青いsquall

黒野 ヒカリ

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私の朝

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 カーテンの隙間から差す朝の日差しが顔に当たり目が覚めた私は「ん~っ」と声を出し、背伸びをして起き上がった。

 その足でキッチンへ行くとコーヒーメーカーのスイッチを入れ、洗面所に向かい顔を洗った。

 そしてキッチンに戻るとコーヒーが出来上がっている。

 タイミングがピタリとあった私は「よし!」と呟き、出来上がったコーヒーをカップに注いだ。

 湯気の立つカップを足の低いテーブルの上に置くと、肩より少し長い髪を束ねて頭の上で結わえると化粧をしていく。

 化粧の合間にコーヒーを口にして苦味で眠気を覚ます。

 準備が終わり玄関に向かうと誰もいない部屋に「行ってきます」と言って家を出た。

 大学に合格した私は沖縄から東京に上京して一年、いつもと同じ朝を向え大学に向かっている。

 私のアパートは八王子にあり、御茶ノ水にある大学に行くまでに電車を乗り継がなければならない。

 沖縄にはモノレールはあるが電車は無い。
 その為、初めて電車に乗った時は足が鋤くんだ。
 人の多さと、何処に行けば目的の電車に乗れるのか分からず迷ったものだ。

 八王子駅に着くと人の波に乗り、改札をくぐりホームへと向かう。

 ホームは人が列を作っていて私はその列に並んだ。
 初めは余りの人の多さに圧倒されたが一年も経てば慣れてしまう。

 朝の満員電車で揉みくちゃにされながら目的の駅に着くと電車を降り乗り換えの為移動する。

 乗り換えても揉みくちゃにされ隣の人に寄りかかりそうになるが上手くバランスを取り体勢を保った。

 那覇空港で見送りにきた母に「痴漢には気を付けるんだよ」と言われたが私は一度も痴漢にあった事は無い。

 余り大きくない胸が魅力を感じないのかもしれない。とこんな事を思ってはいるけどけして痴漢にあいたいとは思ってないのでそれは分かってほしい。

 そして御茶ノ水駅に着くと大学近くにあるコンビニに向かった。

 コンビニが近くに見えて来ると私の胸が高鳴る。

 店内に入りサンドイッチが陳列された棚の前に行くとタマゴサンドを手に取った。
 そしてお目当ての人物がいるレジへ向かう。

 「おはよう、今日もサンドイッチかい?お昼はちゃんと食べなきゃダメだよ」

 「高島さんおはようございます。私はこれでお腹いっぱいになるんですよ」

 ニコニコと私に笑顔を向けるコンビニ店員の高島さんは、大学初登校で道に迷っていた私を大学まで案内してくれた男性だ。

 身長は180センチぐらいで茶色い髪で少し遊び人に見えるが話してみるととてもいい人に感じた。

 何度か御茶ノ水で偶然会って話をしているうちに高島さんがこのコンビニで働いている事を知った私は、講義がある日は毎朝ここに来ている。

 高島さんは夜勤で朝八時までいるので私がコンビニに来る時には必ずいる。

 もっとも、私が家を早めに出て高島さんがいる時間帯に合わせているのだけど……

 「それじゃ、これお釣りね」

 高島さんがお釣りを渡す手を握りたい衝動を抑えて私はお釣りを受け取った。

 「それでは行きますね」

 名残惜しい気持ちはあるけど高島さんにそう言ってコンビニを出ようとした所で高島さんに声を掛けられた。

 「あっちょっと待って!」

 高島さんはレジカウンターから出て私に駆け寄ると、ペットボトルに入ったコーヒーを手渡してくれた。

 「ありがとうございます。いいんですか?」

 「いいのいいの、ナミちゃん勉強頑張ってね」

 「はい!高島さんもお仕事お疲れ様でした」

 手を振る高島さんに向け頭を下げるとコンビニを出た。

 「今日も高島さんとお喋り出来た」

 と心の声が漏れるが私は高島さんの事が好きだから仕方ないと思う。

 でも私は高島さんの事は何も知らない。

 名前だって胸に光る名札で知った苗字しか知らないのだ。

 何度も話して気軽に話せるようになったけど二人で何処かに行った事も詳しく話をした事も無い。いつも他愛もない話をして終る。

 「高島さん、彼女いるのかな……」

 呟くと高島さんから貰ったコーヒーのペットボトルを握り締め校舎に入って行った。
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