室を訪れたのはシャステと同じ長い黒髪に金色の瞳を持つ、白いドレスの女性。
第一王女フィエナは扇で口もとを隠して父に言う。
「お父様、シャステ、あのときのことを思いだしたのですってね」
「それがどうかしたのか? フィエナ」
机に向かっていた父が不思議そうに呟くのを見て取って、フィエナは金色の瞳を細める。
ぱちんと音をたてて扇を閉じて、彼女はにやりと嫌な笑みをうかべた。
「……お父様、その件でちょっとお話がありますのよ」
◇◇◇
「――は?」
午後になり、ようやく朝から降っていた雨もやみ始めた頃。
シャステは父の執務室に呼ばれ、告げられた言葉に無意味な音をこぼした。
「おまえとヴォルフレイア公爵の縁談を無しとする。それがおまえの望みであっただろう?」
「……え、ええ。そうだけど、急にどうなさったの? お父様」
心臓が早鐘を打ち、耳から鼓動が聞こえてくるかのようだった。
望んでいたことだ、そのはずなのに、いざ眼前につきつけられればこんなに動揺するとは。
それでも、好機であるのは間違いないのでシャステは不平を口にしなかった。
これでレーベを傷つけずにすむのなら、それでいい。
「なに、嫌がるおまえを嫁がせるのは気の毒だと思っただけだ。だが、それでは上層部の者たちも納得しない。だから代わりに、彼のもとにはフィエナに嫁いでもらうことになった」
「っ」
突然出てきた姉の名に、シャステの身体が強張る。
「ど、どうして姉さまがっ⁉」
「不服か?」
問いかけられて、言葉に詰まる。しばらく迷ったあと、シャステは首を横に振った。
「……いいえ、ありがとうございます。お父様」
フィエナは膨大な魔力も有しているし、彼を傷つけるような弱者ではない。シャステとは違って。
「ならいいが、おまえにはハーバールス伯爵家へ嫁いでもらおうかと思っている」
「はぁっ⁉」
シャステは大きな声をあげた。
「以前からおまえはヴォルフレイア公爵を護衛からはずしてほしいと言っていたことだし、これを機に彼にはフィエナの護衛を務めてもらおうと思っている。おまえの傍にはハーバールス伯爵が居れば足りるだろう」
「……と、嫁ぐって、グラナートのところに? 正気なの? お父様っ!」
あまりに突然な話ばかりだし、グラナートのところへ嫁がせるとはまた唐突なことだ。驚くなと言われても、不可能というもの。
「なんだ、これも不満なのか? ヴォルフレイア公爵でさえなければ誰でも良いと言ったのはおまえだろうに」
「――言ったけどっ!」
確かに言った、間違いなく言った、声を大にして。
なのでそこを否定することはできない。
「ハーバールス伯爵ならおまえの身も守ってくれることだろう。良い嫁ぎ先だと思っている」
「……もう決まったことなのね?」
シャステの問いに父は頷いた。それはつまり、もう覆ることはないということだ。
「分かった、あたしはそれで構いません」
頷くシャステを見て、父はにこりと微笑んだ。
「そうかそうか、ならばこれで話を進めよう」
もとより破談になってくれなければ困ることだったのだ。レーベをまた傷つけることになるかもしれないのなら、これでいい。
執務室をあとにして、シャステは小さな息を吐いた。
「姫様」
そんな彼女に扉の前で控えていたのだろうグラナートが声をかける。
「……本気、なのでしょうか? 陛下は」
「聞こえていた? それとも知っていたの?」
「私は先に聞かされておりましたので……」
シャステの問いに、彼は頷いた。
それを聞いて、彼女は少し困ったように金色の瞳を細めて微笑む。
「あなたには負担をかけてしまうわね」
シャステとレーベが愛しあっていたことは、グラナートも知っているだろう。
であれば、彼にとって負担でないはずがない。
というより、グラナートにだって恋しい相手が居たかもしれないのに。
グラナートはどこか不安そうにシャステを見つめて言う。
「私には……心に決めた相手というのはおりませんから、姫様のような苦しみは何もありません。ただ、私は姫様のことだけが気がかりなのです」
それに対して彼女は寂しそうな笑顔で答えた。
「あたしは平気よ。レーベとは破談になってくれなくては困るところだったのだもの」
「……あのときのことが……あるからですか?」
グラナートの問いに、シャステは頷く。
「もう、嫌よ。あたしの手で彼が傷つくのは……って、こんなこと、あなたの前で言うことではないわね、以降気をつけるわ」
そう言ったシャステの細い身体を、そっとグラナートが抱きしめる。
驚いて声をあげる前に、声が降ってきた。
「……無理をなさらなくていいのです。姫様が苦しんでおられるのを見ると、私も悲しくなりますから」
「――ありがとう、グラナート」
シャステがそう小さく呟いたときだった。
「随分と、仲がいいことだね」
氷のように冷えたレーベの声が響き、二人が振り向くと廊下の先に彼の姿があった。
「……ぼくと、破談になって嬉しいかい? シャステ」
腕を組んで小さく首を傾げたレーベの青い瞳には、確かに強い憎しみにも似たものがあった。
咄嗟に否定しそうになって、けれどシャステは寸でのところでそれを抑えこんだ。
嫌われてしまうなら、そのほうがいい。
恨まれても、憎まれてもいい。
シャステがしていることは、父に提示されて認めたことは、そうされても文句を言えないことだ。
「……何も答えないってことは肯定かな? 記憶を取り戻したらぼくを選んでくれるかと思っていたけど、そうじゃないんだね?」
厭味な笑みをうかべるレーベに、グラナートが眉を寄せて口を開く。
「レーベ、姫様は――」
けれどその袖をシャステが引っ張ると、彼は押し黙った。
「おまえの言葉なんか聞きたくないよ。よかったね? グラナート、これでおまえの家も安泰じゃないか」
こうも攻撃的な言葉を口にするレーベは初めてだ。
それほどまでに、彼の心が荒れているのだということが分かる。
それはきっと、シャステを信じていたがゆえにだ。
「じゃあね、二人とも……お幸せに」
それだけ言うと、レーベはその場を去った。
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