The Energy World

リョウタ

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第四エナジー「シールド」

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「こそこそと何やってるの?竜牙。母さんわかるんだからね。竜牙が何か隠してること。」

竜牙の母親がノックもせずに扉を急に開けた。

「母さん!?何勝手に入ってきてんだよ!!」

「えっ。なに?その子たち?」

「ただのぬいぐるみだ。」

「まこだ。」

「さこだ。」

「まよちゃんなの。」

「えっ。しゃべるの?すごい!!かわいい。」

「竜牙の母親か。まるで戦闘力がない。しかし何か特殊な能力があるとみた。」

「バレた?すごいわね。さこちゃん。私はね、料理に関してはうるさいわよ。食べるのも作るのも得意よ!!」

「そうなんだ。母さん。関東の大食い大会で優勝してるんだ。食べ物好きだから、調理師の免許も持ってるし、料理の腕だけはいいんだ。」

「料理の腕だけって失礼ね。私もわかるわ。あなたたち、只者じゃないでしょ?」

「(そもそもこんなぬいぐるみみたいなやつらが話すことに疑問を持ってくれ。)」

「わかるか。やるな。おまえ。」

「相当食べるでしょ?まこちゃんとさこちゃん。まよちゃんはデザート担当でしょ?」

「まよちゃんはかわいい食べ物が大好きなの。」

「あら~。かわいいわね。じゃあ対決しましょ。今からみんなキッチンに大集合よ!!」

「なんだ。この親。」

竜牙たちはキッチンに集まった。

「みんなイスに座って。あっ。まこちゃんたちにはイスが大きすぎるわね。赤ちゃん用のイス三つだすわね。」

竜牙の母親は物置から赤ちゃん用のイスを三つ持ってきた。(なんで都合よくあるんだろ?)

「みんな見なさい!!私の料理さばきを!!」

竜牙の母親は猛烈に料理をし始めた。

鍋は業務用の大きい鍋を使い、炊飯器も竜牙といつも食べている五合用をどかし、業務用のデカイ炊飯器でご飯を炊き始めた。

「母さん!!いったい何十人分作るつもりだ!!」

「あんた、見てわからないの?まこちゃんたち私の計算だと、並の人間の数十倍食べるわよ?」

「あの小さい体で。」

竜牙の母親で大きいフライパンで野菜やら肉やらを大量に炒め始めた。

「へい!!お待ち!!」

テーブルには、三十人前はあるであろうと思われるチンジャオロースが大きなお皿に盛り付けられていた。

「エナジーがない人間にしては早いな。」

バクっ。

「チッ。」

さこが舌打ちをして悔しそうな表情をみせた。

「この料理、うまいぞ。」

まこが一瞬にして一人で巨大なお皿いっぱいに盛り付けられていたチンジャオロースを食べてしまったのだ。

「やるわね。まこちゃん。これならどうよ!!」

巨大な鍋の中にはパスタが茹でられていたようだ。

三十人前はありそうなミートスパゲッティが出てきた。
バクっ。

ガブっ。

まことさこが五分五分の速さでパスタを食べ尽くした。

「まよの分も取りたかったのに。クソが。」

「ふふん。」

「私が大食いに参加する余裕がない!?負けないわ!!」

竜牙はまこにもさこにも自分の母親にも呆れ返っていた。

「どうでもいい。もう俺、自分の部屋行ってよ。」

そう言って、竜牙は自分の部屋に戻って、明日の学校に行く準備を始めた。

「りゅうがのままさん。りゅうがは忙しいの?」

「あら~。まよちゃん。竜牙のこと気にしてくれているの?嬉しいわ。竜牙はね、いつも学校っていうところに通っているのよ。」

「そこで基礎学力や基礎体力、エナジー学問、エナジー武術、宇宙学問などを習うんだな。」

「おい。まこ。どこの星と間違えてる。この地球はどうみても表向きはエナジーがない星だろ?」
「ああ。忘れていた。ちょっとこの地球の学校とやらに行ってみるか。」

「まあ。まこちゃん。勉強熱心ね。感心だわ。でも、みんなに見つからないようにしなきゃね。」
「まよちゃん。りゅうがの部屋にあった変なカバンの中に入っとく。」

「あっ。ランドセルのこと?そうよね。変わったカバンよね。それがいいわ。そうしましょう。」
竜牙が知らない間に、勝手にまこたちが一緒に学校に行くことになっていた。

朝になった。

竜牙は朝、学校に行く準備をしていた。

まことまよとさこは、竜牙の部屋でバスタオルをお布団がわりにして三匹仲良く寝ていた。

竜牙が朝ごはんを食べにリビングに向かったタイミングを見計らって、まことまよは竜牙のランドセルに入り込んだ。

さこは起きていたが、学校に興味がなさそうで、もう一眠りした。

何も知らない竜牙は、まことまよが入っていることを知らずにランドセルを持って、家から学校に向かった。

学校に向かう途中、愛と良太に出会った。

「おはよう。竜牙。あっ。」

「あっ。ってなんだよ。朝から。」

愛の顔が青ざめていた。

「愛!!先に行こうぜ。ごめん。竜牙!!ちょっと愛が気分悪いみたいだから先に学校に連れて行くよ!!」

「う、うん。(なんだよ。愛のやつ。気分悪いんだったら家に帰ろよ。)」

いつもと様子が違う愛だった。

そんなことを忘れて竜牙は自分のクラスに向かった。

ホームルームが始まる前にランドセルの中に入っている教科書やノート、筆記用具を机の中に入れようとした。

「あっ。りゅうが。ランドセルの中、まっくら。」

「ここが、学校か。弱そうな人間ばかりだな。」

まことまよがランドセルの中に入っていた。

竜牙はすぐにランドセルを閉じた。

「おまえら何勝手に学校にきてんだよ。」

ランドセルの中からまこが。

「この星の教育方針の観察だ。弱小な惑星でどのような教育をしているか興味がない方がおかしいだろ?エナジー以外の何を教えるんだ?」

「静かにしゃべれよ。そんなの勉強に決まってんじゃん。俺も全然好きじゃないし、わかんないけど。」

「なんかいっぱい人間いるね。りゅうがみたい。みんなうるさい。」

「も~。おまえらの餌どうしよう~。給食の残りで足りるかな~。」

竜牙の元担任の田中先生は事件があったため、代わりに山崎先生がこのクラスを担当することになった。

山崎先生は男の先生で34歳。

結婚していて、子どもが二人いる優しい先生だ。

でも俺は田中先生に襲われた事件以来、先生と二人っきりになるのが少し怖くなっていた。

あんなことは起きまいと、思ってはいるがエナジーなしの自分の弱さを知っている。

強くなるまでは、リスクを取れない。

だから、山崎先生とは極力距離を置いていた。

先生も俺が田中先生に襲われた被害者であることから、俺とのコミュニケーションを丁重に行なっている。

俺が、まこやまよとランドセル越しでボソボソしゃべっていたとしても、事件のせいで精神が壊れてしまったと思われるだけだな。

たぶん。

一限目は社会の授業だった。

「つまらん!!」

授業が始まって、10分も経っていない。

「まこ。俺より集中力ねーな。俺でも15分は授業聞くぞ。それから、寝るか、落書きするか、アバター動かして散歩するけど。」

まよなんかはなから授業を聞く気はない。

寝てやがる。

「ぐーぐーぐー。」

まあ騒がれても困るし、別にいいんだけど。

そのとき、まこはエナジーを無効化にするリボン首元から外した。

ドン!!

突如、まこの体からエナジーが放出された。

まこの存在は地球から拒絶され、教室の光景、人間たちの様子が一切見えなくなった。

「おい!!まこ!!」

まこの行動に驚いた竜牙は、とっさに自分のアバターを出現させた。

「いきなりどうしたんだ!!気でも狂ったか?」

「この星の歴史などどうでもいい。さらにこの星の小さい国のことなんかもっとどうでもいい。学校飽きたから、おまえに少し、エナジーを教えてやるか。エナジーの初心者、いや赤ちゃん以下、いやバクテリア、いや素粒子以下のおまえに。」

「なんかよくわかんねーけど、馬鹿にされているのはわかった。そんなのこっちから教えてもらいたかったぜ。」

「じゃあまず、エナジーを出せ。」

「もう出てるじゃん。これじゃないの?」

「まこのエナジーと竜牙のエナジー。何が違う?」

「色かな?まこのエナジーは青、赤、緑、黄色、虹みたいにいろんな色のオーラが出てる。」

「竜牙のエナジーはどうだ?」

「俺のエナジーは、湯気みたいな感じだ。白いオーラが絶えず出てる。かっこよくねえ?」

「うん。それがゴミクズだ。」

「なんでだよ!!」

「お前ごときがエナジーの色を語るなんて、1無量大数年早い。その絶えず出ているオーラってのがおかしい。エナジーていうのは自分の体にとどめるものだ。」
「あっ。まこのエナジーは球体になって、まこの体を包んでいる。」

「そうだ。これが大気圏。自分の体を守るもの。攻撃にも使える。エナジーが使えるもの纏うオーラは大気圏。またの名を『シールド』と呼ぶ。」

「シールド。かっこいい。盾ってことだな。」

「そうだ。シールドがエナジーを使うものの常識であり、最大の攻撃と防御になる。誕生した瞬間からシールドは使えるんだ。普通は。」

「じゃあ俺は?」

「そんな湯気の出ているエナジーをシールドと呼ぶか?」

「湯気エナジー。だめ?」

「体にとどめろ。纏え。全てはそれからだ。エナジーの闘いは。」

というわけで、学校の竜牙は学校で授業。

アバターの竜牙は、空を飛びながら、まこのエナジー教育を受け始めた。

学校の授業は一限目から四限目まで進み、給食の時間になった。

竜牙はまことまよの気にかけた。

お腹が空いているかと思い、給食の休んでいる人の分まで貰おうと思ったのだ。

「なあ給食当番の佐々木。今日、余っている給食。俺にくれない?」

「唯(竜牙)に?珍しいな。そんな食いしん坊キャラだっけおまえ。」

「今日、朝飯食べるの忘れたんだよ。いつももらってないから、今日だけ頼むよ。」

「仕方ないな。パンとヨーグルトが余ってるからそれ食べとけ。」

「サンキュー。」

パンとヨーグルトがもらえたので、アバターの竜牙はまこに給食のことを伝えた。

「学校でご飯の時間になったぜ。まこは食べねーの?」

「エナジーを発してるときは食欲なんか出ねーぜ。それよりお前は早くシールド完成させろよ。何時間かかってんだよ。」

まこが給食いらなさそうだったので、ランドセルの中で寝ているまよを竜牙は起こした。

「まよ。起きろよ。ごはんの時間だ。」

「ふにゃ。まよちゃん。なんでこんなところにいるの?そのふわふわのものたべる。」

まよは黙ってパンを食べ始めた。

単純な白くまだ。

いやトカゲか。

竜牙は安心して、自分の給食を食べ始めた。

昼休みが終わり、外では雨が降ってきた。

修行中のアバターの竜牙とまこは。

「まこ。雨が降ってきたぞ。」

「雨が降ろうが、雷が降ろうが、シールドをしていると何も効かないぞ。」

「そうじゃなくて、俺、雨の日になると力でないの。」

「なんだそれ。どっかのヒーローか?」

「だから、俺、今日はもう消えるから。」

「根性なしのガキが。じゃあまこは地球を散歩しとこ。」

そう言って、竜牙のアバターは消えた。

まこも地球の散歩を始めた。(空を飛びながら。)

学校の竜牙は、6限目の授業を受けていた。

6限目の授業は体育で、外で雨が降ったため、体育館で行われた。

授業が終わり、竜牙は帰りの準備を始めた。

「月曜日は授業が6限目まであって、長すぎだ。早く帰りてぇ。」

そういって、ランドセルに教科書やノートをつめようと思った。

ランドセルの中に、まよはいない。

「は?」

給食を食べてから、まよはまたぐーぐー寝ていたので、竜牙は安心しきっていたのだ。

「あいつ。どこ行った?自分でどっかに行ったか?まよはそんなやつだったか。いやまことさことは違う。そんな感じじゃない。とすると、第三者の犯行。」

そのとき、ちょうど帰りのホームルームが始まった。

担任の山崎先生がこっちをみた。

不敵に「ニヤリ」と笑ったのである。

まさか。

この先生も、田中先生と同じようにエナジーの関係者!?

つづく。
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