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ノルマは楽そうに見えて意外と厳しい
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月がちょうど頭の真上に昇っている。日が沈み辺りは月と星明かりで薄ぼんやりと照らされている。だが、周りを見ても木が生い茂っているだけだ、森の中を歩いているのだから当然だろう。
何で俺はこんなことをしているのだろうか、久しぶりに悪魔の疑いがある事件記事を新聞で見つけたのがつい昨日のこと。
そこから事件現場の近くの町までの汽車に飛び乗り半日近く歩き詰めでいい加減に足が疲れてきた。
ベッドで1日中寝て過ごしたいが今年はノルマが厳しいためそうもいかない。去年は悪魔絡みの事件が少なく今年分が追加で92体、休日返上で働くしかない。
考えてみると地球で社畜をしていた頃よりハードかもしれない、いや絶対ハードだ。
労働時間は朝も夜も年始年末祝日関係なくほぼ24時間、この世界に労働基準法があれば確実に営業停止だろう。
まぁ、そもそも元いた世界もこの世界も雇い主が悪魔だと想定して作られた法律なんてものは無い、ということは俺の労働環境が改善することは夢のまた夢だろう。
現実を直視するのは止めたほうがいいな思わず溜め息が出てしまった。
『どうしたんだ、もう疲れたのか?』
妖艶な雰囲気を感じさせる妙齢の女性の声が頭の中に響いてくる。こいつとは何度も話しているがこうして頭の中に声が響くのは未だに慣れない。
なんだか考えていることを見透かされているような気がするからだ。いや、実際に見えているのかもしれないなんたって相手は人間じゃないしな。
「いや、平気だよコカビエル。」
『そうかお前に倒れられては事だ。替えを探すのは面倒だからな。』
「コカビエルさーん、もうちょっと優しさを見せてはくれませんかね。」
『何を言っている私は優しいぞ。こうしてお前を手伝っているじゃないか、それと気配が近い集中しろ。』
目の前の森がひらけて現れたのは巨大な洋館だ。レンガ造りの所々装飾が施された歴史を感じさせる外観をしている。
「この中?」
『あぁ、気配はあまり強くないな下級か良くて中級ってところだな。』
外れだな。こんな山奥まで来て下級程度じゃあ割りに合わない。口から自然と溜め息が出てしまった。
「とっとと終わらせて帰りますか。」
ちなみに大悪魔コカビエルとの契約で決められた5000体というのは下級悪魔5000体分の事だ。悪魔にも階級があり騎士級や伯爵級など細かく決められているらしいが分かりにくいので下級、中級、上級で分けてもらっている。
中級悪魔1体で下級10体分、上級悪魔1体で下級悪魔50体分となっている。ちなみに我らがコカビエル様はこの3つよりさらに上の地獄の支配者の1人だそうだ。
下級程度じゃあなぁ、軽く疲労感がある体を動かし洋館の正面玄関へと入った。
† † †
壁には絵画などが飾られ美術品などが飾られた応接室で革張りのソファにゆっくりと座る。
「はぁ、もう帰らない?」
洋館に入って1時間は経っただろう。だが悪魔は愚か人間も人間だったものも見当たらない。
新聞の記事によればこの館の付近で男女合わせて4名が行方不明になっているという。そのうちの1人が全身の皮を剥がされ四肢を切断された状態で発見されたことから地元警察は事件性があると判断し警官隊が捜索にでる予定だとあった。
だが何も見つからずただ1時間歩き回っただけ。帰りたくもなる。
『だめだ、雑魚だろうとここには悪魔がいるんだ。私の領地から逃げ出した薄汚い愚か者がな。そんな者を見逃すわけにはいかん、硫黄と炎の制裁を下さなくては』
コカビエルが冷たい激情を漂わせながら頭の中に声を響かせる。
その時、屋敷の中に数発の銃声が響き渡った。
俺は直ぐ様立ち上がり銃声のした方向へと駆ける。
2階の通路に到着し玄関ホールを見下ろすとそこには1人の女性警官が半ばパニックになりながら周りに銃を撃っていた。
彼女の周囲には共にやって来た警官達のものと思われる死体が散らばっている。
「あの、女なに1人で暴れてんだ?幻覚でも使われたか?」
率直な疑問が口から溢れてしまった。しかし、端から見ると女はイカれた乱射魔にしか見えない。悪魔のなかには幻術を使うものもいるためこう思ったのも無理はないだろう。
『いや、幻覚ではないな。構えろ暁見えないがいるぞ。』
コカビエルがいつもの冷たい声で言った。その一言で俺は着ているスーツの袖口から素早く武器を取り出した。
『おおかた《透明化》でも使っているのだろう下級らしい小賢しいてだ。』
そう言いながら馬鹿にするように鼻をならす。
どうやらうちのお姫様は少し不機嫌なようだ。そうそうに片づけてしまったほうがいいな。
両手を軽く振るようにして対悪魔用の武器を玄関ホールに張り巡らせる。
そして一気に手繰り寄せる。手応えありだ。見ての通り俺の武器は鋼製の糸、それを女性警官の周囲に張り近寄ってきた悪魔が引っ掛かったと言うわけだ。
糸に全身を絡められた悪魔が透明化を解除したようだ。シルエットは人だが見た目は全身の皮膚を剥がしたような醜悪な見た目の悪魔がその姿を現した。
「きゃああぁぁぁぁぁ!!!!!」
目の前に突然現れた醜い怪物に女性警官が悲鳴をあげる。そしてそのまま倒れてしまった。どうやら気を失ったようだ。
「不細工な見た目だな…」
そう呟いて俺は手元の糸に少し力を加える。その瞬間、悪魔が輪切りになる悪魔の断面は我ながら鮮やかだ。
少しばかり自分の仕事に達成感を実感していると
『下級悪魔一体分。確かに受け取ったぞ。』
現実的な事務報告の声がしてきた。
はぁ、この人には部下を労うという精神がないのだろうか?
…ないんだろうな、なにせほら…悪魔だから。
さて今年分はあと591体。先は長い。
何で俺はこんなことをしているのだろうか、久しぶりに悪魔の疑いがある事件記事を新聞で見つけたのがつい昨日のこと。
そこから事件現場の近くの町までの汽車に飛び乗り半日近く歩き詰めでいい加減に足が疲れてきた。
ベッドで1日中寝て過ごしたいが今年はノルマが厳しいためそうもいかない。去年は悪魔絡みの事件が少なく今年分が追加で92体、休日返上で働くしかない。
考えてみると地球で社畜をしていた頃よりハードかもしれない、いや絶対ハードだ。
労働時間は朝も夜も年始年末祝日関係なくほぼ24時間、この世界に労働基準法があれば確実に営業停止だろう。
まぁ、そもそも元いた世界もこの世界も雇い主が悪魔だと想定して作られた法律なんてものは無い、ということは俺の労働環境が改善することは夢のまた夢だろう。
現実を直視するのは止めたほうがいいな思わず溜め息が出てしまった。
『どうしたんだ、もう疲れたのか?』
妖艶な雰囲気を感じさせる妙齢の女性の声が頭の中に響いてくる。こいつとは何度も話しているがこうして頭の中に声が響くのは未だに慣れない。
なんだか考えていることを見透かされているような気がするからだ。いや、実際に見えているのかもしれないなんたって相手は人間じゃないしな。
「いや、平気だよコカビエル。」
『そうかお前に倒れられては事だ。替えを探すのは面倒だからな。』
「コカビエルさーん、もうちょっと優しさを見せてはくれませんかね。」
『何を言っている私は優しいぞ。こうしてお前を手伝っているじゃないか、それと気配が近い集中しろ。』
目の前の森がひらけて現れたのは巨大な洋館だ。レンガ造りの所々装飾が施された歴史を感じさせる外観をしている。
「この中?」
『あぁ、気配はあまり強くないな下級か良くて中級ってところだな。』
外れだな。こんな山奥まで来て下級程度じゃあ割りに合わない。口から自然と溜め息が出てしまった。
「とっとと終わらせて帰りますか。」
ちなみに大悪魔コカビエルとの契約で決められた5000体というのは下級悪魔5000体分の事だ。悪魔にも階級があり騎士級や伯爵級など細かく決められているらしいが分かりにくいので下級、中級、上級で分けてもらっている。
中級悪魔1体で下級10体分、上級悪魔1体で下級悪魔50体分となっている。ちなみに我らがコカビエル様はこの3つよりさらに上の地獄の支配者の1人だそうだ。
下級程度じゃあなぁ、軽く疲労感がある体を動かし洋館の正面玄関へと入った。
† † †
壁には絵画などが飾られ美術品などが飾られた応接室で革張りのソファにゆっくりと座る。
「はぁ、もう帰らない?」
洋館に入って1時間は経っただろう。だが悪魔は愚か人間も人間だったものも見当たらない。
新聞の記事によればこの館の付近で男女合わせて4名が行方不明になっているという。そのうちの1人が全身の皮を剥がされ四肢を切断された状態で発見されたことから地元警察は事件性があると判断し警官隊が捜索にでる予定だとあった。
だが何も見つからずただ1時間歩き回っただけ。帰りたくもなる。
『だめだ、雑魚だろうとここには悪魔がいるんだ。私の領地から逃げ出した薄汚い愚か者がな。そんな者を見逃すわけにはいかん、硫黄と炎の制裁を下さなくては』
コカビエルが冷たい激情を漂わせながら頭の中に声を響かせる。
その時、屋敷の中に数発の銃声が響き渡った。
俺は直ぐ様立ち上がり銃声のした方向へと駆ける。
2階の通路に到着し玄関ホールを見下ろすとそこには1人の女性警官が半ばパニックになりながら周りに銃を撃っていた。
彼女の周囲には共にやって来た警官達のものと思われる死体が散らばっている。
「あの、女なに1人で暴れてんだ?幻覚でも使われたか?」
率直な疑問が口から溢れてしまった。しかし、端から見ると女はイカれた乱射魔にしか見えない。悪魔のなかには幻術を使うものもいるためこう思ったのも無理はないだろう。
『いや、幻覚ではないな。構えろ暁見えないがいるぞ。』
コカビエルがいつもの冷たい声で言った。その一言で俺は着ているスーツの袖口から素早く武器を取り出した。
『おおかた《透明化》でも使っているのだろう下級らしい小賢しいてだ。』
そう言いながら馬鹿にするように鼻をならす。
どうやらうちのお姫様は少し不機嫌なようだ。そうそうに片づけてしまったほうがいいな。
両手を軽く振るようにして対悪魔用の武器を玄関ホールに張り巡らせる。
そして一気に手繰り寄せる。手応えありだ。見ての通り俺の武器は鋼製の糸、それを女性警官の周囲に張り近寄ってきた悪魔が引っ掛かったと言うわけだ。
糸に全身を絡められた悪魔が透明化を解除したようだ。シルエットは人だが見た目は全身の皮膚を剥がしたような醜悪な見た目の悪魔がその姿を現した。
「きゃああぁぁぁぁぁ!!!!!」
目の前に突然現れた醜い怪物に女性警官が悲鳴をあげる。そしてそのまま倒れてしまった。どうやら気を失ったようだ。
「不細工な見た目だな…」
そう呟いて俺は手元の糸に少し力を加える。その瞬間、悪魔が輪切りになる悪魔の断面は我ながら鮮やかだ。
少しばかり自分の仕事に達成感を実感していると
『下級悪魔一体分。確かに受け取ったぞ。』
現実的な事務報告の声がしてきた。
はぁ、この人には部下を労うという精神がないのだろうか?
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