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10・茶道 探偵部(仮)と謎の地下迷宮
10-3・それではお見せしよう、世界の真実を
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大広間はそんなに天井が高いわけでも、奥行きと幅が広いわけでもなかった。
せいぜい、おれたちの一般教室の倍くらいの広さ・大きさだから、体積的には8倍ぐらいかな。
奥には階段と玉座があり、玉座の上には制服女子があぐらをかいて、パンツが見えそうな格好でスマホゲームをやっていた。
おまけに、目には「さかさまメガネ」、つまり上下左右が逆に見えるプリズム状のものをつけているので、よくゲームができるもんだと感心する。
女子はうちの高校の制服で、体型と髪型その他から判断すると、真・生徒会長であるルーク8号だ。
そしてその横には、魔王の部下で悪役っぽい、露出が多めのミロクが立っていて、反対側の横には部室から消えた段ボール箱が積み重ねてあった。
しかし、闇落ちして悪役になると、体型のボリューム感が増す、というのは本当なんだな、ミロクの場合はたかが知れてるけど。
ミロクに肩をちょんちょんとつつかれた魔王、じゃなくて生徒会長のルーク8号は、あ、もう来ちゃったの、という感じでこちらに目を向けた。
「えー、よくぞここまで来れたものだな、こんな感じでいいかな、えっと、勇者さん、って、さん、はいらないか、うん、えー、勇者のおふたり、って、ほかの3人は来れなかったのかー、そうかー、でもって、ここはねえ、あたしたちモリワキ団の秘密基地なんだ、だから、つまりあたしがモリワキってことになるわけ、わかるかな」
「わるだくみをするモリワキとモリワキ団をゆるすわけにはいかない!」と、おれが言うと、モリワキルーク8号は、びくっ、として、隣のミロクに小さい声で話しかけた。
「団長は、お前らの勇気と、仲間を思う心に称賛の念を持っている」と、ミロクは言った。
また、ぼそぼそ。
「最後までどうもお疲れ様でした、もうきみの役目はほぼ終わったので、あたしの横に来るように」と、ミロクが言うと、ミナセが動いて階段をのぼった。
えええええっ。
「今までだましていたような感じになってごめん。ぼくはずっとモリワキ団のメンバーで、きみたちを監視・報告する任務をしていたんだ」と、ミナセは言った。
「別にここで正体バラさなくてもいいんじゃない? あとなんでそんなことを」
「次期生徒会長選挙がもうじきあって、うまくいけば現会長、ルーク8号の推薦が得られるんだって。ウルフは覚えてないの、ルーク8号はおれたちの部活の先輩だよ」
「いや、覚えてるけどさ」
面倒だから説明しなかっただけだし、誰に説明する必要があるのかもわからなかったし。
読者というものがいれば、ちゃんとそこらへん語ってたかな。
つまり、なぜか茶道◯◯部は、一学年ごとにひとり部員が減る。
ミロクの世代、現3年生は、ミロク、生徒会長、それから東南アジアからおみやげを送ってくれて、世界放浪の旅をしているヒト。
おれたちの世代、現在2年生は、おれとミナセで、消えたひとりはラクロスをやっている。
したがって、3年生には茶道◯◯部には部長のひとりしか残らない、というか残れない。
生徒会長選挙は夏休み前にあり、就任したら3年生の夏休み前までつとめることになり、だいたいどの部活の部長の任期と同じである。
「しょうがないなあもう、だったらここで決着つけようよ、と言ってもミナセの生徒会長と、おれたちの部の存続に関する密約みたいなもんだけど」と、おれはミロクに目で挨拶すると、ミロクは階段を降りて、おれの横に立った。
「えええええっ!」と、ルーク8号はおれ以上に驚愕した。
「悪いな、ルーク8号。私はお前らに気づかれないよう、手に乗るふりをしたり、裏をかいたりしていたんだ。目的は……ずばり、活動実績!」と、ミロクは言った。
「だけど、やってるうちに気がついたんだよね、このリアル世界と、クルミたちの嘘世界の区別がどんどんつかなくなっていることに」
ミドリが言ったとおり、異世界汚染、物語汚染というものはある。
本当に起こらないようなことが起こったり、起こったことを魔力のような非リアルな方法で解決したり。
あるいは、モリワキ団という、実在しない組織・団体が実在するようになったり。
しばらくすると、広間の扉が、ばた、と勢いよく開いて、異世界人の3人が入って来た。
「えーと……待たせたな?」と、クルミは言った。
「「?」はいらないけどね、うん、待ちわびた」と、おれは答えた。
ワタルは、穴に落ち? 昇り続けたら、下の床からぽろ、っと飛び出して元の通廊に戻れた、とのことだった。
クルミは、回転する大岩の上をすばやく、回転の速さより動いて前に出た、とのことで、大岩はミドリたちが戦っていたゴーレムと鎧の兵士たちのところで勢いが落ちて止まり、ワタルとミドリは大岩をくぐってやってくることができたらしい。
「さあ、お前らもこれでおしまいだぞ」と、おれが言うと、なにがどのようなふうに? とルーク8号に返されたので、すこし困った。
そもそもモリワキ団は、そんなに悪いことをしていたわけではないのである。
せいぜいおれたちに対する嫌がらせ的なことぐらい。
「あー、うん、悪かった。それじゃみんなに見せてあげるよ……あげよう……やろうではないか、あっ、お見せしよう、のほうがいいかな、この世界の真実を」と、ルーク8号は言った。
悪役の口調で話すのは、物語の登場人物以外では難しいんだな。
せいぜい、おれたちの一般教室の倍くらいの広さ・大きさだから、体積的には8倍ぐらいかな。
奥には階段と玉座があり、玉座の上には制服女子があぐらをかいて、パンツが見えそうな格好でスマホゲームをやっていた。
おまけに、目には「さかさまメガネ」、つまり上下左右が逆に見えるプリズム状のものをつけているので、よくゲームができるもんだと感心する。
女子はうちの高校の制服で、体型と髪型その他から判断すると、真・生徒会長であるルーク8号だ。
そしてその横には、魔王の部下で悪役っぽい、露出が多めのミロクが立っていて、反対側の横には部室から消えた段ボール箱が積み重ねてあった。
しかし、闇落ちして悪役になると、体型のボリューム感が増す、というのは本当なんだな、ミロクの場合はたかが知れてるけど。
ミロクに肩をちょんちょんとつつかれた魔王、じゃなくて生徒会長のルーク8号は、あ、もう来ちゃったの、という感じでこちらに目を向けた。
「えー、よくぞここまで来れたものだな、こんな感じでいいかな、えっと、勇者さん、って、さん、はいらないか、うん、えー、勇者のおふたり、って、ほかの3人は来れなかったのかー、そうかー、でもって、ここはねえ、あたしたちモリワキ団の秘密基地なんだ、だから、つまりあたしがモリワキってことになるわけ、わかるかな」
「わるだくみをするモリワキとモリワキ団をゆるすわけにはいかない!」と、おれが言うと、モリワキルーク8号は、びくっ、として、隣のミロクに小さい声で話しかけた。
「団長は、お前らの勇気と、仲間を思う心に称賛の念を持っている」と、ミロクは言った。
また、ぼそぼそ。
「最後までどうもお疲れ様でした、もうきみの役目はほぼ終わったので、あたしの横に来るように」と、ミロクが言うと、ミナセが動いて階段をのぼった。
えええええっ。
「今までだましていたような感じになってごめん。ぼくはずっとモリワキ団のメンバーで、きみたちを監視・報告する任務をしていたんだ」と、ミナセは言った。
「別にここで正体バラさなくてもいいんじゃない? あとなんでそんなことを」
「次期生徒会長選挙がもうじきあって、うまくいけば現会長、ルーク8号の推薦が得られるんだって。ウルフは覚えてないの、ルーク8号はおれたちの部活の先輩だよ」
「いや、覚えてるけどさ」
面倒だから説明しなかっただけだし、誰に説明する必要があるのかもわからなかったし。
読者というものがいれば、ちゃんとそこらへん語ってたかな。
つまり、なぜか茶道◯◯部は、一学年ごとにひとり部員が減る。
ミロクの世代、現3年生は、ミロク、生徒会長、それから東南アジアからおみやげを送ってくれて、世界放浪の旅をしているヒト。
おれたちの世代、現在2年生は、おれとミナセで、消えたひとりはラクロスをやっている。
したがって、3年生には茶道◯◯部には部長のひとりしか残らない、というか残れない。
生徒会長選挙は夏休み前にあり、就任したら3年生の夏休み前までつとめることになり、だいたいどの部活の部長の任期と同じである。
「しょうがないなあもう、だったらここで決着つけようよ、と言ってもミナセの生徒会長と、おれたちの部の存続に関する密約みたいなもんだけど」と、おれはミロクに目で挨拶すると、ミロクは階段を降りて、おれの横に立った。
「えええええっ!」と、ルーク8号はおれ以上に驚愕した。
「悪いな、ルーク8号。私はお前らに気づかれないよう、手に乗るふりをしたり、裏をかいたりしていたんだ。目的は……ずばり、活動実績!」と、ミロクは言った。
「だけど、やってるうちに気がついたんだよね、このリアル世界と、クルミたちの嘘世界の区別がどんどんつかなくなっていることに」
ミドリが言ったとおり、異世界汚染、物語汚染というものはある。
本当に起こらないようなことが起こったり、起こったことを魔力のような非リアルな方法で解決したり。
あるいは、モリワキ団という、実在しない組織・団体が実在するようになったり。
しばらくすると、広間の扉が、ばた、と勢いよく開いて、異世界人の3人が入って来た。
「えーと……待たせたな?」と、クルミは言った。
「「?」はいらないけどね、うん、待ちわびた」と、おれは答えた。
ワタルは、穴に落ち? 昇り続けたら、下の床からぽろ、っと飛び出して元の通廊に戻れた、とのことだった。
クルミは、回転する大岩の上をすばやく、回転の速さより動いて前に出た、とのことで、大岩はミドリたちが戦っていたゴーレムと鎧の兵士たちのところで勢いが落ちて止まり、ワタルとミドリは大岩をくぐってやってくることができたらしい。
「さあ、お前らもこれでおしまいだぞ」と、おれが言うと、なにがどのようなふうに? とルーク8号に返されたので、すこし困った。
そもそもモリワキ団は、そんなに悪いことをしていたわけではないのである。
せいぜいおれたちに対する嫌がらせ的なことぐらい。
「あー、うん、悪かった。それじゃみんなに見せてあげるよ……あげよう……やろうではないか、あっ、お見せしよう、のほうがいいかな、この世界の真実を」と、ルーク8号は言った。
悪役の口調で話すのは、物語の登場人物以外では難しいんだな。
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