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第三章 愛の形
探索と情報
しおりを挟む◇scene ~百合~
私達は厨房を後にして自分達の部屋に行く事になった、お兄ちゃん曰く「ここには多分手掛かりはありません」とのこと。
最近お兄ちゃんが電波を受信するようになって少し心配になってきてる……
ちなみにトイレは普通に開いて何も無くて【おふろ】には鍵がかかってて入れなかった、厨房に合った鍵を差し込んでみたけど違う鍵だったみたい
ホールと通って左側に来た。
右側と同じ様に木のプレートがかけられていてそこには拙く可愛らしい字で【おへや】と【そうこ】と書かれている。
多分これって子供の字だよね、平仮名だしアマリスさんが小さい頃にでも書いたのかな?
部屋に入ろうとしたのだがお兄ちゃんが微動だにしていなかったので声をかけると
「ん?あぁ、すみませんちょっと考え事を……」
「ふーん、ランのこと?」
「ええ、そうです。」
お兄ちゃんって普段はランに辛辣だったりするけど本当は家族愛が強くてランの事も大好きなんだよね、それこそランのストーカーにお姉ちゃんと共に突撃するほどに……お姉ちゃんは背後に鬼が居るけどお兄ちゃんの場合、修羅がいるんだよね。
あのよく分からないのどうやって出してるんだろ?
私だけじゃなく他の人も見えてるらしいんだよね、あまりに怖すぎて幻覚が見えてるのかな
いつの間にかお兄ちゃんが【おへや】と書かれた方のドアを開けるとそこにはとても豪華な部屋が広がっていた。
いや豪華というのは語弊がある、正確には見た目は質素なのだがその雰囲気というかオーラというのかは分からないが直感でそれが高級な物だと言うことは分かった。
にしても身元もよく分かっていない私達をよくこんな高級な部屋に泊めてくれるよね、それにこの屋敷は結構広いししかも庭園まである、ただのオカルトライターにここまで稼げるのかな?
もしかしたら売れっ子なのかもだけどそれにしても何か違和感があるなぁ………考えても分からないし取り敢えず部屋に入ろう
中には大きなベット、本棚、机、台の上に花瓶などがある、どれも高級だと言うのは一目で分かる。
「多分だけどこの部屋、とんでもなくお金がかかってるよ」
「……素人でも分かるのですから相当な物ですね。」
私達が部屋の感想を言い合っていると何やら悪寒が奔る、それは不快感のあるものでどうしようもない恐怖に襲われる。
「!?」
「………」
私がもしかしたら誰かいるのかもと辺りを見渡している間、お兄ちゃんは何処かをずっと見つめていた。
少し落ち着いたのでお兄ちゃんに話を聞いてみる事にした、なんかさっきの悪寒を知ってそうだし
「そう、ですね。不吉な予感とでも言いましょうか、恐らくユリの本能がここから出ないと危険だと思ったのでは無いでしょうか」
なるほど、私の本能が何かを察知しちゃったとまぁ進むけどこれゲームだし死んでも蘇るからね。
取り敢えず探索探索
怪しいのは……やっぱり机かな?
その机は事務机のような感じで収納として引き出しが4つほど付いているものだった。
一つ一つ引き出しを開けていくが中身は空っぽで成果はない、そして一つだけ鍵がかかっていて開かないものがあった。
試しに厨房に合った鍵を差し込んでみるとカチャと言う軽い音共に引き出しが開かれるようになった。
鍵がかかった引き出しの中身は………
「本?」
えっと題名は書いてないし結構古びた本だね
革の表紙を開いてみるとそこには
○月×日
知人から日記なる物を貰った、どうやらその日あった事を書き込んでいくらしい
せっかくなので日記を書いてみる事にした。
という短く文字がつづられていた、これを本棚を見ていたお兄ちゃんに見せようと近づくと何やら真剣な眼差しで何かを探しているようだった。
そして何か見つけたらしく一冊の本を抜き出していた。
「お兄ちゃん、何か見つけた?」
「ええ、こんな物を」
お兄ちゃんが差し出してきた本の題名は【ローズ伯爵家系図】だった。
え!アマリスさんって貴族だったの!?
でもそれならこんな豪華な家に住んでるのは納得出来るけど、普通なら召使いとかいるんじゃ?
私が疑問を抱いているとお兄ちゃんが私に話しかけてくる。
「ユリは何か見つけたのですか?」
「あ、誰かは分からないけど日記を見つけたのと厨房の鍵は机の引き出しの物だったみたい」
「ふむ、日記は全部読んだのですか?」
「いや、最初の1ページだけだけど……」
「ならば私が読みましょう、私は“速読”スキルを持っているので読むスピードが速いですからね。」
「うん、じゃあ私は他の所見てくる」
そう言って私は花瓶が乗っている台に近づいていく
◇
この【ローズ伯爵家系図】というのを軽く見た感じローズ家というのは300年以上前からあるらしい
このカオスでの年を表すのが【星暦】であり、確か今は星暦965年のはずなのでまぁまぁ古い家だろう
そしてアマリス・ローズがいた、それ自体はおかしい事じゃないのだがその時代がおかしい
私が見たアマリス・ローズは20代前半の見た目だった、しかし系図ではアマリス・ローズは98年前の人物なのだ、生きていてもよぼよぼのお婆ちゃんだしこの世界ではもう死んでもおかしくない年齢だ、しかもこの人は49年前にもう死んでいるのだ。
あと、この人には【エドワルド・ローズ】という婚約者らしき人物が居たらしく彼は早死したようで(886~911)となっていたので何と25歳で死んでしまっているそれ以上の事は分からない、がアマリス・ローズは普通の人間ではない人ならざるものだと言うことはハッキリした。
そしてユリが見つけた日記だが【エドワルド・ローズ】の物だと言うことが判明した、たまに我が最愛の妻アマリスとか出てくるので合っていると思う
しかしそれが分かったとしてもあまり意味はないだろう
この日記を読んで分かったのは彼が政略結婚した相手だと言うのにアマリスさんを愛している愛妻家だと言うことと日記でのアマリスさんには何の異常も無い事、この日記がエドワルドが死ぬ1年前に書いていたものということ
そして最後のページにはアマリスと共にピクニックに行くということが書かれている。その先には何も書いておらずここで死亡してしまったようだ。
ハァ……一気に読んだので少し疲れましたね
「ユリ、何か見つけましたか?」
ん?返事が返ってきませんね。気配はあるのでここには居るはずなのですが……
振り返ってみるとベットの上で寝ているユリの姿があった。
……全くしょうがないですね、少し休憩時間としましょう。どうせランは私にはない主人公補正とやらで生き延びているのでしょうし大丈夫ですね。
【Tips】カルマはカオスでのクトゥルフ神話の事を誰にも話していない、理由としてはこれはゲームだし知らない方が楽しいだろうというゲーマー的なもの。
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今日のカルマくんはダイス運が良いみたいです
【カルマ】HP35/36 SP25/25 SAN63/63
普通の成功:5
普通の失敗:0
決定的成功:0
致命的失敗:0
【ユリ】HP15/15 SP16/16 SAN23/24
普通の成功:2
普通の失敗:1
決定的成功:0
致命的失敗:0
【使用技能一覧】
聞き耳 半減アイデア アイデア×2 SANc×2 図書館×2
【ダイス値】
18.77.12.81.16.09.32.54
【SANチェック】
不吉な予感〈1/1D3〉カルマの場合〈0/1〉
カルマの特殊技能によりSANチェックの減少率が半減されました。(端数切り捨て)
応援ありがとうございます!
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