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第1章
36話
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メチコさんの店で昼食食べていると、コンコンッと誰かが扉を叩く音がした。
今日は店を休みにしている筈なのに急患か?
そう思って扉を開けると……、いつかに見た白い儀仗服の様なものを着た女性が、死にそうな爺さんを連れて立っていた。
最悪だ。勝瑞は少し前にムーの所へ行ってしまったというのに。
「あの……何か用ですか?」
「私はこれと言った用はない。この者は王国随一の医者だ。態々呼んだのだそこを通せ」
いかにも貴族のお嬢様がとりそうな態度だこと。
言い方ひとつで問題になってしまうこのご時世だ。誤解を生まない様に1つ付け加えておこう、こうゆう物語の“悪役”貴族のお嬢様がとりそうな態度だ。
心中ではそんな風に文句を言いながらも、俺がこれ以上口を開けば言い合いになりそうだから何も言わずにメチコさんの店に招き入れた。
プラノさんがいる部屋の道案内も兼ねて。
「ベダ殿この人が言っていた人だ」
王国の医者は顎に手を当てたまま悩んでいる様な顔を浮かべ、プラノさんを俯瞰したり近付いたり離れたり多方面から観察していた。
まぁ、そりゃそうなるよな。
だってプラノさんは今は割と普通に話せる様になっているのだから。
「プラノ・バールと言ったか? 君は昨日は酷い咳で動くことも儘ならないと言っていたのではないのか?」
「いやー、そうなんですけどね。今日は昨日に比べると全然マシで身体が軽いんですよね。もう治ったようですね」
プラノさんは盛大に笑っていたけど、それどころではない。
だって、俺完全に睨まれている。
「おい、そこの旅人。話があるこっちに来てもらってもいいか」
何故だろう、疑問文の筈なのにクェスチョンマークが付いてない文章に見える。
そんな彼女の言葉に怯えた俺は、易々とついて行った。
「何でしょうか?」
「昨日あの男は確かに弱っていた。聞く所によれば、私が渡した薬を飲んでないと言うではないか。お前が関与しているのではないのか?」
その予想は大正解であるが、何と答えるのが正解なんだろう。
でも、変に嘘をつく方が良くなさそうだ。
「えぇ、そうですが……何か?」
俺はおかしなことを言ってしまったのだろうか、余計に睨まれている。
「お前、まさか来訪者か?」
来訪者? 聞いたことのない呼び名だ。
「その来訪者とは、どう言った人達を指すのですか?」
睨んでいた顔が綻んでいったのはいいが、今度は呆れた様な顔を向けられていた。
「異世界と言う所から来た人間のことを指す。お前の様なな」
俺は何かを疑われているようだ。
こんな時に限って勝瑞は居ないし、どうすればこの苦境を乗り越えることができるのだ?
勝瑞よ、早く帰って来てくれー。
俺の願いも虚しく、勝瑞が帰って来たのは散々尋問を受けた後だった。
「がっくんただいまー。ど、どうしたのがっくん?」
普段通りの格好で座っていたのだが、勝瑞曰く普段より身体も硬く顔色も凄く悪かったそうだ。
俺は、勝瑞に何があったのかこと細かく話した。そんな勝瑞も昔似たことがあったと苦笑いを浮かべていた。
「まぁ、がっく仕方ないよ。あのお嬢様はそんな人だからよく覚えておいてよ」
とまさか本人目の前にしてそんなことを言うとは思ってもいなかった。
「おいお前。余計なことを言うではない。異世界人なら大人しくこちらの指示に従え」
このお嬢様は異世界人に対して、相当な偏見があるようだ。
「いやいや、単なる冗談ですよ~。魔にうけないでくださいね。こいつ最近やって来たばかりで慣れていないものですから、行儀と言うのを教えている最中なのです」
昔から思っていたがこいつはよくもまあこう抜け抜けと嘘を言えるものだ。
「くだらない。災害のもとである異世界人が何人もこの国にいるとなると人も減るだろう。早いうちに東の国に行くんだな」
そう言ってお嬢様はメチコさんの店から出て行った。
あのお嬢様異世界人を相当目の敵にしていたけど過去に何かあったのか?
勝瑞なら何か知っているのか?
「なぁ、勝瑞。あのお嬢様何であんなに異世界人を嫌っているんだ?」
「あぁ、異世界人と言うよりも僕のことを嫌っているって言った方が正しいかな」
深く踏み込んでいいのかやめといた方がいいのか、どちらとも言えないような表情を浮かべていた。
それでも俺は気になるから追求した。
「それってどう言う意味だ?」
「あの人達はさ、僕達の異能力を恐れているんだよ。だけど僕って嘘が分かるってだけだからこうやって普通に暮らしているんだけど、それでもお嬢様は嘘を見抜かれるのを怖がっているんだよね」
勝瑞は余裕の表情を浮かべていた。その反面俺は焦っていた。
そう言えばそんなことを言ってたな、と思いつつも俺は変な文字が浮かぶこの現象を勝瑞に話していない。
これはもっと深く追求する必要がありそうだ。
「そりゃ、誰だって嘘を見抜かれたら怖いだろ。それってどんな風に見破ることができてしまうんだ?」
「何か隠し事でもあるの?」
俺は道を誤ってしまったようだ。
今日は店を休みにしている筈なのに急患か?
そう思って扉を開けると……、いつかに見た白い儀仗服の様なものを着た女性が、死にそうな爺さんを連れて立っていた。
最悪だ。勝瑞は少し前にムーの所へ行ってしまったというのに。
「あの……何か用ですか?」
「私はこれと言った用はない。この者は王国随一の医者だ。態々呼んだのだそこを通せ」
いかにも貴族のお嬢様がとりそうな態度だこと。
言い方ひとつで問題になってしまうこのご時世だ。誤解を生まない様に1つ付け加えておこう、こうゆう物語の“悪役”貴族のお嬢様がとりそうな態度だ。
心中ではそんな風に文句を言いながらも、俺がこれ以上口を開けば言い合いになりそうだから何も言わずにメチコさんの店に招き入れた。
プラノさんがいる部屋の道案内も兼ねて。
「ベダ殿この人が言っていた人だ」
王国の医者は顎に手を当てたまま悩んでいる様な顔を浮かべ、プラノさんを俯瞰したり近付いたり離れたり多方面から観察していた。
まぁ、そりゃそうなるよな。
だってプラノさんは今は割と普通に話せる様になっているのだから。
「プラノ・バールと言ったか? 君は昨日は酷い咳で動くことも儘ならないと言っていたのではないのか?」
「いやー、そうなんですけどね。今日は昨日に比べると全然マシで身体が軽いんですよね。もう治ったようですね」
プラノさんは盛大に笑っていたけど、それどころではない。
だって、俺完全に睨まれている。
「おい、そこの旅人。話があるこっちに来てもらってもいいか」
何故だろう、疑問文の筈なのにクェスチョンマークが付いてない文章に見える。
そんな彼女の言葉に怯えた俺は、易々とついて行った。
「何でしょうか?」
「昨日あの男は確かに弱っていた。聞く所によれば、私が渡した薬を飲んでないと言うではないか。お前が関与しているのではないのか?」
その予想は大正解であるが、何と答えるのが正解なんだろう。
でも、変に嘘をつく方が良くなさそうだ。
「えぇ、そうですが……何か?」
俺はおかしなことを言ってしまったのだろうか、余計に睨まれている。
「お前、まさか来訪者か?」
来訪者? 聞いたことのない呼び名だ。
「その来訪者とは、どう言った人達を指すのですか?」
睨んでいた顔が綻んでいったのはいいが、今度は呆れた様な顔を向けられていた。
「異世界と言う所から来た人間のことを指す。お前の様なな」
俺は何かを疑われているようだ。
こんな時に限って勝瑞は居ないし、どうすればこの苦境を乗り越えることができるのだ?
勝瑞よ、早く帰って来てくれー。
俺の願いも虚しく、勝瑞が帰って来たのは散々尋問を受けた後だった。
「がっくんただいまー。ど、どうしたのがっくん?」
普段通りの格好で座っていたのだが、勝瑞曰く普段より身体も硬く顔色も凄く悪かったそうだ。
俺は、勝瑞に何があったのかこと細かく話した。そんな勝瑞も昔似たことがあったと苦笑いを浮かべていた。
「まぁ、がっく仕方ないよ。あのお嬢様はそんな人だからよく覚えておいてよ」
とまさか本人目の前にしてそんなことを言うとは思ってもいなかった。
「おいお前。余計なことを言うではない。異世界人なら大人しくこちらの指示に従え」
このお嬢様は異世界人に対して、相当な偏見があるようだ。
「いやいや、単なる冗談ですよ~。魔にうけないでくださいね。こいつ最近やって来たばかりで慣れていないものですから、行儀と言うのを教えている最中なのです」
昔から思っていたがこいつはよくもまあこう抜け抜けと嘘を言えるものだ。
「くだらない。災害のもとである異世界人が何人もこの国にいるとなると人も減るだろう。早いうちに東の国に行くんだな」
そう言ってお嬢様はメチコさんの店から出て行った。
あのお嬢様異世界人を相当目の敵にしていたけど過去に何かあったのか?
勝瑞なら何か知っているのか?
「なぁ、勝瑞。あのお嬢様何であんなに異世界人を嫌っているんだ?」
「あぁ、異世界人と言うよりも僕のことを嫌っているって言った方が正しいかな」
深く踏み込んでいいのかやめといた方がいいのか、どちらとも言えないような表情を浮かべていた。
それでも俺は気になるから追求した。
「それってどう言う意味だ?」
「あの人達はさ、僕達の異能力を恐れているんだよ。だけど僕って嘘が分かるってだけだからこうやって普通に暮らしているんだけど、それでもお嬢様は嘘を見抜かれるのを怖がっているんだよね」
勝瑞は余裕の表情を浮かべていた。その反面俺は焦っていた。
そう言えばそんなことを言ってたな、と思いつつも俺は変な文字が浮かぶこの現象を勝瑞に話していない。
これはもっと深く追求する必要がありそうだ。
「そりゃ、誰だって嘘を見抜かれたら怖いだろ。それってどんな風に見破ることができてしまうんだ?」
「何か隠し事でもあるの?」
俺は道を誤ってしまったようだ。
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