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10話 媚毒
「ユミル、その毒は解毒出来るのか? 毒に侵された場合はどうしたらいい?」
「医者に診てもらうほかありんせんが、そんなに心配せんでくんなまし。あちきは魔族。毒に対してはちっとばかりの耐性を持っていんすから」
「心配するなって、そんな……」
ユミルは調理台の上に両手を置き、ふらふらと体を横に揺らしている。
見るからに様子がおかしい。
「医者を呼ぶしかないな。よし、俺が女将さんにこの事を伝えてくるから、ユミルはここに座って待っててくれ!」
俺は椅子に座らせようとユミルの肩に手を回した。
「ひゃぁん……ッ!」
手が肩に触れた瞬間、ユミルの体が大きく飛び跳ねた。
「ユミル、体が痛むのか?」
「気にせんでくんなまし……。ちっと体が過敏になっているだけでいんすから……」
と強がるユミルだったが、よろめいて俺の胸に寄りかかってきた。
息を荒げ、じっとりと汗ばんだ体は微かに震えている。
既に体に毒が回ってきているようだ。
早く医者に診てもらわないと取り返しがつかなくなるかもしれない。
「痛いかもしれないけどちょっと辛抱してくれ」
俺はユミルが痛がるのを承知で肩を抱き、半ば強引に椅子の方に移動させた。
「ああっ、ダメぇ! そんなにされたら、あちき……やっ! っ……ぐぅう……ッ!」
ユミルは崩れるようにして椅子に腰を落とすと、作業台に突っ伏した。
毒のせいで人の姿を維持していられないのか、両側頭部からは黒い巻き角が生えてきている。
「ユミル、医者を呼んでもらうからここで待ってて!」
「はぁ、はぁ……ミサオさん、それよりもあちきを部屋まで運んでくれんせんか?」
「それよりもまず女将さんに――」
俺が駆け出そうとした時、ユミルに服の袖を掴まれた。
「……誰かれなしにこの姿を見られたくはありんせん。ここに居ればそのうち人が来てしまいんすから」
正体を隠す事がそんなに大事な事なのかと口の先まで出かかったが、思い直して言葉を飲み込んだ。
俺はユミルが魔族だと知った時、その言葉の先入観で漠然とした嫌悪感を抱いてしまった。
多分、そう感じてしまう人も少なくないはず。
例えばもし今、ユミルが誰かに目撃され、人伝いにでもその事が外に漏れ出してしまえばどうなるか。
恐らくただでは済まないだろう。
「ミサオさん、どうかお願いしんす。あちきを部屋まで運んでくんなまし」
「……分かったよ」
その事を踏まえて考えれば、必然的に呼ぶ医者も選ぶ必要がある。
魔族を診てくれる医者などいるのだろうか。
「かかりつけの医者はいるか? それか信頼できるような医者。誰を呼んでもらえばいい?」
「呼べるとすれば一人しかいんせんが、医者など呼ぶ必要はありんせん。何日か安静にしていれば毒は自然に抜けていくはずでいんすから」
「いや、ちゃんと診てもらった方がいい。それでその医者はユミルが魔族だって知ってるのか?」
「あい。あちきの馴染み客でいんす」
本当のユミルを知る者が俺以外にも数人いるとは聞いていたが、詳しい話は知らない。
馴染み客。つまりユミルの体を知り尽くした客だ。
一体、どういう経緯で本当の姿を晒すに至ったのだろうか。
「ミサオさん、どうかしんしたかぇ?」
「え、いや……」
……今は余計な事を考えている場合じゃない。
「よし、ユミル。部屋まで連れて行くから俺の背中に乗って」
俺はユミルの頭に自分の上着を被せ、三階の部屋までユミルをおんぶして運んだ。
階段を上る途中で女将さんとすれ違い、ユミルの馴染み客であるという医者を呼んでもらえることになった。
ユミルは部屋に着くまでの間、俺の背中の上で絶え間なく身を震わせていた。
恐らく相当の痛みを体に感じていたのだろう。
「ぜぇ、はぁ……ゆ、ユミル、この部屋でいいんだな?」
「はぁん……っ……あっ、あい……」
三階に上がって廊下の突き当り、左手にあるのがユミルの部屋らしい。
俺がこの世界で目覚めた物置部屋の隣だ。
俺は手渡された鍵を使ってドアを開けた。
「ほぉ……」
部屋に足を踏み入れるなり、女性独特のなんともセクシーな匂いに脳が刺激された。
まだ学生だった頃、初めて美容室に入った時のような、そんな新鮮な感覚がふと甦る。
何よりまず目に留まったのが、部屋の中央に置かれた天蓋付きのベッド。
細やかな刺繍が施された真っ赤なレースのカーテンが掛かっていて、優に三人は横になれるほど大きい。
他にも綺麗な化粧台やソファなど、目を見張る物ばかりがそこら中に並んでいる。
どこぞのお姫様が住んでいてもおかしくないほどの豪華な部屋だ。
奴隷が住む部屋とは到底思えない。
俺は背中からユミルをそっと降ろし、ベッドに座らせた。
「それじゃ横になって休んでて。俺は濡れ布巾でも持って――わぁっ!」
突然腕を引かれ、強引にベッドに倒された。
そしてユミルの全身が俺の体の上にピタリと重なる。
「おいおい、今はふざけてる場合じゃ……」
「あちき、体が疼いてたまりんせん……」
「疼くって……へっ?」
ユミルは俺の右手を掴むと、自分の股間の方へと俺の右手を持っていった。
そして俺の右手がユミルの股間に押し付けられ、割れ目の中にぐにゅぐにゅと埋もれていく。
「はぁあぁんっ! あぁ……ッ!」
「えぇっ!?」
俺は驚愕した。
何故ならユミルのアソコがまるでお漏らしをしたかのようにずぶ濡れになっているからだ。
「……お、おい。何でこんな事になってんだ?」
「んん……媚毒に侵されると、かっ、体が火照って、疼いてしまいんすよ……」
「媚毒?」
「はぁん……媚毒は性感が過敏になってしまう毒。普通の人間であれば、あっ……肌に触れられるだけで、うぅん……ショック死してしまうほどの猛毒でいんす……」
「えぇ……」
「ミサオさん。あちきを、あちきの体をミサオさんの好きなようにしてくんなまし……!」
「す、好きにぃ!?」
「医者に診てもらうほかありんせんが、そんなに心配せんでくんなまし。あちきは魔族。毒に対してはちっとばかりの耐性を持っていんすから」
「心配するなって、そんな……」
ユミルは調理台の上に両手を置き、ふらふらと体を横に揺らしている。
見るからに様子がおかしい。
「医者を呼ぶしかないな。よし、俺が女将さんにこの事を伝えてくるから、ユミルはここに座って待っててくれ!」
俺は椅子に座らせようとユミルの肩に手を回した。
「ひゃぁん……ッ!」
手が肩に触れた瞬間、ユミルの体が大きく飛び跳ねた。
「ユミル、体が痛むのか?」
「気にせんでくんなまし……。ちっと体が過敏になっているだけでいんすから……」
と強がるユミルだったが、よろめいて俺の胸に寄りかかってきた。
息を荒げ、じっとりと汗ばんだ体は微かに震えている。
既に体に毒が回ってきているようだ。
早く医者に診てもらわないと取り返しがつかなくなるかもしれない。
「痛いかもしれないけどちょっと辛抱してくれ」
俺はユミルが痛がるのを承知で肩を抱き、半ば強引に椅子の方に移動させた。
「ああっ、ダメぇ! そんなにされたら、あちき……やっ! っ……ぐぅう……ッ!」
ユミルは崩れるようにして椅子に腰を落とすと、作業台に突っ伏した。
毒のせいで人の姿を維持していられないのか、両側頭部からは黒い巻き角が生えてきている。
「ユミル、医者を呼んでもらうからここで待ってて!」
「はぁ、はぁ……ミサオさん、それよりもあちきを部屋まで運んでくれんせんか?」
「それよりもまず女将さんに――」
俺が駆け出そうとした時、ユミルに服の袖を掴まれた。
「……誰かれなしにこの姿を見られたくはありんせん。ここに居ればそのうち人が来てしまいんすから」
正体を隠す事がそんなに大事な事なのかと口の先まで出かかったが、思い直して言葉を飲み込んだ。
俺はユミルが魔族だと知った時、その言葉の先入観で漠然とした嫌悪感を抱いてしまった。
多分、そう感じてしまう人も少なくないはず。
例えばもし今、ユミルが誰かに目撃され、人伝いにでもその事が外に漏れ出してしまえばどうなるか。
恐らくただでは済まないだろう。
「ミサオさん、どうかお願いしんす。あちきを部屋まで運んでくんなまし」
「……分かったよ」
その事を踏まえて考えれば、必然的に呼ぶ医者も選ぶ必要がある。
魔族を診てくれる医者などいるのだろうか。
「かかりつけの医者はいるか? それか信頼できるような医者。誰を呼んでもらえばいい?」
「呼べるとすれば一人しかいんせんが、医者など呼ぶ必要はありんせん。何日か安静にしていれば毒は自然に抜けていくはずでいんすから」
「いや、ちゃんと診てもらった方がいい。それでその医者はユミルが魔族だって知ってるのか?」
「あい。あちきの馴染み客でいんす」
本当のユミルを知る者が俺以外にも数人いるとは聞いていたが、詳しい話は知らない。
馴染み客。つまりユミルの体を知り尽くした客だ。
一体、どういう経緯で本当の姿を晒すに至ったのだろうか。
「ミサオさん、どうかしんしたかぇ?」
「え、いや……」
……今は余計な事を考えている場合じゃない。
「よし、ユミル。部屋まで連れて行くから俺の背中に乗って」
俺はユミルの頭に自分の上着を被せ、三階の部屋までユミルをおんぶして運んだ。
階段を上る途中で女将さんとすれ違い、ユミルの馴染み客であるという医者を呼んでもらえることになった。
ユミルは部屋に着くまでの間、俺の背中の上で絶え間なく身を震わせていた。
恐らく相当の痛みを体に感じていたのだろう。
「ぜぇ、はぁ……ゆ、ユミル、この部屋でいいんだな?」
「はぁん……っ……あっ、あい……」
三階に上がって廊下の突き当り、左手にあるのがユミルの部屋らしい。
俺がこの世界で目覚めた物置部屋の隣だ。
俺は手渡された鍵を使ってドアを開けた。
「ほぉ……」
部屋に足を踏み入れるなり、女性独特のなんともセクシーな匂いに脳が刺激された。
まだ学生だった頃、初めて美容室に入った時のような、そんな新鮮な感覚がふと甦る。
何よりまず目に留まったのが、部屋の中央に置かれた天蓋付きのベッド。
細やかな刺繍が施された真っ赤なレースのカーテンが掛かっていて、優に三人は横になれるほど大きい。
他にも綺麗な化粧台やソファなど、目を見張る物ばかりがそこら中に並んでいる。
どこぞのお姫様が住んでいてもおかしくないほどの豪華な部屋だ。
奴隷が住む部屋とは到底思えない。
俺は背中からユミルをそっと降ろし、ベッドに座らせた。
「それじゃ横になって休んでて。俺は濡れ布巾でも持って――わぁっ!」
突然腕を引かれ、強引にベッドに倒された。
そしてユミルの全身が俺の体の上にピタリと重なる。
「おいおい、今はふざけてる場合じゃ……」
「あちき、体が疼いてたまりんせん……」
「疼くって……へっ?」
ユミルは俺の右手を掴むと、自分の股間の方へと俺の右手を持っていった。
そして俺の右手がユミルの股間に押し付けられ、割れ目の中にぐにゅぐにゅと埋もれていく。
「はぁあぁんっ! あぁ……ッ!」
「えぇっ!?」
俺は驚愕した。
何故ならユミルのアソコがまるでお漏らしをしたかのようにずぶ濡れになっているからだ。
「……お、おい。何でこんな事になってんだ?」
「んん……媚毒に侵されると、かっ、体が火照って、疼いてしまいんすよ……」
「媚毒?」
「はぁん……媚毒は性感が過敏になってしまう毒。普通の人間であれば、あっ……肌に触れられるだけで、うぅん……ショック死してしまうほどの猛毒でいんす……」
「えぇ……」
「ミサオさん。あちきを、あちきの体をミサオさんの好きなようにしてくんなまし……!」
「す、好きにぃ!?」
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