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第13話 【契約を交わした者Lv1】
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「えと、ここでいいですか?」
「はい」
一ノ瀬さんに確認を取ってから誰もいない小さめの休憩室へと入る。
「「…………」」
とりあえず対面同士に座ってみたものの、何から切り出したものかと悩んでしまう。
「「あの……。あ、どうぞ」」
なにやってんだ。というか、どうにも先ほどから自分らしくない。
「ふぅー。すみません、一ノ瀬さん。正直に言います。俺は一ノ瀬さんを見た瞬間、懐かしさを感じました。なんというか、久しぶりに会えて嬉しいよ、みたいな。俺たち小さい頃に会ってたりします?」
色々気になることはあるが、一番不思議だったのはココだ。目が合った瞬間、友人や、下手をしたら家族のように感じてしまったこと。こんなことは今まで一度もない。
「……会ったことはないと思います。ですが、私も獅堂さんと同じような感覚になりました。それに関して実は心当たりが一つあるのですが……」
一ノ瀬さんはそこで言葉を切ると、その先を言うことを少し悩んでいるようだ。
「言って下さい。大丈夫です」
「はい。……それは、スキルの影響かも知れません。私は特殊スキルに【契約を交わした者(仮)】というスキルがあります。これは誰でも契約できるわけではなく、むしろ今まで誰も契約できなかったんです」
「特殊スキル……。それがどうしてこういう感覚を?」
「はい。実はこのスキルはかなり特殊みたいで、私が契約者を探すという意思で人を見れば、できる、できないが分かるんです。その延長線上にもしかしたら契約者となりうる人にはそういった感覚を抱かせるのかと」
「……なるほど。この感覚は契約者スキルが契約者を結びつけるために生じさせたものか……」
「……あくまで可能性の一つですが。只、もしそうだとしたら本当にごめんなさい」
一ノ瀬さんはスキルのせいで、俺を強制的に契約者にさせてしまった可能性に対して謝ってるのだろう。
「あ、いえ、全然一ノ瀬さんが謝ることじゃないですよ。こうなったことに怒ってもいませんし、後悔もしていないんです。只……ちょっと怖いですね」
俺は小さく苦笑いしながら怖いと言った。この魔王システムでレベルが上がった人はその影響を受け、どんどん人間離れしていく。徐々に人が人でなくなり、魔王のオモチャとして作り変えられていくような。そして、ついに感情までもそのスキルの支配下に置かれたとしたら……。
「はい、私も同感です」
重苦しい空気が漂う。俺は頭を二、三度振り、大きく息をつく。
「フゥー。分かりました。では、とりあえずこの件は置いておいて。それで怒らないで欲しいんですけども、契約者ってなんですか? いや本当は契約する前に聞いておかなきゃいけないことだと思うんですけど」
契約者なんていう概念は学校でも習ってないし、IDOのデータバンクでも見かけたことはない。モーラーにとっては常識なのかも知れないが、俺は知らずに返事をしてしまったのだ。
「……あ、いえ。多分この契約者スキルはかなりレアだと思います。モーラーの方もIDOの方も知ってる人は誰もいませんでした。むしろ、私の方こそすみません。契約する前に説明するつもりだったんです」
一ノ瀬さんは自分の失敗を恥じるように小さめの声でそう言った。
「まずは見てもらった方が早いと思うので、私のステータスを見てもらえますか?」
俺がそれを了承すると、一ノ瀬さんは隣に移動してきて、ステータスボードをポップアップさせる。
<名前> ヒカリ エヴァンス 一ノ瀬
<Lv> 1
<ステータス>
HP:10
MP:10
STR:1
VIT:1
DEX:1
AGI:1
INT:1
MND:1
LUK:1
<装備>
右手:なし
左手:なし
頭:なし
上半身:なし
下半身:なし
靴:なし
アクセサリー:なし
<ジョブスキル> 【神剣使いLv1】
<アクティブスキル> 【絶・穿ちLv1】
<パッシブスキル> 【全ステータス成長補正Lv1】【HP・MP自動回復Lv1】【大剣装備補正Lv1】【契約者ステータス補正Lv1】【剛力Lv1】【金剛Lv1】【不動Lv1】【天賦の才Lv1】
<特殊スキル> 【契約を交わした者Lv1】【アイテムボックスLv1】
<スキルポイント> 0
<称号> 【神剣所有者】
「……すごいステータスですね」
色々とツッコミたいことが多すぎて、とりあえずその一言に集約してしまった。なんだ神剣使いって。めっちゃ強そうだし、カッコいい。それに俺以外にまさか最低ステータスがいたことにも驚きだ。
「はい。恥ずかしながら最低ステータスにスキルも二つしかなく、契約者がいないと経験値ももらえないよ──って、っえ!? な、なにこれ!?」
「えっ、どうしたんです?」
ステータスを見た俺より、ステータスを見せた一ノ瀬さんの方が驚いていた。
「いや、あの、獅堂さんと契約するまでの私のスキルは【契約を交わした者(仮)】と【アイテムボックス(仮)】だけだった……、えぇ……」
失礼だと思うが、焦った表情で目を白黒させる一ノ瀬さんは可愛らしく思え、少しだけホッとしてしまった。
「なるほど。じゃあ、とりあえずスキル確認します?」
「あの、いえ、それは後にします。コホンッ。えぇと、まずは先ほどの契約者とは、ですがこの【契約を交わした者Lv1】の詳細を見て下さい」
一ノ瀬さんは落ち着きを取り戻すのに必死なようで、わざとらしい咳払いのあと、真面目な表情でスキルをタップする。しかし肌が白い分、頬の赤みは誤魔化せていないが、そんなところを指摘してキャッキャするような仲ではないため自重し、スキルの詳細に集中する。
【契約を交わした者Lv1】
一、スキル所有者(以下、甲)は、契約者(以下、乙)とのみ、パーティを組める。
二、(甲)は(乙)と契約するまで経験値の一切を貰えない。
三、(甲)と(乙)はダンジョンアイテムの譲渡が可能。
四、(甲)と(乙)は経験値を共有する。
五、当該スキルのLv経験値は(甲)と(乙)が半径20m以内かつ、その距離(m)の近さに比例し、時間当たり(sec)獲得可能。尚、ダンジョン外でも適応。
甲だの乙だので読みにくいスキル説明欄を何往復かする。とりあえず、気になるのは一と二だ。これはつまり……。
「……つまり、一ノ瀬さんは俺と契約するまで最低ステータスで、パーティを組めず、レベルアップもできなかった、と?」
「はい」
だとしたら契約者なしでのダンジョン攻略はハードモードすぎる……。
「……それは本当に大変でしたね」
「えぇ。まるでシステムが私に契約者を探させるために仕組んだような仕様ですよね」
「ん? 言われてみれば、確かに……」
この仕様ではモーラーとして活動することなんて不可能だろう。必然、契約者を探すことになる。しかも契約者は誰でもいいというわけではない。でも──。
「でも、普通だったらその状況で、モーラーは諦めると思うんですが……。まして、一年近く契約者が見つからないなら尚更」
それでも尚、諦めず、契約者を探し出し、ダンジョンモーラーになるということはよほど強い意思、目的があるということだ。
「はい」
一ノ瀬さんに確認を取ってから誰もいない小さめの休憩室へと入る。
「「…………」」
とりあえず対面同士に座ってみたものの、何から切り出したものかと悩んでしまう。
「「あの……。あ、どうぞ」」
なにやってんだ。というか、どうにも先ほどから自分らしくない。
「ふぅー。すみません、一ノ瀬さん。正直に言います。俺は一ノ瀬さんを見た瞬間、懐かしさを感じました。なんというか、久しぶりに会えて嬉しいよ、みたいな。俺たち小さい頃に会ってたりします?」
色々気になることはあるが、一番不思議だったのはココだ。目が合った瞬間、友人や、下手をしたら家族のように感じてしまったこと。こんなことは今まで一度もない。
「……会ったことはないと思います。ですが、私も獅堂さんと同じような感覚になりました。それに関して実は心当たりが一つあるのですが……」
一ノ瀬さんはそこで言葉を切ると、その先を言うことを少し悩んでいるようだ。
「言って下さい。大丈夫です」
「はい。……それは、スキルの影響かも知れません。私は特殊スキルに【契約を交わした者(仮)】というスキルがあります。これは誰でも契約できるわけではなく、むしろ今まで誰も契約できなかったんです」
「特殊スキル……。それがどうしてこういう感覚を?」
「はい。実はこのスキルはかなり特殊みたいで、私が契約者を探すという意思で人を見れば、できる、できないが分かるんです。その延長線上にもしかしたら契約者となりうる人にはそういった感覚を抱かせるのかと」
「……なるほど。この感覚は契約者スキルが契約者を結びつけるために生じさせたものか……」
「……あくまで可能性の一つですが。只、もしそうだとしたら本当にごめんなさい」
一ノ瀬さんはスキルのせいで、俺を強制的に契約者にさせてしまった可能性に対して謝ってるのだろう。
「あ、いえ、全然一ノ瀬さんが謝ることじゃないですよ。こうなったことに怒ってもいませんし、後悔もしていないんです。只……ちょっと怖いですね」
俺は小さく苦笑いしながら怖いと言った。この魔王システムでレベルが上がった人はその影響を受け、どんどん人間離れしていく。徐々に人が人でなくなり、魔王のオモチャとして作り変えられていくような。そして、ついに感情までもそのスキルの支配下に置かれたとしたら……。
「はい、私も同感です」
重苦しい空気が漂う。俺は頭を二、三度振り、大きく息をつく。
「フゥー。分かりました。では、とりあえずこの件は置いておいて。それで怒らないで欲しいんですけども、契約者ってなんですか? いや本当は契約する前に聞いておかなきゃいけないことだと思うんですけど」
契約者なんていう概念は学校でも習ってないし、IDOのデータバンクでも見かけたことはない。モーラーにとっては常識なのかも知れないが、俺は知らずに返事をしてしまったのだ。
「……あ、いえ。多分この契約者スキルはかなりレアだと思います。モーラーの方もIDOの方も知ってる人は誰もいませんでした。むしろ、私の方こそすみません。契約する前に説明するつもりだったんです」
一ノ瀬さんは自分の失敗を恥じるように小さめの声でそう言った。
「まずは見てもらった方が早いと思うので、私のステータスを見てもらえますか?」
俺がそれを了承すると、一ノ瀬さんは隣に移動してきて、ステータスボードをポップアップさせる。
<名前> ヒカリ エヴァンス 一ノ瀬
<Lv> 1
<ステータス>
HP:10
MP:10
STR:1
VIT:1
DEX:1
AGI:1
INT:1
MND:1
LUK:1
<装備>
右手:なし
左手:なし
頭:なし
上半身:なし
下半身:なし
靴:なし
アクセサリー:なし
<ジョブスキル> 【神剣使いLv1】
<アクティブスキル> 【絶・穿ちLv1】
<パッシブスキル> 【全ステータス成長補正Lv1】【HP・MP自動回復Lv1】【大剣装備補正Lv1】【契約者ステータス補正Lv1】【剛力Lv1】【金剛Lv1】【不動Lv1】【天賦の才Lv1】
<特殊スキル> 【契約を交わした者Lv1】【アイテムボックスLv1】
<スキルポイント> 0
<称号> 【神剣所有者】
「……すごいステータスですね」
色々とツッコミたいことが多すぎて、とりあえずその一言に集約してしまった。なんだ神剣使いって。めっちゃ強そうだし、カッコいい。それに俺以外にまさか最低ステータスがいたことにも驚きだ。
「はい。恥ずかしながら最低ステータスにスキルも二つしかなく、契約者がいないと経験値ももらえないよ──って、っえ!? な、なにこれ!?」
「えっ、どうしたんです?」
ステータスを見た俺より、ステータスを見せた一ノ瀬さんの方が驚いていた。
「いや、あの、獅堂さんと契約するまでの私のスキルは【契約を交わした者(仮)】と【アイテムボックス(仮)】だけだった……、えぇ……」
失礼だと思うが、焦った表情で目を白黒させる一ノ瀬さんは可愛らしく思え、少しだけホッとしてしまった。
「なるほど。じゃあ、とりあえずスキル確認します?」
「あの、いえ、それは後にします。コホンッ。えぇと、まずは先ほどの契約者とは、ですがこの【契約を交わした者Lv1】の詳細を見て下さい」
一ノ瀬さんは落ち着きを取り戻すのに必死なようで、わざとらしい咳払いのあと、真面目な表情でスキルをタップする。しかし肌が白い分、頬の赤みは誤魔化せていないが、そんなところを指摘してキャッキャするような仲ではないため自重し、スキルの詳細に集中する。
【契約を交わした者Lv1】
一、スキル所有者(以下、甲)は、契約者(以下、乙)とのみ、パーティを組める。
二、(甲)は(乙)と契約するまで経験値の一切を貰えない。
三、(甲)と(乙)はダンジョンアイテムの譲渡が可能。
四、(甲)と(乙)は経験値を共有する。
五、当該スキルのLv経験値は(甲)と(乙)が半径20m以内かつ、その距離(m)の近さに比例し、時間当たり(sec)獲得可能。尚、ダンジョン外でも適応。
甲だの乙だので読みにくいスキル説明欄を何往復かする。とりあえず、気になるのは一と二だ。これはつまり……。
「……つまり、一ノ瀬さんは俺と契約するまで最低ステータスで、パーティを組めず、レベルアップもできなかった、と?」
「はい」
だとしたら契約者なしでのダンジョン攻略はハードモードすぎる……。
「……それは本当に大変でしたね」
「えぇ。まるでシステムが私に契約者を探させるために仕組んだような仕様ですよね」
「ん? 言われてみれば、確かに……」
この仕様ではモーラーとして活動することなんて不可能だろう。必然、契約者を探すことになる。しかも契約者は誰でもいいというわけではない。でも──。
「でも、普通だったらその状況で、モーラーは諦めると思うんですが……。まして、一年近く契約者が見つからないなら尚更」
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