元ヤンの伝説のアイドルを吸血した1888年から来た吸血鬼には浮気調査専門興信所はちょっとつらい

k_tokyo

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第9章 黒夢

第5話 天蓋(テンガイ)

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エリは4階のフロアに着いた。
「めっちゃ静かでキミワリイー」

教えてもらった部屋のドアの前に立って、ブザーを押そうと思ったが。
そうだ、鍵は開いているからそのまま入れって、言われてたんだ。
ドアノブを回し、室内に入った。

「こんちわー」なぜか小声になってしまった。

部屋もなぜかほぼ真っ暗であったが
べッドスタンドだろうか一か所だけに照明が当たっている

「へんな趣味あんじゃねえか?」

さっきの説明と違うことに
大人の変化と汚さに嫌気がさした。

帰ろうか迷ったが、初日からバックレる訳はいかなかった。

「こんちわー」もう一度言ったが、今度もなぜか小声になってしまった。

「じいさんだから聞こえねえか」

よし思い切って
「こんちわーーーーーーーーーー」

広い部屋のどこにいても
聞こえるぐらいの大きな声で叫んだ

後ろに気配がして振り返った。




「エリたんがいけないんだ・・・」

「嘘だろ・・・・・・・・・」
エリは全身総毛立った・・・・・・・・・







あのモルモットは良く役に立った。
まさかこれほどの成果を上げるとは思わなかった。

商工会のパーティーであるビルオーナーから

「浅村さん、ちょっと相談に乗ってもらえますか?」
彼もフロント企業の社長で、同じ大学の学部の後輩だったので
私の事も良く知っている。

「実はうちのあるビルの地下に、変な奴が眠ってるんです。」

そいつは2年ちょっと前に、そのオーナーが持つあるビルの地下3階に
いつの間にか居たそうだ。

最初見つけた時は、死んでると思ったが、なぜか昏睡状態で
どんなに起こそうとしても起きなかった。

サツには、この3階は建築図面にないし、入らせたくないので
取り敢えずしばらくほっといたそうだ。

「処分しても良かったんですが。 みんな怖がって、
以前からその地下3階で吸血鬼ヴァンパイアを見た。
なんていって警備員が何人も辞めてしまっていて・・・
白雪王子なんていう奴もいて、どうしたらいいですかね?」

私もそんな夢物語は、どこか頭の片隅にしか残ってなかった。

だが”魔女と白雪王子”ピンとひらめいて、すぐにその男をもらい受けて
この実験のモルモットとして使い始めた。
その夢物語を書いてみようと。

仮説どおりに実験は成功を収めた。
さらにその男は食欲とそっちの欲求も旺盛だったので
2回目の実験を試したところ思いもよらぬ効果を発見した。
そうこのウィルス(いままでの常識では当てはまらないのでとりあえずこう呼ぶが)は
罹患する回数によってその病状が強まる事がわかったのだ。
さらに3回目、危険を感じたが思い切って4回目を試した。

想像以上の結果で”学会”に発表したいほどだった。
やったぞ。これぞ我が企業が探し求めていた夢のイノベーションだ。

こいつを論文用に捕っておきたかったが
まあ見せられる物ではないか。
よくいう”キモイ”という奴だったからな。 






振り向いたら豚野郎追っかけがいた。
いや正確に言うと豚野郎追っかけのような物だった。

ピンク布地のTシャツは着ていなく、というより全裸だろう。
その肉塊は3年前よりさらに膨らみ、天井に届くかとばかりに膨張していた。

「ぷぷぷ・・・」
見た目がタイヤメーカーのあのキャラクターに見えたので
こんな状況なのになぜか笑ってしまった。

「エリたんがいけないんだ・・・」
ここだけは3年前から成長してない。

また刺激しないように、ゆっくりゆっくり部屋を出ようと
後ずさりしたら、なにかにつまづき手を着いた。

手に着いた少し粘度のある液体を、一旦服でぬぐったが
わずかな光でもそれが血液であることがわかった。

「・・・・・・・」声にならなかった。

小さな時から血を見ることが多かったので
多少の修羅場でも驚くことは無かったが
いま自分が踏みしめているのが
人間のであるのが、わかってしまった。

腰が抜ける奴なんてヘタレだと思っていたが
自分がヘタレだったとは知らなかった。

それでも必死になって四つん這いで逃走を図ったが
突然右足首を掴まれた。

「エリたんがいけないんだ・・・」いやわかったよ。

そう思う間もなく、豚野郎追っかけ
その引き締まった右足首を持ち上げられ
天井の高さまで、逆さづりにされた。

気合を入れて買ったドレスが
腰の上までめくりあがり

男の視線を全部吸い込んでしまう
ブラックホールのようなおへそと
メーカーが薄利多売するしかない
布地がほとんどいらない
真っ赤なショーツが見えた

豚野郎追っかけ
少女を逆さづりにしたまま、
ゆっくりと、目なのだろうか顔の皺を
そのかぐわしい香りを放つふっくらとした下半身に
限りなくちかづけながら
前から後ろからマワしながらながめていた。

「離せよ。豚野郎追っかけ!」
少女はもがきながら、初めて彼の本名を叫んだ。

豚野郎追っかけ
自分の本名を知って、怒りのままに少女を放り投げた。

「きゃーーー」

天蓋テンガイが無ければ、その美貌が伝説となってしまうところだった。
どんな絶叫マシンでも体験できないほど、高速に少女は3回転して
天蓋に包まれて、床に落ちた。

意識が飛んだ。

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