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第一章:逆行聖女
第5話:少女アリシア 4
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その日の夜、アリシアは戻ってきたアーノルドに対して開口一番このように告げた。
「お父さん! 私にまた、剣を教えてほしいの!」
「……き、急にどうしたんだ、アリシア?」
当然の返しを受けてなお、アリシアはアーノルドに食い下がっていく。
「お願い、お父さん! お手伝いでもなんでもするから、私に剣を教えてほしいの!」
「ちょっと落ち着きなさい! まずは何があったのか話してみるんだ、いいね?」
興奮するアリシアを宥めながら、アーノルドは一先ずリビングの椅子に座らせた。
「はぁ。アリシア、剣を教えてほしいというのは、ネイドに教えていた時のように、ということでいいのかい?」
「そうだよ!」
「それは、どうしてだい?」
「どうしてって、教えてほしいからだよ!」
「うーん、父さんはどうして教えてほしいのかが知りたいんだけどな」
困惑顔を浮かべながらアーノルドが再度問い掛ける。
しかし、アリシアもどのように答えていいのか迷ってしまい困ってしまう。
何せ理由が、これから起こるだろう悲劇に備えるためであり、そのことを知っているのが自分だけだからだ。
「……どうしたんだい?」
「それは、えっと、その……」
「……今日はずっと家にいたのかい?」
「えっ? あ、うん」
急にどうしたのだろうかと素直に頷いたアリシアは、アーノルドからの次の言葉を待つことにした。
「……それも、今朝の夢が原因なのかい?」
「……そう、かな」
「そうか。……うん、わかった」
「えっ?」
「なんだ、剣を習いたいんだろう?」
「それはそうだけど……本当に、いいの?」
あそこまで疑問に思われていたせいもあり、アリシアはこうもあっさりと認めてもらえるとは思いもしなかった。
「本当は教えたくないよ、アリシアは女の子だしね」
「……うん」
「だけど今日は外にも出ずに、ずっと夢のせいで思い悩んでいたんだろう?」
「……そうなるかな」
嘘はついていない。
前世の出来事のことを夢だと伝えていたのだから、そのことで思い悩んでいたのは事実だからだ。
「それを乗り越えるために、剣を教えてほしいということでいいのかな?」
「……うん」
「アリシアが決めたことだ、私が断るわけがないだろう?」
「……ありがとう、お父さん」
「だけど、これだけは約束してほしい」
お礼を口にしたアリシアに対して、アーノルドは人差し指を立ててこう口にした。
「剣というのは相手だけではなく、自分のことも傷つけることがある。習う場合も、もしその剣を実戦で振るう時が来たとしても、絶対に生半可な気持ちで振るってはいけないよ、いいね?」
アーノルドは常にアリシアに対して優しい態度を貫いてきた。
それはアリシアが幼いころに妻を亡くし、男手一つで育ててきたからという理由もあるだろう。
しかし、剣を習うということに関してだけは、厳しい態度を見せている。
それはネイドと呼ばれた四つ年上の男友達と一緒に剣を習っていた時と同じだった。
「わかった。決して生半可な気持ちで剣を振るわないわ!」
「……わかっているなら大丈夫だね」
そう口にしながら、アーノルドは大きく温かな手でアリシアの頭を優しく撫でた。
「そうだ! 今日は私が晩ご飯の準備をしたんだよ!」
「おぉっ! それは楽しみだな! 仕事が忙しくて、もうお腹がペコペコだよ!」
「うふふ。すぐに準備をするから座っていてね!」
「あぁ、ありがとう」
嬉しそうにお腹をさするアーノルドを見て、アリシアは微笑みながら立ち上がり晩ご飯の準備を始める。
その後ろ姿を見つめながら、アーノルドが少しだけ心配そうな表情を浮かべていたことを、彼女は知らなかった。
「お父さん! 私にまた、剣を教えてほしいの!」
「……き、急にどうしたんだ、アリシア?」
当然の返しを受けてなお、アリシアはアーノルドに食い下がっていく。
「お願い、お父さん! お手伝いでもなんでもするから、私に剣を教えてほしいの!」
「ちょっと落ち着きなさい! まずは何があったのか話してみるんだ、いいね?」
興奮するアリシアを宥めながら、アーノルドは一先ずリビングの椅子に座らせた。
「はぁ。アリシア、剣を教えてほしいというのは、ネイドに教えていた時のように、ということでいいのかい?」
「そうだよ!」
「それは、どうしてだい?」
「どうしてって、教えてほしいからだよ!」
「うーん、父さんはどうして教えてほしいのかが知りたいんだけどな」
困惑顔を浮かべながらアーノルドが再度問い掛ける。
しかし、アリシアもどのように答えていいのか迷ってしまい困ってしまう。
何せ理由が、これから起こるだろう悲劇に備えるためであり、そのことを知っているのが自分だけだからだ。
「……どうしたんだい?」
「それは、えっと、その……」
「……今日はずっと家にいたのかい?」
「えっ? あ、うん」
急にどうしたのだろうかと素直に頷いたアリシアは、アーノルドからの次の言葉を待つことにした。
「……それも、今朝の夢が原因なのかい?」
「……そう、かな」
「そうか。……うん、わかった」
「えっ?」
「なんだ、剣を習いたいんだろう?」
「それはそうだけど……本当に、いいの?」
あそこまで疑問に思われていたせいもあり、アリシアはこうもあっさりと認めてもらえるとは思いもしなかった。
「本当は教えたくないよ、アリシアは女の子だしね」
「……うん」
「だけど今日は外にも出ずに、ずっと夢のせいで思い悩んでいたんだろう?」
「……そうなるかな」
嘘はついていない。
前世の出来事のことを夢だと伝えていたのだから、そのことで思い悩んでいたのは事実だからだ。
「それを乗り越えるために、剣を教えてほしいということでいいのかな?」
「……うん」
「アリシアが決めたことだ、私が断るわけがないだろう?」
「……ありがとう、お父さん」
「だけど、これだけは約束してほしい」
お礼を口にしたアリシアに対して、アーノルドは人差し指を立ててこう口にした。
「剣というのは相手だけではなく、自分のことも傷つけることがある。習う場合も、もしその剣を実戦で振るう時が来たとしても、絶対に生半可な気持ちで振るってはいけないよ、いいね?」
アーノルドは常にアリシアに対して優しい態度を貫いてきた。
それはアリシアが幼いころに妻を亡くし、男手一つで育ててきたからという理由もあるだろう。
しかし、剣を習うということに関してだけは、厳しい態度を見せている。
それはネイドと呼ばれた四つ年上の男友達と一緒に剣を習っていた時と同じだった。
「わかった。決して生半可な気持ちで剣を振るわないわ!」
「……わかっているなら大丈夫だね」
そう口にしながら、アーノルドは大きく温かな手でアリシアの頭を優しく撫でた。
「そうだ! 今日は私が晩ご飯の準備をしたんだよ!」
「おぉっ! それは楽しみだな! 仕事が忙しくて、もうお腹がペコペコだよ!」
「うふふ。すぐに準備をするから座っていてね!」
「あぁ、ありがとう」
嬉しそうにお腹をさするアーノルドを見て、アリシアは微笑みながら立ち上がり晩ご飯の準備を始める。
その後ろ姿を見つめながら、アーノルドが少しだけ心配そうな表情を浮かべていたことを、彼女は知らなかった。
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