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2話 セールストーク

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「あー、これはもういかれてますね。蛇口を取り換えるしかないです。 」
「あらーそうですか。。。」
「しかもこのメーカーは倒産して部品もないですから。」
「えー!そうなんですか?」
「はい、このメーカー修理のクレームが多くて倒産したんですよ。
僕何回もこのメーカーの修理してますもん。」
「へー。」
「 倒産後の引き受けた会社のメーカーのもので同等のものというと
22万円くらいにはなります。」 
 
彼はカタログを見せながら説明した。 
 
「えー!22万?
この家、賃貸で来月引っ越すんですよ。
もうすぐ引っ越すのに22万円も負担する気になれないわ。 
どうしよう。。。」 
「え?来月引っ越すんですか?それはもったいないですねえ。 
キッチンだけ水道の元栓を止めるだけってのもできますけど、
キッチン使えなくなりますけどそうしますか?」 
「うーん。でも引越し作業で何かとキッチン使うもんねえ。
それはそれで1か月とはいえ使えないのは不便だしねえ。。。
どうしよう。。。」 
 
さちこは考えあぐねていた。 
 
「じゃあ、どうせ引っ越すんだから
同等のレベルのものじゃなくてもいいんじゃない? 
一番安いメーカーのものなら材料込みで35000円でしますよ。 
今たまたま商品が車にあるし。」 
「それでも35000円するのかあ。」
「まあ、商品代金が21000円で、僕の日当もらわないかんので。
僕も会社に7割渡さなあかんしね。」
「えー!?そんなに?吉本よりひどいね!笑」
「そうですよ。見積もり無料っていうけど、見積もりして依頼されなかったら
そこまでの交通費はこっちが自腹ですから。」
「えー!ブラック企業やん!」
「まあその代わり広告費に莫大に金かけて仕事回したってるやろって
スタンスですわ。」
「へえ。」
 
そんな話をされたら多少セールストークに騙されてる感はあったが、 
どうせどの業者に見てもらっても同じようなことを言われると思い、 
一応夫に電話して了解を得てその場で修理を依頼した。 
 
そもそも賃貸マンションなのだから
不動産管理会社を通せば自己負担せずに修理できたのに、
その時は手術の麻酔で頭が回らなかったせいもあり、
そんなことは思いもつかなかったさちこであった。 
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