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3章
出会い
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「一体いつになれば、森の奥に住むヴァンパイアを殺れるんだっ!!」
「も、申し訳ありません!」
「さっさと始末しろ。殺されたくなければ、こちらから殺すしかない。」
正直もう聞き飽きた。 お父様の大声も、物騒な話も。 私は相変わらずこの大きな家に缶詰状態。 ヴァンパイアが何よ……みんなして怖がって
「ねぇ、水を入れてきてくれない?喉が渇いたの。」
「かしこまりました。マリア様」
ずっと側にいるメイドが部屋を出ていったと同時に、私はこっそりと窓から抜け出す準備をする。
毎日自分で変えると嘘をついて隠しておいたシーツを繋ぎ合わせたもの。この高さなら失敗したって死なないわ。きっと。
「もううんざり」
一言そう呟いてしっかりとバルコニーにシーツを結びつけて、そっと下に降りていく。
こんなことをする貴族の女は私くらいなものかしら なんて考えるとおかしくて仕方なかった。
ズルズルと慎重に下に降りていたのに、少しだけシーツが足りないことに気がつく。だけどもう文句など言ってられない。
パッと手を離すと思い切り尻餅をついた。
「あいたたた……」
少しの痛みは、この家を抜け出す対価。そう思うことにしよう。
そんなことを思いながら裸足で、森の方へ抜ける。
「ふふ……久しぶりの外は気持ちいい」
最近はより一層お父様の心配性が酷くなっていたので、庭すら出してもらえない日が続いた。
だから本当に我慢の限界だったの。
森の奥にはヴァンパイアがいる。そう言っていたけれど、居るなら会ってみたいわ。この退屈な日を変えてくれそう。
まるで子供のように、駆けているといい香りが漂ってきた。
……華の匂い??
吸い寄せられるようにその香りに近づいていくと、沢山の華達。だけど、見惚れてしまったのは、それではない。
なんて……美しい人……
華に囲まれる美しい男性が私の瞳を捉えて離してはくれなかった。
彼の前では色とりどりの華さえも色褪せたように映るほど。だけど当の本人は物悲しそうに打ちひしがれているように見える。
「……綺麗」
思わず声に出して呟くと、彼はバッとこちらを向いて、私を鋭い瞳で睨みつけてきた。
「誰だ……」
「あ、お、驚かせてごめんなさい。私はマリア……華の匂いにつられてここにきてしまって……」
「……帰れ。人は嫌いだ。」
人は嫌い??どういうことなのかしら。と頭を悩ませる。
この人だって同じ人なのに。
「で、でも、せっかく出会えたんだもの。少しお話でも」
「黙れ。毎日毎日よくも飽きないものだ。 今度はお前のような小娘を使わせるとは。」
「どういう意味……? 私は別に……」
「血を吸い尽くされたくなければ失せろっ!!」
バッと風が吹いて思わず後ろにお尻から倒れてしまった。
血を吸う……??ドクンドクンと心臓が大きく音を立てる。
もしかして……彼が……
噂のヴァンパイアなの?
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