スキル【レベル転生】でダンジョン無双

世界るい

文字の大きさ
13 / 41

第13話 【契約を交わした者Lv1】

しおりを挟む
「えと、ここでいいですか?」

「はい」

 一ノ瀬さんに確認を取ってから誰もいない小さめの休憩室へと入る。

「「…………」」

 とりあえず対面同士に座ってみたものの、何から切り出したものかと悩んでしまう。

「「あの……。あ、どうぞ」」

 なにやってんだ。というか、どうにも先ほどから自分らしくない。

「ふぅー。すみません、一ノ瀬さん。正直に言います。俺は一ノ瀬さんを見た瞬間、懐かしさ・・・・を感じました。なんというか、久しぶりに会えて嬉しいよ、みたいな。俺たち小さい頃に会ってたりします?」

 色々気になることはあるが、一番不思議だったのはココ・・だ。目が合った瞬間、友人や、下手をしたら家族のように感じてしまったこと。こんなことは今まで一度もない。

「……会ったことはないと思います。ですが、私も獅堂さんと同じような感覚になりました。それに関して実は心当たりが一つあるのですが……」

 一ノ瀬さんはそこで言葉を切ると、その先を言うことを少し悩んでいるようだ。

「言って下さい。大丈夫です」

「はい。……それは、スキルの影響かも知れません。私は特殊スキルに【契約を交わした者(仮)】というスキルがあります。これは誰でも契約できるわけではなく、むしろ今まで誰も契約できなかったんです」

「特殊スキル……。それがどうしてこういう感覚を?」

「はい。実はこのスキルはかなり特殊みたいで、私が契約者を探すという意思で人を見れば、できる、できないが分かるんです。その延長線上にもしかしたら契約者となりうる人にはそういった感覚を抱かせるのかと」

「……なるほど。この感覚は契約者スキルが契約者を結びつけるために生じさせたものか……」

「……あくまで可能性の一つですが。只、もしそうだとしたら本当にごめんなさい」

 一ノ瀬さんはスキルのせいで、俺を強制的に契約者にさせてしまった可能性に対して謝ってるのだろう。

「あ、いえ、全然一ノ瀬さんが謝ることじゃないですよ。こうなったことに怒ってもいませんし、後悔もしていないんです。只……ちょっと怖いですね」

 俺は小さく苦笑いしながら怖いと言った。この魔王システムでレベルが上がった人はその影響を受け、どんどん人間離れしていく。徐々に人が人でなくなり、魔王のオモチャとして作り変えられていくような。そして、ついに感情までもそのスキルの支配下に置かれたとしたら……。

「はい、私も同感です」

 重苦しい空気が漂う。俺は頭を二、三度振り、大きく息をつく。

「フゥー。分かりました。では、とりあえずこの件は置いておいて。それで怒らないで欲しいんですけども、契約者ってなんですか? いや本当は契約する前に聞いておかなきゃいけないことだと思うんですけど」

 契約者なんていう概念は学校でも習ってないし、IDOのデータバンクでも見かけたことはない。モーラーにとっては常識なのかも知れないが、俺は知らずに返事をしてしまったのだ。

「……あ、いえ。多分この契約者スキルはかなりレアだと思います。モーラーの方もIDOの方も知ってる人は誰もいませんでした。むしろ、私の方こそすみません。契約する前に説明するつもりだったんです」

 一ノ瀬さんは自分の失敗を恥じるように小さめの声でそう言った。

「まずは見てもらった方が早いと思うので、私のステータスを見てもらえますか?」

 俺がそれを了承すると、一ノ瀬さんは隣に移動してきて、ステータスボードをポップアップさせる。

<名前> ヒカリ エヴァンス 一ノ瀬
<Lv> 1
<ステータス> 
HP:10 
MP:10
STR:1
VIT:1 
DEX:1 
AGI:1 
INT:1 
MND:1 
LUK:1

<装備>
右手:なし 
左手:なし 
頭:なし 
上半身:なし 
下半身:なし 
靴:なし 
アクセサリー:なし

<ジョブスキル> 【神剣使いLv1】
<アクティブスキル> 【絶・穿ちLv1】
<パッシブスキル> 【全ステータス成長補正Lv1】【HP・MP自動回復Lv1】【大剣装備補正Lv1】【契約者ステータス補正Lv1】【剛力Lv1】【金剛Lv1】【不動Lv1】【天賦の才Lv1】
<特殊スキル> 【契約を交わした者Lv1】【アイテムボックスLv1】
<スキルポイント> 0
<称号> 【神剣所有者】

「……すごいステータスですね」

 色々とツッコミたいことが多すぎて、とりあえずその一言に集約してしまった。なんだ神剣使いって。めっちゃ強そうだし、カッコいい。それに俺以外にまさか最低ステータスがいたことにも驚きだ。

「はい。恥ずかしながら最低ステータスにスキルも二つしかなく、契約者がいないと経験値ももらえないよ──って、っえ!? な、なにこれ!?」

「えっ、どうしたんです?」

 ステータスを見た俺より、ステータスを見せた一ノ瀬さんの方が驚いていた。

「いや、あの、獅堂さんと契約するまでの私のスキルは【契約を交わした者(仮)】と【アイテムボックス(仮)】だけだった……、えぇ……」

 失礼だと思うが、焦った表情で目を白黒させる一ノ瀬さんは可愛らしく思え、少しだけホッとしてしまった。

「なるほど。じゃあ、とりあえずスキル確認します?」

「あの、いえ、それは後にします。コホンッ。えぇと、まずは先ほどの契約者とは、ですがこの【契約を交わした者Lv1】の詳細を見て下さい」

 一ノ瀬さんは落ち着きを取り戻すのに必死なようで、わざとらしい咳払いのあと、真面目な表情でスキルをタップする。しかし肌が白い分、頬の赤みは誤魔化せていないが、そんなところを指摘してキャッキャするような仲ではないため自重し、スキルの詳細に集中する。

【契約を交わした者Lv1】
 一、スキル所有者(以下、甲)は、契約者(以下、乙)とのみ、パーティを組める。
 二、(甲)は(乙)と契約するまで経験値の一切を貰えない。
 三、(甲)と(乙)はダンジョンアイテムの譲渡が可能。
 四、(甲)と(乙)は経験値を共有する。
 五、当該スキルのLv経験値は(甲)と(乙)が半径20m以内かつ、その距離(m)の近さに比例し、時間当たり(sec)獲得可能。尚、ダンジョン外でも適応。

 甲だの乙だので読みにくいスキル説明欄を何往復かする。とりあえず、気になるのは一と二だ。これはつまり……。

「……つまり、一ノ瀬さんは俺と契約するまで最低ステータスで、パーティを組めず、レベルアップもできなかった、と?」

「はい」

 だとしたら契約者なしでのダンジョン攻略はハードモードすぎる……。

「……それは本当に大変でしたね」

「えぇ。まるでシステムが私に契約者を探させるため・・・・・・・・・・に仕組んだような仕様ですよね」

「ん? 言われてみれば、確かに……」

 この仕様ではモーラーとして活動することなんて不可能だろう。必然、契約者を探すことになる。しかも契約者は誰でもいいというわけではない。でも──。

「でも、普通だったらその状況で、モーラーは諦めると思うんですが……。まして、一年近く契約者が見つからないなら尚更」

 それでも尚、諦めず、契約者を探し出し、ダンジョンモーラーになるということはよほど強い意思、目的があるということだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~

うみ
ファンタジー
 恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。  いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。  モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。  そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。  モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。  その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。  稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。 『箱を開けるモ』 「餌は待てと言ってるだろうに」  とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。

魔法使いじゃなくて魔弓使いです

カタナヅキ
ファンタジー
※派手な攻撃魔法で敵を倒すより、矢に魔力を付与して戦う方が燃費が良いです 魔物に両親を殺された少年は森に暮らすエルフに拾われ、彼女に弟子入りして弓の技術を教わった。それから時が経過して少年は付与魔法と呼ばれる古代魔術を覚えると、弓の技術と組み合わせて「魔弓術」という戦術を編み出す。それを知ったエルフは少年に出て行くように伝える。 「お前はもう一人で生きていける。森から出て旅に出ろ」 「ええっ!?」 いきなり森から追い出された少年は当てもない旅に出ることになり、彼は師から教わった弓の技術と自分で覚えた魔法の力を頼りに生きていく。そして彼は外の世界に出て普通の人間の魔法使いの殆どは攻撃魔法で敵を殲滅するのが主流だと知る。 「攻撃魔法は派手で格好いいとは思うけど……無駄に魔力を使いすぎてる気がするな」 攻撃魔法は凄まじい威力を誇る反面に術者に大きな負担を与えるため、それを知ったレノは攻撃魔法よりも矢に魔力を付与して攻撃を行う方が燃費も良くて効率的に倒せる気がした――

通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~

日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!  斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。  偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。 「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」  選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

配信者ルミ、バズる~超難関ダンジョンだと知らず、初級ダンジョンだと思ってクリアしてしまいました~

てるゆーぬ(旧名:てるゆ)
ファンタジー
女主人公です(主人公は恋愛しません)。18歳。ダンジョンのある現代社会で、探索者としてデビューしたルミは、ダンジョン配信を始めることにした。近くの町に初級ダンジョンがあると聞いてやってきたが、ルミが発見したのは超難関ダンジョンだった。しかしそうとは知らずに、ルミはダンジョン攻略を開始し、ハイランクの魔物たちを相手に無双する。その様子は全て生配信でネットに流され、SNSでバズりまくり、同接とチャンネル登録数は青天井に伸び続けるのだった。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

処理中です...