エナジークエスト

リョウタ

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第164エナジー 「『雷牙』と『アーク』」

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「雷牙」は「ディノシティー」の市場に来ていた。


恐竜たちが食料品を屋台で売っている。小型の肉食恐竜たちが主に店番で、店の前でお肉を焼いている。


「う~ん。うまそうな。においだな~。おーい。そこのトカゲ。その肉くれ。」


「生意気なガキだな。おまえは、たしか『ディノ』様の客人だったな。金をいいからとっととこの肉食ってこの星から消えろ。」


「うわ~。とんだ暴言だな。んじゃいらねーよ。」


気分が悪くなった「雷牙」はその店を出て、市場の道沿いを歩いていた。


「俺に八つ当たりされても困るんだけどな。誰のせいとかこうすればよかったとか過去にこだわる考えは好きじゃないな。あっ。あそこにいるのは・・・。」


「雷牙」は屋外レストランで、一人お酒を飲んでいる「アーク」をみつけた。


「よお。おまえ『竜牙』の仲間だったよな。俺を三日間匿ってくれてありがとな。」


「おまえ『ヤマタノオロチ』の。別に礼なんていいよ。この星の『マクロ』の頼みだったんだから。俺は『アーク』ってだ。よろしくな。」


「おう。俺は元『ヤマタノオロチ雷竜』の『雷牙』だ。それにしてもこんなトカゲばっかの星でおまえだけ人間タイプの『ミクロ生物』だから浮いてないのか?」


「ははは。面白いこと言うな。俺はこの星で恐竜たちにエナジーを教える立場だからそんな風に思ったことない。恐竜たちもエナジーが高いやつほどコミュニケーション能力も高いから、本音で語り合えるやつも多いんだ。だからかもな。今回のこの星の『マクロ』『ディノ』さんの死はショックがでかいかもしれない。」


「そっか。だから酒を飲んで気を紛らわせているのか。『アーク』の目的はなんなんだ?この星で恐竜たちにエナジーを教えてどうなる?」


「最初はただの交渉だった。俺と仲間が傷を負っていて、俺たちの『エナジーリカバリー』では治療が難しく、『竜牙』に紹介してもらったこの『恐竜星』にきたんだ。この星の『ディノヒューマン』は高レベルの『エナジーリカバリー』が使えるって聞いたので、『ディノヒューマン』に直接頼んでみたんだ。そしたら断られた。当然だよな?見ず知らずのどっかの星の『ミクロ生物』が俺たちの体を治せって言われても、俺でも断る。だから、恐竜たちにエナジーを教えて強くするっていう交渉したんだ。そのときの恐竜たちは属性攻撃や物体操作程度のエナジーしか使えなかったから、チャンスだと思ったんだ。まあそっから今に至るって感じかな。」


「もしかして『アーク』って『竜牙』が言ってた『ケミエナ星』ってとこの『ミクロ生物』?その星って『黒竜』に破壊されたんだよな?んじゃおまえは『黒竜』を恨んでないのか?」


「恨む?んー。俺が住んでいた星がなくなったって『竜牙』から聞いたときは、びっくりしたけど恨むって感情はないな。たぶん『黒竜』ってのは相当強い『マクロ』なんだろ?」


「えっ。大したことねーよ。俺の『エナジー武具』で倒せるぜ。近いうちに仇を取ってやるから安心しろよ。ただのおまえの話はなんか夢がないからつまんねーな。」


「そうか?てかおまえガキのくせにずいぶん聞き上手だな。『竜牙』と比べると大人っぽく感じるぜ。」


「『ヤマタノオロチ』から生まれ変わったこの肉体の年齢は12歳だけど、精神的は3000歳くらいだと思うけどな。」


「えっ。おまえらって『マクロ』のくせにそんなに若いのか?俺のイメージでは『マクロ体』は何億歳とかが多いと思ってたんだけど。」


「・・・・・・・・・。」


「まあいいや。俺のつまんない話聞いてくれてありがとな。『雷牙』。じゃあ俺の本当の悩みを話すよ。」


次回。  第165エナジー 「欲求不満な『アーク』*性的表現あるので苦手な方はスルーしてください」
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