上 下
3 / 7
第三章:新たな日常

新たな日常

しおりを挟む
数ヶ月が過ぎ、梓の髪は肩に触れるくらいの長さになった。彼女はこの中途半端な長さの髪に四苦八苦していた。髪が顔にかかるので、ヘアクリップやヘアバンドを駆使して上手くまとめることに挑戦した。一方、真希は梓の新しい髪型に毎日何かしらのコメントをしてきた。時には「今日はいい感じ!」と褒めてくれたり、時には「そのヘアバンド、ちょっと…」と冗談混じりのアドバイスをしてくれた。

その日、梓は大学のカフェテリアで、以前から気になっていた先輩、涼介と目が合った。涼介は梓の変わった髪型に気づき、「新しいヘアスタイル、似合ってるよ」と声をかけてきた。照れくさい笑顔を浮かべながら、梓は「ありがとうございます。まだ途中なんです」と答えた。

この出来事は、梓に自分の外見や髪型が人々の印象に与える影響を再認識させた。髪を伸ばす決意は、ただの外見の変化以上のものになりつつあった。

日々のケアも大変だったが、髪が伸びるたびに梓は新しい自分を発見していた。菜摘のアドバイス通り、伸びていく髪の変化を楽しむことができた。

ある日、梓は古い写真を見つけた。それは中学生の頃の彼女で、ロングヘアーだった。この写真を見て、梓は過去の自分と今の自分を比較し始めた。どちらの髪型も梓の一部であり、彼女は自分の変化を受け入れ、その中での成長を感じることができた。
しおりを挟む

処理中です...