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第五章 都市旅行の魔力

【生産都市】溢れ出す興奮と動き出す歯車5

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 これで89話まで来るという飽き性の自分からしてみれば快挙が起きていることに気が付きました。
 あとランifの方も少しづつ進めてるのでもうしばらくお待ち下さい。


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 フュエル洞窟において難敵なスライム対策として氷結爆弾を購入したのだが結果から言えば氷結爆弾の効果は絶大だった。
 おかげで快調に洞窟を進んで行き、中層辺りといった所まで来た。

「氷結爆弾いっくよー!」

 そう言ってユリは爆弾を地面に叩きつけるようにぶつける。
 強い衝撃を与えられた氷結爆弾は発光、そして冷気が爆発する。
 凄まじい冷気を放ち、ただでさえ肌寒かった洞窟内が瞬間的に冷え込む。
 目を開けていれば痛めるほどであり、凍傷や低体温症が発症する可能性もある温度となる。
 そのあまりの寒さに霜が出来てしまうほどであり、髪の毛やまつ毛、服にまで出来てしまっていた。

 ユリの宣言で顔を手で庇っていたカルマは霜で覆われてしまった足場に気を付けながら凍ったオイルスライムを蹴り飛ばす。
 ガラスが割れる音にも似た音を立てながら次々と破壊されていく。
 ここまでで使用した氷結爆弾は8個、最初の戦闘で一回使いその後、浅い層では目的のアイテムを落とさないということに気が付き無視してきたため、消費が少なく済んでいる。


「ふぅ、目当てのアイテムは出たか?」

「残念ながらここもダメみたいですよ。もっと深くまで潜らなきゃ出てこなさそうです」

「代わり映えのない洞窟は疲れる」

 精神的に疲れてきたのか、面々が少し気落ちする中、ユリが声を張り上げて妙に楽しげに走っていく。
 カルマたちはそれに驚きつつも急いで後を追って行く。

「さぁ、またまた洞窟マラソンだー! 私に続けぇ!!」

「ちょま、なんかテンションおかしくねぇか!?」

「気でも触れたのでしょうか」

「おっさきー」

 駆け足のカルマとランをクリムが追い抜いていく。それに負けず嫌いでも刺激されたのだろうか、それとも諦めたのか一層早く駆け出す。

「あ……もうどうせなら一番でも取りますか」

「ちょ、兄貴まで!? 置いてかないでくれよ!」


 このレースは深層まで続きそのころには全員肩で息をすることとなっていた。
 呼吸を整えた一行は、バトルとマラソンを繰り返しながら先へ先へと進んでいく。



「結局、最後の最後まで目的のアイテムは出なかったなぁ」

「全層のスライムたちの違いは品質くらいでしたね」

「レアドロだったのかな?」

「…………」(疲れ切っている)

 行き止まりまで来たのだが目的のアイテムが手に入らなかった。全てのルートは通ったはずなのだがそれらしきモンスターも居らず、疲労困憊といった様子だ。
 クエストを放棄することを考えていると全員、風を感じて体を震わす。

「寒っ!」

「うぅ、寒すぎない?」

「寒い……」

「確かに寒い……そういえばなんで風が吹いてるんです?」

 風というのは気圧の不均一を正すために発生するものだ。つまるところ外に繋がっていなければ風など起こるはずもない。まぁこの世界はゲームであるし、人工物などがあれば話は別となる。

「え、ゲームだから……じゃないよな」

「こういう時はどっかに隙間があってその奥に空間があるってパターンだよね」

「……爆弾が必要な時もある」

「ここら辺の敵は倒しましたから手分けして探してみましょう」

 暗いので注意深く壁に近づいて探してみると予想通り、隙間風が吹く場所があった。しかし軽く叩いてみても簡単には壊れる気配が無かった。

「……これは本当に爆弾が必要なパターンかな」

 カルマは軽く叩いて強度を確認すると

「よし、少し下がっていて下さいね」

「え、お兄ちゃん? 一体何を」

「てりぁぁ!!!!」

 ユリが言い切る前に見事な踵蹴りを岩壁にぶつける。カルマの技量と高い筋力値STRが合わさり、岩壁を砕いてしまった。
 岩壁の先にはまだまだ洞窟が続いているようだった。

「……荒技すぎでしょ」

「……まぁ、道は拓けたしとりあえず先に進もうぜ」

「……かっこいい」

「「!?」」

 いろいろ苦難はあったがなんとか目的のアイテムを手に入れるため、カルマ一行はさらなる深淵へと足を踏み入れた。


【Tips】フュエル洞窟
 謎のオイルが滴る洞窟。それ故に独自の生態系を築いていたがとある1匹のスライムが分裂を繰り返したことと高い耐性が原因でオイルを沢山取り込んだスライムのみがいる洞窟となってしまった。
 奥に行けば行くほど高純度のオイルが流れており、何故オイルが出てくるのかはまだ研究中であるが所々に生活らしい痕跡があることが発見されている。


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【スケジュール】
4月23日18時以降

【ニャルの語り】

 やっほー、ニャル様だぞ。

 今回、ほぼ進展がなくてごめんね? 作者が前回余計なもの挟んだから気力がなくなってたんだよね。
 まぁ次回は色々と進む予定だからね。この『【生産都市】溢れ出す興奮と動き出す歯車』もあと2、3話くらいで終わりかな。
 そうなると次は戦場都市かぁ、争いが絶えない場所だからバトルシーンばっかになるのかな?
 そんな技量は作者にないんだけどね。
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