フェイタリズム

倉木元貴

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合同親睦会 8

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(今日と明日の間に碧ちゃんと距離を詰めるべく作戦を考えて来たので、できるだけ実行してください。)
(まず聞きますけど、炭を使った火おこしはやったことはありますか?)
 
 何やら勝手に話が進んでいるようだけど、ここまで協力してくれる手前、無下にするのは心苦しい。ここまでしなくて大丈夫だよと。と如月さんに言ったら罵詈雑言の嵐になりそうだからそんなこと言えないし、でも、本人もできるだけと言っているからできるものだけを実行しよう。そう心に決めた。
 
(何ならキャンプは今日が初めてだから悪いけど何も知らないよ)
(一応動画を見て予習はして来たけど実践してみないことには何も言えないよ)
 
(分かりました。)
(できるなら一人にお任せしようと考えていましたが、できないのであれば別の役割を考えます。)
(ちなみに料理なんかはできますか?)
 
(ごめん料理もそんなに得意ではない)
 
(分かりました。)
(取り敢えず、準備と火起こしと調理の係に振り分けようと考えていましたので、もし希望するならどこがいいですか?)
(ちなみに、碧ちゃんは準備係に振り分けようと思っています。)
 
(今後のこと考えるなら火起こしの係に入れてもらいたい)
 
(それは名案ですね。)
(今後も確かにこんな機会はあると思うのでいいと思いますよ。)
(火起こしは元々私一人で担当しようと思っていたのでお手伝いお願いします)
(一から十まで全てお教えするので全て覚えて帰ってくださいね。)
 
(全部は無理だって)
(優しくお願いします)
 
「ラント・フェルトって誰とやり取りしているの、歌恋?」
 
 僕と如月さんのやり取りに山河内さんは水を差した。と言うか、僕はラント・フェルトなのか?
 
「フランス人の友人です」
 
 余計に疑われそうな嘘を如月さんは吐いた。
 僕の思っていた通り、山河内さんの好奇心は謎のフランス人ラント・フェルトに向いてた。
 
「今の時間フランスは夜中だよね。あ、それかラントさんはこっちに住んでいるの?」
 
「もちろん、こちらに住んでいますよ。他県ですけどね」
 
「じゃあ、引っ越してくる前の友達?」
 
「ええ。そうですよ」
 
「また今度会わせてよ。歌恋の昔話聞きたい」
 
「いやですよ。碧ちゃんデリカシーないので」
 
「今日の歌恋ケチだね」
 
「ケチで結構ですよ」
 
 今度は僕が二人の会話に水を差してみた。
 僕が如月さんにメッセージを送ったとほぼ同時のタイミングで如月さんのスマホは鳴った。
 
「あ、ラントさんからメッセージ来たよ」
 
「見ないでください」
 
 如月さんは呆れた顔を浮かべていた。
 僕としては、山河内さんが中継をしてくれているから、疑惑が確信に変わりつつあり、ありがたかった。
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