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最終章 精霊界
41、精霊の存在
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私の言葉を聞いたノエルさんはポカンと言葉が理解できないような表情を浮かべ、アルベールさんも私のことを訝しむような瞳で見つめてきた。
しかしヴァレリアさんだけは反応が違う。瞳を輝かせて私の下に駆け寄ってきた。
「レイラ! 精霊界に行けたのか!」
「はい。そして……下界を崩壊から助けてもらえることになりました。実は今この場にフェリス以外の精霊が三人と精霊王様がいます」
「精霊王様……そんな存在がいるのか?」
「いらっしゃいます。私が精霊王様とこの国の国王陛下の間を取り待って、また精霊と人間が協力して暮らしていけるようにすることになりました」
その言葉を聞いて、ヴァレリアさんは安心した様子で頬を緩めた。しかしノエルさんとアルベールさんは理解できないというように、困惑の表情を浮かべている。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。何の話をしてるんだ?」
「精霊という言葉が聞こえたのですが……」
「お二人にも最初から話しますね。まずはソファーに座りましょうか」
それから皆でソファーに腰掛けて、私はまずフェリスと出会った時のことから話を始めた。
フェリスと仲良くなり、一緒に暮らしているという話のあたりで、ノエルさんが手を挙げて信じられない様子で口を開く。
「あ、あの、話を止めてすみません。……今の話を信じるとすれば、この部屋には精霊がいるということになるのですが……」
「はい、います。しかもフェリスの他に四人の精霊が。これはもう少し後の話になるのですが……先に全てを話してしまっても良いでしょうか?」
「……分かりました。よろしくお願いします」
フェリスに助けられたこと、フェリスがノエルさんの治癒に魔法を被せたこと、フェリスが話してくれたこの世界の危機、そして精霊界に行ったこと、精霊界での出来事とこれからの予定。
それら全てを話し終えたところで、私は満を持して精霊たち皆に話しかけた。
「皆、ノエルさんとアルベールさんに皆の存在を見せてくれる?」
『いいよ~』
『何をやればいいんだ?』
『私の魔法を見せれば良いかしら?』
『ふぉっふぉっふぉっ、楽しくなってきたな』
「そうだね、小さな魔法を発動できる? 室内を荒らさないようにお願いね」
『そのぐらい楽勝だぜ!』
私の言葉にロデアがそう言って飛び上がると、体の周りに小さな火の玉を作り出した。その火の玉はだんだんと形を変えて、魔物のような見た目になっていく。
「凄いね」
『私もやるわ!』
『僕も~』
それから皆が魔法を見せてくれたことで、部屋の中はかなり賑やかになった。ヴァレリアさんは凄い魔法の数々に瞳を見開き……だんだんと、微妙な表情を浮かべた。
「……フェリスとは随分違うな」
ボソッと呟かれた言葉はフェリスの耳に届いたらしい。フェリスは落ち込んだ様子で私の胸元にふらふらと飛んでくると、拗ねた表情で頭をぐりぐり押し付けてきた。
『レイラ……ヴァレリアが酷い』
「ふふっ、フェリスはこれからの伸び代が大きいんだもんね」
『そう! そうなんだよ! レイラは優しいね』
「私はフェリスが大好きだからね」
『レイラ……僕もレイラが大好き!』
満面の笑みを浮かべて私のことを見上げてくれるフェリスは凄く可愛い。やっぱり私の中ではフェリスが一番だ。
「これは……どういう、ことだ? 本当に精霊が?」
アルベールさんのその言葉に私はフェリスに向けていた視線上げ、はしゃいでいるアンシュたちに声をかけた。
「皆、魔法を止めてくれる? 今度はアルベールさんとノエルさんに触れてみて欲しいんだけど、お願いしても良い? お二人は絶対に動かないでください」
「わ、分かった」
「分かりました」
二人が緊張の面持ちで動きを止めたのをみて、ロデアがアルベールさんに、アンシュとランセがノエルさんのところに向かった。
「な、何かが、頬に」
「私は頭と腕に」
「それが精霊です。私は精霊の愛し子なので姿が見えて話もできるのですが、普通の人にはできないんです。皆の可愛さを見てもらいたいのですが……」
皆に精霊の可愛さを、特にフェリスの可愛さを自慢したいのにできないのがもどかしい。時間に余裕ができたら絵でも習おうかな……私が皆の姿を詳細に描ければ、可愛さが少しは伝わるだろう。
「うえっ、ちょ、ちょっと、鼻は止めるんだ!」
ロデアが悪戯な笑みを浮かべて鼻をギュッと摘むと、アルベールさんが表情を歪めた。そんなアルベールさんを見てロデアは楽しそうだ。
「ロデア、悪戯はほどほどにね」
『分かったぜ』
それからも二人には精霊と戯れてもらい、完全にその存在を認識してもらったところで、私たちはこのまま王宮へと向かうことになった。
アルベールさん曰く、陛下に直接会うなんて正攻法じゃ無理だから、勢いが大事なのだそうだ。普段なら後から咎められるようなことも、今回ばかりは精霊の話をすれば全てが有耶無耶になるから大丈夫、らしい。
本当かどうかは少しだけ疑問だけど……アルベールさんを信じてみようと思う。
「よしっ、じゃあ行くか。王宮に」
しかしヴァレリアさんだけは反応が違う。瞳を輝かせて私の下に駆け寄ってきた。
「レイラ! 精霊界に行けたのか!」
「はい。そして……下界を崩壊から助けてもらえることになりました。実は今この場にフェリス以外の精霊が三人と精霊王様がいます」
「精霊王様……そんな存在がいるのか?」
「いらっしゃいます。私が精霊王様とこの国の国王陛下の間を取り待って、また精霊と人間が協力して暮らしていけるようにすることになりました」
その言葉を聞いて、ヴァレリアさんは安心した様子で頬を緩めた。しかしノエルさんとアルベールさんは理解できないというように、困惑の表情を浮かべている。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。何の話をしてるんだ?」
「精霊という言葉が聞こえたのですが……」
「お二人にも最初から話しますね。まずはソファーに座りましょうか」
それから皆でソファーに腰掛けて、私はまずフェリスと出会った時のことから話を始めた。
フェリスと仲良くなり、一緒に暮らしているという話のあたりで、ノエルさんが手を挙げて信じられない様子で口を開く。
「あ、あの、話を止めてすみません。……今の話を信じるとすれば、この部屋には精霊がいるということになるのですが……」
「はい、います。しかもフェリスの他に四人の精霊が。これはもう少し後の話になるのですが……先に全てを話してしまっても良いでしょうか?」
「……分かりました。よろしくお願いします」
フェリスに助けられたこと、フェリスがノエルさんの治癒に魔法を被せたこと、フェリスが話してくれたこの世界の危機、そして精霊界に行ったこと、精霊界での出来事とこれからの予定。
それら全てを話し終えたところで、私は満を持して精霊たち皆に話しかけた。
「皆、ノエルさんとアルベールさんに皆の存在を見せてくれる?」
『いいよ~』
『何をやればいいんだ?』
『私の魔法を見せれば良いかしら?』
『ふぉっふぉっふぉっ、楽しくなってきたな』
「そうだね、小さな魔法を発動できる? 室内を荒らさないようにお願いね」
『そのぐらい楽勝だぜ!』
私の言葉にロデアがそう言って飛び上がると、体の周りに小さな火の玉を作り出した。その火の玉はだんだんと形を変えて、魔物のような見た目になっていく。
「凄いね」
『私もやるわ!』
『僕も~』
それから皆が魔法を見せてくれたことで、部屋の中はかなり賑やかになった。ヴァレリアさんは凄い魔法の数々に瞳を見開き……だんだんと、微妙な表情を浮かべた。
「……フェリスとは随分違うな」
ボソッと呟かれた言葉はフェリスの耳に届いたらしい。フェリスは落ち込んだ様子で私の胸元にふらふらと飛んでくると、拗ねた表情で頭をぐりぐり押し付けてきた。
『レイラ……ヴァレリアが酷い』
「ふふっ、フェリスはこれからの伸び代が大きいんだもんね」
『そう! そうなんだよ! レイラは優しいね』
「私はフェリスが大好きだからね」
『レイラ……僕もレイラが大好き!』
満面の笑みを浮かべて私のことを見上げてくれるフェリスは凄く可愛い。やっぱり私の中ではフェリスが一番だ。
「これは……どういう、ことだ? 本当に精霊が?」
アルベールさんのその言葉に私はフェリスに向けていた視線上げ、はしゃいでいるアンシュたちに声をかけた。
「皆、魔法を止めてくれる? 今度はアルベールさんとノエルさんに触れてみて欲しいんだけど、お願いしても良い? お二人は絶対に動かないでください」
「わ、分かった」
「分かりました」
二人が緊張の面持ちで動きを止めたのをみて、ロデアがアルベールさんに、アンシュとランセがノエルさんのところに向かった。
「な、何かが、頬に」
「私は頭と腕に」
「それが精霊です。私は精霊の愛し子なので姿が見えて話もできるのですが、普通の人にはできないんです。皆の可愛さを見てもらいたいのですが……」
皆に精霊の可愛さを、特にフェリスの可愛さを自慢したいのにできないのがもどかしい。時間に余裕ができたら絵でも習おうかな……私が皆の姿を詳細に描ければ、可愛さが少しは伝わるだろう。
「うえっ、ちょ、ちょっと、鼻は止めるんだ!」
ロデアが悪戯な笑みを浮かべて鼻をギュッと摘むと、アルベールさんが表情を歪めた。そんなアルベールさんを見てロデアは楽しそうだ。
「ロデア、悪戯はほどほどにね」
『分かったぜ』
それからも二人には精霊と戯れてもらい、完全にその存在を認識してもらったところで、私たちはこのまま王宮へと向かうことになった。
アルベールさん曰く、陛下に直接会うなんて正攻法じゃ無理だから、勢いが大事なのだそうだ。普段なら後から咎められるようなことも、今回ばかりは精霊の話をすれば全てが有耶無耶になるから大丈夫、らしい。
本当かどうかは少しだけ疑問だけど……アルベールさんを信じてみようと思う。
「よしっ、じゃあ行くか。王宮に」
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