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3・乗り換え駅のホームで
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新幹線に30分ほど乗っていると、風景は東京周辺の中規模都市から郊外の住宅地、緑色のじゅうたんみたいな田んぼ、そしてさらに緑色が濃い山がぐっと近くなり、気がつくと山の中を走っている。
わたしがここの景色を見るときは、いつも夏だったな、と、アカネは思った。
ここの緑は、秋になると赤や黄色に染まり、葉が落ちきる前に白い雪におおわれるんだろう。
すごく、すごく先の、何万年か何十万年も先の、ヒトがみんな消えて、カラスかネコが進化して地球の新しい知的生命体になったころ、まだ山には雪が残っているけど、サクラの花が満開の、都会ではすっかり散ったころに、わたしは中学生になってるんだろう、と、アカネは考えた。
*
降りる駅は間違えなかったけど、新幹線の列車の長さに合わせた、無駄にだだっ広い駅の構内で、アカネは乗り換え口がわからなくなった。
まず、お手洗いに行って、用を済ませて歩いていると、途中でバッグを置き忘れたのに気がついて、戻ってみたら誰にも持っていかれないのはよかったんだけれど、駅の案内板の表示が知らない字、つまり駅名だったりする。
降りる駅はわかる・読めるけど、○○方面行き、というのの、○○は多分終着駅なんだろう。
駅員さんに聞けば教えてくれるはずなのに、どうも男性ばかりで、数がすくなくて声をかけにくかったのだ。
数からいうと、むしろあやかしさんのほうが多いくらいではなかろうか。
この駅の周辺も、たぶんヒトはどんどん減っているんだろう。
あやかしさんは、ヒトを襲わないゾンビみたいなものだから、と、アカネは携帯端末であせりながら検索し、ようやく目的の駅のホームについたら、ローカル線の電車はひと足先に出てしまったあとだった。
落ち着け、まだ自分でなんとかできないほどひどい状況じゃない、けど、次のは一時間待ち。
夏の日差しは、屋根のあるホームでもけっこう強くて、冷房が効いてる待合室に戻って待つか、と思ってたら、変な、というか、古そうに見える電車に、アカネと同じくらい年の、でもなんか変な格好をした子が乗り込むのを見て、アカネもそのあとに続いてみた。
その子は、あやかしさんでは多分ないだろう、という、無駄な確信をアカネは持っていた。
わたしがここの景色を見るときは、いつも夏だったな、と、アカネは思った。
ここの緑は、秋になると赤や黄色に染まり、葉が落ちきる前に白い雪におおわれるんだろう。
すごく、すごく先の、何万年か何十万年も先の、ヒトがみんな消えて、カラスかネコが進化して地球の新しい知的生命体になったころ、まだ山には雪が残っているけど、サクラの花が満開の、都会ではすっかり散ったころに、わたしは中学生になってるんだろう、と、アカネは考えた。
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降りる駅は間違えなかったけど、新幹線の列車の長さに合わせた、無駄にだだっ広い駅の構内で、アカネは乗り換え口がわからなくなった。
まず、お手洗いに行って、用を済ませて歩いていると、途中でバッグを置き忘れたのに気がついて、戻ってみたら誰にも持っていかれないのはよかったんだけれど、駅の案内板の表示が知らない字、つまり駅名だったりする。
降りる駅はわかる・読めるけど、○○方面行き、というのの、○○は多分終着駅なんだろう。
駅員さんに聞けば教えてくれるはずなのに、どうも男性ばかりで、数がすくなくて声をかけにくかったのだ。
数からいうと、むしろあやかしさんのほうが多いくらいではなかろうか。
この駅の周辺も、たぶんヒトはどんどん減っているんだろう。
あやかしさんは、ヒトを襲わないゾンビみたいなものだから、と、アカネは携帯端末であせりながら検索し、ようやく目的の駅のホームについたら、ローカル線の電車はひと足先に出てしまったあとだった。
落ち着け、まだ自分でなんとかできないほどひどい状況じゃない、けど、次のは一時間待ち。
夏の日差しは、屋根のあるホームでもけっこう強くて、冷房が効いてる待合室に戻って待つか、と思ってたら、変な、というか、古そうに見える電車に、アカネと同じくらい年の、でもなんか変な格好をした子が乗り込むのを見て、アカネもそのあとに続いてみた。
その子は、あやかしさんでは多分ないだろう、という、無駄な確信をアカネは持っていた。
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