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第四章 都市防衛戦の波乱

擬似人格という名のボルガルト

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みんなできるだけ出番を増やしたいけどアリスの影が薄い……まだ変態性が発露していないせいでしょうかね?
クリムは犬みたいなイメージが厨二病の中で渦巻いてます。



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 さて、一旦状況を整理してみることにした。
私はハッキリ言って混乱してる、誰だって混乱するに決まってる。
だって固唾を呑んでいたラン達もポカーンとアホみたいに口をあけてますし
まぁそんなことはどうでもよくて箇条書きで書くとすれば

・ボルガルトの魔術と私の拳がぶつかり合ってダンジョンの核である宝石が壊れた
       
・それに怒ったが疲れ果ててしまったボルを引っ張り上げようと手を握った瞬間に消えた。
       
・何故か黒呪の手套に吸い込まれてついでに何か強化された。

 うん。訳が分かりませんね。

『……カルマよ。何か心当たりはないのか?』

「心当たり……あ」

そういえば黒呪の手套の説明欄には【同質の呪詛を吸収し成長するのいう性質がありその力は止まることを知らない。】とかいう文があったような……。

『間違いなくそれだな。我輩は言わば肉体を捨てて魂のみとなった存在。そして呪詛というのは悪霊や強い負の感情が形となったものだからな。我輩は悪霊と判断されたのだろうよ。まぁ通常だったのなら抵抗出来たのだろうが、核が破壊されて弱体化された状態では不可能だったのだろう。奇妙なこともあるものだな。』

 カラカラと笑うボルに対して私はとてつもなく申し訳なくなってくる。
幾ら何でもアレヨグパンチを使うのはやめておけば普通に決着がついたものを、私はついつい雰囲気に乗せられて使っちゃいましたからね。……やはり、気が緩みすぎましたか。

ボルは深い後悔に苛まれているのに気がついたのか、ボルは明るい声で喋る。

『なぁに、我輩も魔術の目だけで外の世界を見るのは飽き飽きしていたところだ。動けないのは少し残念だが我輩のような骸骨が街中で動いてたら大変なことになるからな。折角このような珍しい機会に恵まれたのだ。それを楽しむことにするわ。』

「そう、ですか。」

『そうだ。それにお主のような女子にそんな顔は似合わないしな!』

「私は男ですが?」

即答すると疑惑の感情が伝わってくる。
……失礼ですね。見れば、分からないですね。完璧に見た目は女性なので

『何を冗談言っとるのだ?我輩の目は誤魔化せぬぞ?全てを見抜く看破…の……魔…眼……はぁぁぁ!?』

変な奇声をあげたかと思うと怒鳴るような声が手から聞こえてくる。耳が、耳がキーンと……。

『お主!女ではなく男ではないか!』

「既に気がついているものかと……ランやユリは兄貴とかお兄ちゃんって呼んでますし」

『いやいやいや、気がつく訳がないだろう!中性的な顔に大きな瞳、肌もきめ細やかだし!目は少しきついがどう見ても美麗な女性だぞ!? それに男だというのならばそんな高い声はしてないだろう!?』

「いやぁ、ボイストレーニングはもちろんのこと。美容品をちゃんと使って流行りのファッションとかも調べて自分に似合う服とかも探したので色々と苦労したのですよ?」

「……お兄ちゃんって小学生くらいでも女子と間違うくらいには細身で白肌で服装もヤンチャな女子小学生みたいだったしね。」

「中学生からだよな、こうなったのは。姉さんから化粧の方法とか教わって感性もどちらかというと女性側だから何度長い買い物に付き合わされたことか……」

死んだような顔をするランに労りの言葉を掛けつつ何故だか一気に老けたような雰囲気を醸し出しているボルに話しかけてみる。


「まぁそんなことはどうだっていいんですよ。黒呪の手套ってなんか名前が変わってませんか?」

『む。魔呪の手套となっていたな。』

 どうやら黒呪の手套、今は魔呪の手套と同一の存在となってしまったボルは自身の力が分かるようで魔呪は相手の気力SPを奪ってしまうのだとか
与えたダメージの25%を吸収して自分のSPに出来るらしい。
それを聞いたラン達は各々好き勝手なことを言ってくる。

「お兄ちゃんが、凶悪化した……。」

「兄貴って手数が多い上に実力もかなりあるし、それにSP吸収?あっはっはっは……勝てる気がしない。」

「わたくしみたいな魔術師タイプには相性が悪いからカルマ様とは絶対に戦いたくありませんわ。」

「最狂?」

「……私をそんな魔王みたいに言わないでくれますか? どこからどうみても可愛らしいだけの人畜無害な男でしょうに」

『「「「それはない」」」』

「へあ!?」

 ひ、酷くないですか? 私は確かに別のVRゲームで人類の枠では最強クラスに強いとか、もうお前一人でいいんじゃねぇの?とか言われましたけど、言われましたけど!
いくら私でも傷付くものは、傷付くんですからね?

「……話は変わりますがボルって何ができるんですか?」

『うん?あぁ我輩はこの体になったおかげで呪いを付与するかや我輩の知識を使ってお主に情報を与えられるな。魔術は全て使えなくなったが真実を見抜く看破の魔眼は使えるから嘘を見抜くなどもできるぞ?』

……私はとんでもない反則チートを手に入れてしまったのかもしれない。







 それから私達は徒歩で帰ることになった。
ボルの力の源でもあった宝石を砕いてしまったために帰還用の魔法陣が機能しなかったのだ。
所々にモンスターは居たのだが今の私達には弱すぎて相手にならなかった……。

 今日は一旦、解散することになり、ランとユリ、アリスはそれぞれの予定があるためにログアウトや都市中に溶け込んでいった。
私は使ったアイテムを補充しにガラクタ堂まで歩いていると私にもはや慣れた視線を送ってくる人物がいる。
後ろを振り向くとクリスがピッタリと背中に張り付くように歩いていた。
その目は捨てられた仔犬のような瞳で……

「ホントに大丈夫なんですか?」

「カスミに全てを任せた。」

「ハァ……まぁいいでしょう。行きますよ。」


 あ、そう言えば防衛イベントまであと一週間でしたっけ?
うーん、もう少しステータスやスキルレベルを上げた方が良さそうですね。


【Tips】魔眼と天眼とは。生物が先天的に手に入る才能であり、後天的に手に入るものを天眼という。
魔眼は眼という字が入る通りに見るということに長けており、鑑定や看破など、見えないものを見るという魔眼もある。
天眼は神、または神に近しい存在が祝福を与えた瞳のことで効果は謎が多くまだ解明していない。


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【スケジュール】
11月8日日曜日 18時予定
11月13日金曜日 18時

【ニャルの語り】

むぅ、最近は質問が少ないな……遠慮せずにもっと質問してくれるとボクの暇も紛れるのだけれど……また新しい暇潰し考えるのは面倒だからできるだけ質問をくれるとありがたいね!
今回は作者がここ気になるかも?って質問が混じってるから本物の質問は最初の一つだけだよ。

@ボルガルト「どんなゲームが好きですか?あと…ドンマイヾ(*´∀`*)ノキャッキャ!」

もう気にしてないからな!我輩は気にしてないぞ!
……で好きなゲームとな、ふぅむ我輩はボードゲームはもちろんのことだが科学都市で開発されたデジタルゲームとやらも好きなのだが……こちらの世界で面白そうだと思うのは竜なクエストや最後の幻想もそうなのだが面白そうなのが多すぎて選びきれないな!

@カルマ「奥義って何個あるの?」

ええと、ヨグパンチを合わせて6つくらいですね。使う機会は早々ないといいですがどれも奥義の名に相応しい能力を誇りますよ。

@アリス「ユリを好きな人って何人いるの?」

んー、中々に難しい質問ですわね。
元々ユリ様はモデルをしていますし学校での人気もわたくしが把握しきれないほどに膨れ上がってますので少なくとも正式なメンバーは百を超えてますし非公式やファンを含めれば万は下らないですわ。


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