無免許幽霊ホロ子さん

吉口一人

文字の大きさ
1 / 1

第一話 無免許幽霊

しおりを挟む
「いっけなーい! 遅刻遅刻ー!」
 曲がり角を曲がった途端、ドン! という大きな衝撃音と共に制服姿の少女とぶつかる……と思いきや、俺の身体は少女の身体をすり抜けて行った。
「は?」
「え?」
 お互いに困惑する。
 よく見てみると、少女の身体は向こう側が見通せるくらいに半透明であり、膝から下の脚が無く、頭には三角形の布のようなものを巻いている。
「アンタ、私が見えちゃってるの?」
「え、あの、幽霊??」
「見りゃわかるでしょ。生身の人間のくせに目ついてないの?」
 本物の幽霊に出くわした衝撃よりも、その高圧的な態度に苛立ってしまう。
「いや、ホログラムって可能性もあるし」
「そんなわけないんですけど?」
「幽霊って証明できるものはあるの? ないならホログラムのホロ子さん確定」
「ホログラムじゃない! そもそも幽霊の証明なんてどうすりゃいいのよ」
「免許証とか」
「そんなもんあるか!」
「あるよ」
「「え!?」」
 突如聞こえてくる三つ目の声。
「あるよ」
 振り向くとそこにはシワだらけで貫禄のあるお爺さんがいた。少女と同じく半透明の身体をしている。
「ホレ、幽霊免許」
 お爺さん幽霊が懐から取り出したカードのようなものは実在の運転免許証そっくりだった。
「ほ、ほんとだ……」
「ということはこの子は?」
「うん、無免許」
 信じられないという顔をする少女の肩を叩き、お爺さん幽霊はニッコリと笑った。
「そんなわけで署まで来てもらおうかの?」
「ちょ、ちょっと待って! 署って何よ! そんなの聞いたことないんだけど⁉︎ ちょっとアンタ! 何笑ってんのよ!」
「無免許はダメですよね」
「そう、最近多いんじゃよ。無免許で人を驚かせてる幽霊。ちゃんと免許を取って出直すんじゃ。ホレ、行くぞ」
 お爺さんと、お爺さんに首根っこを掴まれた少女はゆっくりと空に昇って行った。
「アンタ! 覚えてなさいよー!」
 そう言って二人の姿は豆粒のように小さくなっていき、やがて雲のその先へと行ってしまった。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

仰っている意味が分かりません

水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか? 常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。 ※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

『伯爵令嬢 爆死する』

三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。 その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。 カクヨムでも公開しています。

処理中です...