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第一章 悪の拠点づくり
39.初めてのショウカン
「しかし、案外簡単に捕えることができたな。」
「まあこれはブラフさんのおかげとしか言いようがないけどな。」
魔法使いギルドの広間で魔法使いブラフと騎士たちが談笑していた。
今回の捕縛の立役者のブラフをソファの真ん中に囲んで、騎士たちがおだてている。
普段の冷たい扱いから手のひらを返してきた騎士に、内心うんざりしながらブラフは大人しく話を聞く。
本心は置いておいて今、騎士と仲良くなって便宜を図ってもらった方が魔法使いギルドとして益が大きいのだ。
「リヒテンシュタイナー卿も一緒にいたのは大きい。
国家背任罪を認めさせ、リヒテンシュタイナー家を没落に追い込めればまた俺たちも重用される機会が増えるというもの。」
「お前はいつもそうやって他人を追い込んで利権を得ようとするな。嫌いではないがな、ハッハッハ。」
『こんなのが国の中枢にのさばるのか。己の精神を鍛える騎士道はどこにいったのやら・・・。醜い・・・。』
騎士たちのあさましさに、さらに辟易するブラフ。
騎士を見るのも嫌になり、視線を外して遠くの地下に降りる階段の方を見る。
ちょうど、誰かが地下から上がってきた。
上がって来た人間は魔法使いギルドの人間でも騎士でもなく、その両手に包帯でグルグル巻きの人間を抱えている。
「えっ!?あれって・・・!?」
ブラハはすぐに立ち上がって指差す。
「どうしたんだ?」
騎士たちは振り返った。
訓練の賜物というか、一瞬で状況を察した騎士たちは身構える。
「お前!どうやって脱出したんだ!?」
騎士の一人が狼狽えながら、地下から上がってきた人物―――キチクに向かって吠える。
「こうやってだよ・・・。」
俺はぼそりと呟き、二度目になる魔法を行使する。
一度目は俺を繋いでいた鎖を解くときだ。
魔法の事を考えて、目の前にマジックウインドウを立ち上げる。他の人には見えない青白いウインドウだ。
俺はステータスウインドウが開ける。だからか、マジックウインドウも開けるらしい。
他の人はどうかわからないが、俺は選ぶだけで簡単に魔法を行使することができるみたいだ。
▶Tahmurath
を選択し、いくつかある魔法から、
▶Capture in the chain
を選択する。
その瞬間に、俺の周りにブラックホールみたいな穴が3つ出現する。
そこから例の瘴気を纏った鎖が飛び出す。
見事にうまくいき、3人を鎖で縛った。
よし!できたぜ!他人に向けて初めて魔法を使ったからうまくいって結構うれしい。
「ばぁかな!タフムーラスの境界の起請文はこのギルドに厳重に保管してある!なぜ!?」
魔法使いブラフの見事なまでの狼狽に、俺はご満悦。いいリアクションするね。
俺はしたり顔を浮かべ、さらに魔法を続ける。
▶Tahmurath
▶Summons
「おおおお!?」
急激に体の何かを吸われるような感覚がして思わず俺は声を上げてしまった。大量にMPを吸われたのかな?
ズンッ。
突如、魔法使いギルドの広間の空気が重くなったような気がする。
自分の足元近くに直径1m程のブラックホールみたいな穴が広がっていて、大量の黒い瘴気がドライアイスの様に吹き出し、周囲に漂い始めた。
ギュルルルル!
そのブラックホールみたいな穴からタフムーラスの鎖が伸びてくる。
それは俺の右腕に絡みついた。
いや、正確には『熊手』にだ。
その熊手を支えにして、ギシリ、ギシリ、と音を立てて鎖を巻き上げていく。
そして、
ついにタフムーラスは穴から顔を出した。
《よくやった。キチクよ・・・。》
顔だけ出ていたタフムーラスはその後、ゆっくりと空気中に浮かび上がる。
全身に不気味な瘴気を纏わせ、ほとんど全身を鎖で縛られている。
目は縫われたまま閉じられていて、手はやはり交差して鎖に縛られたまま。
キチクが地獄であった時と全く同じ状態だ。
「まじかよ・・・・これがタフムーラス・・・・召喚したのか・・・?」
腰を抜かすほど驚き、狼狽えるブラフ。もちろん、ブラハはタフムーラスにあったことなどなく、ただ力を借りる契約をして魔法を使っているだけだ。
今、この目の前の現象がとてもやばいことなのだということを誰よりも気づいていた。
地獄の悪霊を現界させる。それは世界に干渉できる害悪そのものなのだ。
周りの騎士はなにか大変なことが起こっているのだとは感じていたが、いまいちわかっていなかった。ただ身構えたまま、普通ではないこの現象を呆然と見続けている。
《久方ぶりの娑婆の空気か。悪霊となった今ではあまりうまいものとはいえんな。》
タフムーラスは感慨深いような面持ちで深呼吸をし、一人呟く。
「あの、タフムーラス?
嬉しいのはわかるけど、そろそろそれ隠さない?」
俺はタフムーラスの股間を指さす。
タフムーラスは地獄と全く同じ格好。すなわち、鎖で縛られているだけで裸なのだ。
イチモツがブルンブルンしている。
外人サイズでデカイからって恥ずかしくないのかもしれないけど、こっちが不愉快だ。
こんなの見てたら自分の矮小さに自信を無くすデスよ・・・。
《これは失礼。
それでは娑婆の空気で小腹が空いたし、食事にするとしよう。この騎士たちは問題ないだろう?》
「えっ?」
俺はタフムーラスが何を言っているかわからなかった。
だが、タフムーラスはもう聞いていない。
《我が体に顕現せよ、悪魔アンラ・マンユ》
タフムーラスのお腹から下が、内部から膨張するようにボコボコと膨らみ始める。
それはもうイチモツがとんでもない大きさに。
そして、馬の頭になる。
そのまま下半身は拡大していき、あっという間に筋肉隆々の大きな馬の形になった。
色も黒くなっていて瘴気を纏い、まがまがしく真っ黒な馬の瞳が光る。
その馬の胴も鎖に縛られてはいる。
タフムーラス自体もそれで背が高くなっていて、それはもうすごい迫力となっている。
天井が高かったため、頭はぶつかってはいない。
《さあ、何百年ぶりの食事だ!》
タフムーラスの声とともに馬が大きく口を開けた。
開けすぎじゃね?と思うくらい開いている。明らかに口が裂けている。
中からは草食の馬のものではない、鋭く滑った牙が覗く。
そのまま、呆然としている騎士に襲い掛かる。
「うわあああああ!!」
グチャリ。
騎士は頭から胴体まで食われる。
さらにあっという間に足まで馬に食われてしまった。
その場には大量の血痕が残るのみだ。
《よいぞ。なかなかの美味だ。》
その後、その場にいた騎士7人。見るも無残な最期となる。
悲鳴を上げて逃げだす魔法使いギルドの女性や下働き。
ブラフは恐怖に駆られて身動きできず、アワアワと口を震えさせている。
そういう俺も、あまりの凄惨なホラーにちょっとちびった。
カオスゲージ
〔Law and order +++[63]++++++ Chaos〕
「まあこれはブラフさんのおかげとしか言いようがないけどな。」
魔法使いギルドの広間で魔法使いブラフと騎士たちが談笑していた。
今回の捕縛の立役者のブラフをソファの真ん中に囲んで、騎士たちがおだてている。
普段の冷たい扱いから手のひらを返してきた騎士に、内心うんざりしながらブラフは大人しく話を聞く。
本心は置いておいて今、騎士と仲良くなって便宜を図ってもらった方が魔法使いギルドとして益が大きいのだ。
「リヒテンシュタイナー卿も一緒にいたのは大きい。
国家背任罪を認めさせ、リヒテンシュタイナー家を没落に追い込めればまた俺たちも重用される機会が増えるというもの。」
「お前はいつもそうやって他人を追い込んで利権を得ようとするな。嫌いではないがな、ハッハッハ。」
『こんなのが国の中枢にのさばるのか。己の精神を鍛える騎士道はどこにいったのやら・・・。醜い・・・。』
騎士たちのあさましさに、さらに辟易するブラフ。
騎士を見るのも嫌になり、視線を外して遠くの地下に降りる階段の方を見る。
ちょうど、誰かが地下から上がってきた。
上がって来た人間は魔法使いギルドの人間でも騎士でもなく、その両手に包帯でグルグル巻きの人間を抱えている。
「えっ!?あれって・・・!?」
ブラハはすぐに立ち上がって指差す。
「どうしたんだ?」
騎士たちは振り返った。
訓練の賜物というか、一瞬で状況を察した騎士たちは身構える。
「お前!どうやって脱出したんだ!?」
騎士の一人が狼狽えながら、地下から上がってきた人物―――キチクに向かって吠える。
「こうやってだよ・・・。」
俺はぼそりと呟き、二度目になる魔法を行使する。
一度目は俺を繋いでいた鎖を解くときだ。
魔法の事を考えて、目の前にマジックウインドウを立ち上げる。他の人には見えない青白いウインドウだ。
俺はステータスウインドウが開ける。だからか、マジックウインドウも開けるらしい。
他の人はどうかわからないが、俺は選ぶだけで簡単に魔法を行使することができるみたいだ。
▶Tahmurath
を選択し、いくつかある魔法から、
▶Capture in the chain
を選択する。
その瞬間に、俺の周りにブラックホールみたいな穴が3つ出現する。
そこから例の瘴気を纏った鎖が飛び出す。
見事にうまくいき、3人を鎖で縛った。
よし!できたぜ!他人に向けて初めて魔法を使ったからうまくいって結構うれしい。
「ばぁかな!タフムーラスの境界の起請文はこのギルドに厳重に保管してある!なぜ!?」
魔法使いブラフの見事なまでの狼狽に、俺はご満悦。いいリアクションするね。
俺はしたり顔を浮かべ、さらに魔法を続ける。
▶Tahmurath
▶Summons
「おおおお!?」
急激に体の何かを吸われるような感覚がして思わず俺は声を上げてしまった。大量にMPを吸われたのかな?
ズンッ。
突如、魔法使いギルドの広間の空気が重くなったような気がする。
自分の足元近くに直径1m程のブラックホールみたいな穴が広がっていて、大量の黒い瘴気がドライアイスの様に吹き出し、周囲に漂い始めた。
ギュルルルル!
そのブラックホールみたいな穴からタフムーラスの鎖が伸びてくる。
それは俺の右腕に絡みついた。
いや、正確には『熊手』にだ。
その熊手を支えにして、ギシリ、ギシリ、と音を立てて鎖を巻き上げていく。
そして、
ついにタフムーラスは穴から顔を出した。
《よくやった。キチクよ・・・。》
顔だけ出ていたタフムーラスはその後、ゆっくりと空気中に浮かび上がる。
全身に不気味な瘴気を纏わせ、ほとんど全身を鎖で縛られている。
目は縫われたまま閉じられていて、手はやはり交差して鎖に縛られたまま。
キチクが地獄であった時と全く同じ状態だ。
「まじかよ・・・・これがタフムーラス・・・・召喚したのか・・・?」
腰を抜かすほど驚き、狼狽えるブラフ。もちろん、ブラハはタフムーラスにあったことなどなく、ただ力を借りる契約をして魔法を使っているだけだ。
今、この目の前の現象がとてもやばいことなのだということを誰よりも気づいていた。
地獄の悪霊を現界させる。それは世界に干渉できる害悪そのものなのだ。
周りの騎士はなにか大変なことが起こっているのだとは感じていたが、いまいちわかっていなかった。ただ身構えたまま、普通ではないこの現象を呆然と見続けている。
《久方ぶりの娑婆の空気か。悪霊となった今ではあまりうまいものとはいえんな。》
タフムーラスは感慨深いような面持ちで深呼吸をし、一人呟く。
「あの、タフムーラス?
嬉しいのはわかるけど、そろそろそれ隠さない?」
俺はタフムーラスの股間を指さす。
タフムーラスは地獄と全く同じ格好。すなわち、鎖で縛られているだけで裸なのだ。
イチモツがブルンブルンしている。
外人サイズでデカイからって恥ずかしくないのかもしれないけど、こっちが不愉快だ。
こんなの見てたら自分の矮小さに自信を無くすデスよ・・・。
《これは失礼。
それでは娑婆の空気で小腹が空いたし、食事にするとしよう。この騎士たちは問題ないだろう?》
「えっ?」
俺はタフムーラスが何を言っているかわからなかった。
だが、タフムーラスはもう聞いていない。
《我が体に顕現せよ、悪魔アンラ・マンユ》
タフムーラスのお腹から下が、内部から膨張するようにボコボコと膨らみ始める。
それはもうイチモツがとんでもない大きさに。
そして、馬の頭になる。
そのまま下半身は拡大していき、あっという間に筋肉隆々の大きな馬の形になった。
色も黒くなっていて瘴気を纏い、まがまがしく真っ黒な馬の瞳が光る。
その馬の胴も鎖に縛られてはいる。
タフムーラス自体もそれで背が高くなっていて、それはもうすごい迫力となっている。
天井が高かったため、頭はぶつかってはいない。
《さあ、何百年ぶりの食事だ!》
タフムーラスの声とともに馬が大きく口を開けた。
開けすぎじゃね?と思うくらい開いている。明らかに口が裂けている。
中からは草食の馬のものではない、鋭く滑った牙が覗く。
そのまま、呆然としている騎士に襲い掛かる。
「うわあああああ!!」
グチャリ。
騎士は頭から胴体まで食われる。
さらにあっという間に足まで馬に食われてしまった。
その場には大量の血痕が残るのみだ。
《よいぞ。なかなかの美味だ。》
その後、その場にいた騎士7人。見るも無残な最期となる。
悲鳴を上げて逃げだす魔法使いギルドの女性や下働き。
ブラフは恐怖に駆られて身動きできず、アワアワと口を震えさせている。
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