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第一章「宿命の子どもたち」 前編
第13話
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「三成にか? そうか、参ったな。三成は、山背様のお供で飛鳥に泊まっておるのじゃが、二、三日は帰って来んしなあ………………」
弟成は落胆した。
荷物自体は、他の奴婢に渡せば事足りるのだが、三成に会えないのが残念だった。
そんなしょ気返った顔を見た文屋は、彼のことを可哀想に思ったのか、
「よし、それは、ワシが預かってやろう。なあ、それでええやろ」
と、弟成の顔を覗き込んだ。
「でも、兄ちゃんに直接渡さんと、姉ちゃんに怒られる」
「心配いらんて。姉ちゃんには、ワシが預かたと言えばええ、なあ」
「ほんなら」
三成に会えなかったのは残念であったが、兎も角、お遣いの役目だけは果たそうと、弟成は袋を文屋に手渡した。
「おい、待て。お遣いの褒美に、お前にええ物をやろう。ちょっと来い。」
文屋は、帰ろうとした弟成の手を引いて宮の中に入って行った。
斑鳩宮は広かった。
文屋は、妻の佐倉刀自と一緒に斑鳩宮の東門の近くに住んでいたが、その屋敷もなかなか大きなものだった。
弟成が屋敷の縁側に腰掛けて待っていると、文屋は、大きな器を抱えた佐倉刀自を伴って、奥から出てきた。
「弟成、お前、これを食べたことがあるか?」
弟成の目の前に差し出されたのは器には、丸い物体が数個盛られている。
丸く、仄かに赤みがかった物体をいままで見たことがない。
以前、雪女たち女の子が水浴びをしているところを見てしまったことがあったが、その物体は、雪女たちの白く、そして薄っすらと上気したお尻のようであった。
そして、その芳しい匂いが、弟成の鼻を擽った。
「これはね、桃というものなのよ」
器を差し出しながら、佐倉刀自が言った。
「山背様からの御裾わけでな。どら、こうやって食うんや」
文屋は桃を一つ取ると、その乙女のお尻のような柔肌を剥き始めた。
甘ったるい香りが弟成たちを包み込む。
文屋はある程度剥くと、そこからガブッと、そのお尻にむしゃぶりついた。
さらに、甘い匂いが弟成の鼻を突いた。
「弟成も食べてみろ、美味いぞ」
弟成は、差し出された器から桃を一つ取り上げ、文屋のとおりにした。
その手は震えていた。
それは、未知のものを食べるという感動よりも、女の子のお尻を触っているような感触に囚われたからである。
とは言っても、弟成は女の子のお尻に触ったことはなく、偶然見た雪女のものを想像しながら、こんな感じなのだろうかと思ったのだが………………
あらかた剥き終わると、彼は桃に齧り付いた。
不意に香ばしい香りが口いっぱいに広がり、鼻や耳、目玉から毛穴まで………………、穴という穴から吹き出しくようだった。
なんとも言い表せない味だ。
この世に、こんなものがあるのか!
「美味いか?」
文屋の言葉に、ただ頷いた。
「そうか、そうか。全部食べていいからな」
文屋がそういう前に、彼の手は二つ目に伸びていた。
弟成は落胆した。
荷物自体は、他の奴婢に渡せば事足りるのだが、三成に会えないのが残念だった。
そんなしょ気返った顔を見た文屋は、彼のことを可哀想に思ったのか、
「よし、それは、ワシが預かってやろう。なあ、それでええやろ」
と、弟成の顔を覗き込んだ。
「でも、兄ちゃんに直接渡さんと、姉ちゃんに怒られる」
「心配いらんて。姉ちゃんには、ワシが預かたと言えばええ、なあ」
「ほんなら」
三成に会えなかったのは残念であったが、兎も角、お遣いの役目だけは果たそうと、弟成は袋を文屋に手渡した。
「おい、待て。お遣いの褒美に、お前にええ物をやろう。ちょっと来い。」
文屋は、帰ろうとした弟成の手を引いて宮の中に入って行った。
斑鳩宮は広かった。
文屋は、妻の佐倉刀自と一緒に斑鳩宮の東門の近くに住んでいたが、その屋敷もなかなか大きなものだった。
弟成が屋敷の縁側に腰掛けて待っていると、文屋は、大きな器を抱えた佐倉刀自を伴って、奥から出てきた。
「弟成、お前、これを食べたことがあるか?」
弟成の目の前に差し出されたのは器には、丸い物体が数個盛られている。
丸く、仄かに赤みがかった物体をいままで見たことがない。
以前、雪女たち女の子が水浴びをしているところを見てしまったことがあったが、その物体は、雪女たちの白く、そして薄っすらと上気したお尻のようであった。
そして、その芳しい匂いが、弟成の鼻を擽った。
「これはね、桃というものなのよ」
器を差し出しながら、佐倉刀自が言った。
「山背様からの御裾わけでな。どら、こうやって食うんや」
文屋は桃を一つ取ると、その乙女のお尻のような柔肌を剥き始めた。
甘ったるい香りが弟成たちを包み込む。
文屋はある程度剥くと、そこからガブッと、そのお尻にむしゃぶりついた。
さらに、甘い匂いが弟成の鼻を突いた。
「弟成も食べてみろ、美味いぞ」
弟成は、差し出された器から桃を一つ取り上げ、文屋のとおりにした。
その手は震えていた。
それは、未知のものを食べるという感動よりも、女の子のお尻を触っているような感触に囚われたからである。
とは言っても、弟成は女の子のお尻に触ったことはなく、偶然見た雪女のものを想像しながら、こんな感じなのだろうかと思ったのだが………………
あらかた剥き終わると、彼は桃に齧り付いた。
不意に香ばしい香りが口いっぱいに広がり、鼻や耳、目玉から毛穴まで………………、穴という穴から吹き出しくようだった。
なんとも言い表せない味だ。
この世に、こんなものがあるのか!
「美味いか?」
文屋の言葉に、ただ頷いた。
「そうか、そうか。全部食べていいからな」
文屋がそういう前に、彼の手は二つ目に伸びていた。
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