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婚約破棄からの王都追放宣言
アマリア・マクドネルは代々王家に仕える宮廷貴族の令嬢である。
マクドネル家は割りと女腹の家系のようで、直近では祖母シャーロットも母のルイーザも女伯爵として一族の長となっていた。
女当主でも問題ないのは、元々マクドネル家が王家の女官・侍従を束ねる家系であり、王族のマナー講師は元より王国の貴族の貴族足る立ち振舞いを正しく躾ることを生業にしている家門であるからだった。
故に、マクドネル家に生まれた子が男なら侍従に女なら女官になることは始めから決められていた事であった。
勿論、全員が王家に仕える訳ではなく、或る者は高位貴族家へ請われて嫁ぎ、或る者はガバネスとなって貴族子女のマナーを教え、或る者は王立貴族学院のマナー講師として教鞭を取っていた。
女性の活躍が著しい一族であるのは、なぜか生まれる子の割合が1対9で女児が圧倒的に多いからであった。
そんなマクドネル家の次世代の当主候補と思われているのが、現在第1王子の婚約者である公爵令嬢のご学友として側に侍っているアマリアだった。
その日は、突然、ではなく、とうとう、もうここはしょうがないな、と言うほど避けて通れない中、アマリア本人も渋々引き受け去るを得ない状況でやってきた。
「ブライアン様、いくらなんでもこのような人前で、ご令嬢の口に食事を運ぶなど紳士の行いとしても騎士の行いとしても看過できませんわ。
どう言った了見で行っておりますの?貴女もそんな態度で今後も貴族としてやって行けると思っておりますの?
貴女の態度、場末の女給のようですが、ここは王立の貴族学院。それ相当のマナーが必要でございます」
アマリアは、王立貴族学院の昼の食堂で、第1王子とその婚約者と同席しているテーブルからスッと立ち上がって、
斜め向かいの席に座り、テーブルから身を乗り出して淫靡に口を開けた女子生徒の口へ、昼食のステーキ肉を自身のフォークに刺して、頬を赤らめ、気持ち鼻の穴を膨らめた腑抜けた顔で給仕しているアマリアの不貞の婚約者ブライアンへと、
いや彼だけではなく、隣の第1王子の太股に左手を乗せながら、口に肉を頬張り、ペロンと赤い舌でその口の端のソースを舐め、チラリと第1王子へと流し目をしながらブライアンに目を細めて笑みを見せたエマ男爵令嬢と2人に苦言を呈したのだった。
エマはパール男爵の愛人の娘で学院入学前に養女としてパール家へ迎い入れられたと言う話だったが、実際は愛人の子ではなくパール男爵が贔屓にしていた娼婦の娘であった。
隣国では、ある子爵が娼婦を後妻として娶り、国王に差し出して、寵愛を賜ると公妾とした。そしてその縁でその子爵家が力を持ち、益を吸うということが起こっていた。パール男爵はそれを真似ようとしてエマを養女にしたのではないかと、陰で噂され要注意人物として監視されていた。
始めは、騎士職や下位貴族の子息を籠絡し、そこから縁を繋いで、アマリアの婚約者のブライアンを骨抜きにすると、一気に狙いを第1王子に定めて、纏わりついていた。
真面目な性格で優秀な王子が、突然現れた手練手管な女学生に興味を持ち、ズルズルとエマの沼へと沈んでいく様に、侍従たちも婚約者の公爵令嬢も苦言を呈し、国王陛下もエマの素性の報告を受けていたので、王子に厳しく忠告を与えたばかりであった。
それなのに、エマは今日も昼の食堂で王子にしなだれかかるのを、王子は拒絶する訳でもない。
更に、エマは、王子の嫉妬心を煽ろうと、王子の隣に座りながら前の席に着く騎士団長の息子、ブライアンの食べていたステーキを指差し、
「わ~美味しそう、私お魚にしちゃった~。ねえねえ、それ一口ちょうだ~い、あ~ん」
甘えた声でそう言うと、口を淫靡に半開きにして、脂の滴る肉をペロリと舌を見せて食べたのである。
第1王子の反対側には婚約者の公爵令嬢が座り、その隣にはアマリアが座っていた。
アマリアは公爵令嬢の陰から、王子の太股を撫でるエマの手も流し目もしっかり見ていた。
(これはもう、間違いなくハニートラップだわ。面倒でも言うしかないわね)
アマリアはその状況を確認して、ああ面倒臭い、嫌な役割を背負わされちゃってもう、と遠くを見た後、意を決して窘める声を上げたのである。
「あ~ん」の瞬間スッと立ち上がって、婚約者の愚行とエマの貴族らしくない行いを注意したのであるが、その指摘に、何も裏を感じずにエマに嵌まった愚か者のブライアンがアマリアに激昂した。
「お前、なんのつもりだ、偉そうに。女給など彼女を貶める言葉を吐きやがって、お前のような嫉妬に狂ったおかしな女などと結婚などしたくもない。
貴族のマナーマナーと口煩い、お前の一族こそ我が王国の何の役にも立っていない癖に、いつもいつも偉そうにふんぞり返りおって。
その上、平民を蔑む言葉を吐き捨てる、お前のその卑しい性質が表れたその顔を見るのも気分が悪い、お前とは婚約破棄だ、二度と俺の前に顔を見せるな、去れ!王都から出ていけ!」
そう罵倒して、婚約破棄をその場で言い捨て、何の権利があってか、アマリアの王都追放を叫んだのだった。
マクドネル家は割りと女腹の家系のようで、直近では祖母シャーロットも母のルイーザも女伯爵として一族の長となっていた。
女当主でも問題ないのは、元々マクドネル家が王家の女官・侍従を束ねる家系であり、王族のマナー講師は元より王国の貴族の貴族足る立ち振舞いを正しく躾ることを生業にしている家門であるからだった。
故に、マクドネル家に生まれた子が男なら侍従に女なら女官になることは始めから決められていた事であった。
勿論、全員が王家に仕える訳ではなく、或る者は高位貴族家へ請われて嫁ぎ、或る者はガバネスとなって貴族子女のマナーを教え、或る者は王立貴族学院のマナー講師として教鞭を取っていた。
女性の活躍が著しい一族であるのは、なぜか生まれる子の割合が1対9で女児が圧倒的に多いからであった。
そんなマクドネル家の次世代の当主候補と思われているのが、現在第1王子の婚約者である公爵令嬢のご学友として側に侍っているアマリアだった。
その日は、突然、ではなく、とうとう、もうここはしょうがないな、と言うほど避けて通れない中、アマリア本人も渋々引き受け去るを得ない状況でやってきた。
「ブライアン様、いくらなんでもこのような人前で、ご令嬢の口に食事を運ぶなど紳士の行いとしても騎士の行いとしても看過できませんわ。
どう言った了見で行っておりますの?貴女もそんな態度で今後も貴族としてやって行けると思っておりますの?
貴女の態度、場末の女給のようですが、ここは王立の貴族学院。それ相当のマナーが必要でございます」
アマリアは、王立貴族学院の昼の食堂で、第1王子とその婚約者と同席しているテーブルからスッと立ち上がって、
斜め向かいの席に座り、テーブルから身を乗り出して淫靡に口を開けた女子生徒の口へ、昼食のステーキ肉を自身のフォークに刺して、頬を赤らめ、気持ち鼻の穴を膨らめた腑抜けた顔で給仕しているアマリアの不貞の婚約者ブライアンへと、
いや彼だけではなく、隣の第1王子の太股に左手を乗せながら、口に肉を頬張り、ペロンと赤い舌でその口の端のソースを舐め、チラリと第1王子へと流し目をしながらブライアンに目を細めて笑みを見せたエマ男爵令嬢と2人に苦言を呈したのだった。
エマはパール男爵の愛人の娘で学院入学前に養女としてパール家へ迎い入れられたと言う話だったが、実際は愛人の子ではなくパール男爵が贔屓にしていた娼婦の娘であった。
隣国では、ある子爵が娼婦を後妻として娶り、国王に差し出して、寵愛を賜ると公妾とした。そしてその縁でその子爵家が力を持ち、益を吸うということが起こっていた。パール男爵はそれを真似ようとしてエマを養女にしたのではないかと、陰で噂され要注意人物として監視されていた。
始めは、騎士職や下位貴族の子息を籠絡し、そこから縁を繋いで、アマリアの婚約者のブライアンを骨抜きにすると、一気に狙いを第1王子に定めて、纏わりついていた。
真面目な性格で優秀な王子が、突然現れた手練手管な女学生に興味を持ち、ズルズルとエマの沼へと沈んでいく様に、侍従たちも婚約者の公爵令嬢も苦言を呈し、国王陛下もエマの素性の報告を受けていたので、王子に厳しく忠告を与えたばかりであった。
それなのに、エマは今日も昼の食堂で王子にしなだれかかるのを、王子は拒絶する訳でもない。
更に、エマは、王子の嫉妬心を煽ろうと、王子の隣に座りながら前の席に着く騎士団長の息子、ブライアンの食べていたステーキを指差し、
「わ~美味しそう、私お魚にしちゃった~。ねえねえ、それ一口ちょうだ~い、あ~ん」
甘えた声でそう言うと、口を淫靡に半開きにして、脂の滴る肉をペロリと舌を見せて食べたのである。
第1王子の反対側には婚約者の公爵令嬢が座り、その隣にはアマリアが座っていた。
アマリアは公爵令嬢の陰から、王子の太股を撫でるエマの手も流し目もしっかり見ていた。
(これはもう、間違いなくハニートラップだわ。面倒でも言うしかないわね)
アマリアはその状況を確認して、ああ面倒臭い、嫌な役割を背負わされちゃってもう、と遠くを見た後、意を決して窘める声を上げたのである。
「あ~ん」の瞬間スッと立ち上がって、婚約者の愚行とエマの貴族らしくない行いを注意したのであるが、その指摘に、何も裏を感じずにエマに嵌まった愚か者のブライアンがアマリアに激昂した。
「お前、なんのつもりだ、偉そうに。女給など彼女を貶める言葉を吐きやがって、お前のような嫉妬に狂ったおかしな女などと結婚などしたくもない。
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その上、平民を蔑む言葉を吐き捨てる、お前のその卑しい性質が表れたその顔を見るのも気分が悪い、お前とは婚約破棄だ、二度と俺の前に顔を見せるな、去れ!王都から出ていけ!」
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