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代表選考会
トーナメント戦⑯
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お互いに手を取り合って舞台上を別れたのだが、どうにもアルにはファンが付かないようでまたしてもブーイングの嵐となった。
リリーナは気にしていたのだが、当のアル本人は全く気にするそぶりを見せないので問題はないのだろうとすぐに思い直したが。
階段の前で再び合流した二人が揃って二階席へ向かうと、最初は多くの学生から敵意ある視線を浴びたもののリリーナの姿を見つけるとすぐに引っ込んでしまう。
「……全く、根性のない奴らだな」
「まあまあ、そんなこと言ったらかわいそうよー」
「うふふ、クルル様は数少ないアル様のファンですものね」
「そういうリリーナだってそうじゃないのよー!」
「……数少ないってのは共通認識なんだな」
そんなことを話しながら三回戦の残りの試合を見ていくアルたち。
第二試合には知り合いは出ていないがアルの次の対戦相手が決まる試合なので注目していたものの、二人とも特段気になる相手ではなかったのですぐに雑談へと戻ってしまう。
「リリーナの戦略は、俺じゃなければ勝てただろうな」
「そうでしょうか。相手がアル様だと分かった時点で、賭けに出なければ勝てないと踏んでツリースパイラルを限界まで広げてみたのですがダメでしたね」
「あそこで植物の制御を手放さなければもう少し善戦はできただろうな。相手の属性を把握できているなら、そこも考慮して戦略を立てなければならないだろう」
「次は気をつけます」
そうこうしている内に第二試合が終了した。
そして第三試合はシエラの出番である。
二回戦ではナイフを媒介にして魔法を発動していたが、その太刀筋は見事なものだった。
その姿を見た時から、シエラの戦い方はもっと別にあるのではないかと考えている。
「さて、この試合で化けの皮が剝がれるだろうか」
そんな楽しみを抱きながら観戦していたのだが──試合はあっけなく終わってしまった。
対戦相手は二年次Aクラスの学生だったのだが、実力で言えばシエラが二回戦で対戦したナッシュよりも格下だったのだ。
試合開始から五分と経たずしてライトブレイドが直撃、致命傷となったことでシエラが早々と勝利を決めてしまった。
アルとしてはもう少し対戦相手に粘って欲しいと思ったのだが、出場者の中でシエラの相手が務まるのは自分くらいだと思っているので致し方ないかと諦めてもいる。
そして、第四試合にはようやくフレイアが登場する。
二回戦では試合を見ることができなかったので、ここでシエラに対抗できるのかを確認したいという気持ちも持っていた。
「フレイアさんの心の属性は火属性でしたよね?」
「そうだな。レベル4の火属性だから、魔法師としては相当な実力を有しているぞ」
「相手がかわいそうだね。でも、第三試合の女の子もヤバそうだったけどね」
「フォルトさんも、そう思いますか?」
「その言い方だと、アル君も気になっていたんだね」
まさか自分以外にもシエラのことを気にしてい見ている人物が間近にいるとは思ってもいなかった。
「はい。というか、開会式の時に殺気を飛ばされていたので」
「なるほどね。それじゃあ気になるのも仕方ないか」
「フォルトさんはシエラ・クロケットについて何か知っているんですか?」
一年次のAクラスということしか知らないアルとしては何かしら情報を得ておきたいところだったが、フォルトからの答えは期待に沿うものではなかった。
「いいや、僕は彼女の雰囲気が気になっていただけだから、特別何かを知っているわけではないんだ」
「そうですか……あっ!」
そこでアルは思わず声をあげてしまった。
というのも、フォルトとの話に夢中になっている間にフレイアの試合が終わってしまったからだ。
こちらも五分と経っておらず、あっという間の試合終了だった。
「……これは、フレイアさんに怒られますかね?」
「そうだろうね。試合を見ていなかったアル君が悪いから、甘んじて受け入れるんだね」
「……はい」
そんなことを考えながら、アルは舞台上でこちらに手を振っているフレイアを見ながら周囲と同じように手を振り返すのだった。
リリーナは気にしていたのだが、当のアル本人は全く気にするそぶりを見せないので問題はないのだろうとすぐに思い直したが。
階段の前で再び合流した二人が揃って二階席へ向かうと、最初は多くの学生から敵意ある視線を浴びたもののリリーナの姿を見つけるとすぐに引っ込んでしまう。
「……全く、根性のない奴らだな」
「まあまあ、そんなこと言ったらかわいそうよー」
「うふふ、クルル様は数少ないアル様のファンですものね」
「そういうリリーナだってそうじゃないのよー!」
「……数少ないってのは共通認識なんだな」
そんなことを話しながら三回戦の残りの試合を見ていくアルたち。
第二試合には知り合いは出ていないがアルの次の対戦相手が決まる試合なので注目していたものの、二人とも特段気になる相手ではなかったのですぐに雑談へと戻ってしまう。
「リリーナの戦略は、俺じゃなければ勝てただろうな」
「そうでしょうか。相手がアル様だと分かった時点で、賭けに出なければ勝てないと踏んでツリースパイラルを限界まで広げてみたのですがダメでしたね」
「あそこで植物の制御を手放さなければもう少し善戦はできただろうな。相手の属性を把握できているなら、そこも考慮して戦略を立てなければならないだろう」
「次は気をつけます」
そうこうしている内に第二試合が終了した。
そして第三試合はシエラの出番である。
二回戦ではナイフを媒介にして魔法を発動していたが、その太刀筋は見事なものだった。
その姿を見た時から、シエラの戦い方はもっと別にあるのではないかと考えている。
「さて、この試合で化けの皮が剝がれるだろうか」
そんな楽しみを抱きながら観戦していたのだが──試合はあっけなく終わってしまった。
対戦相手は二年次Aクラスの学生だったのだが、実力で言えばシエラが二回戦で対戦したナッシュよりも格下だったのだ。
試合開始から五分と経たずしてライトブレイドが直撃、致命傷となったことでシエラが早々と勝利を決めてしまった。
アルとしてはもう少し対戦相手に粘って欲しいと思ったのだが、出場者の中でシエラの相手が務まるのは自分くらいだと思っているので致し方ないかと諦めてもいる。
そして、第四試合にはようやくフレイアが登場する。
二回戦では試合を見ることができなかったので、ここでシエラに対抗できるのかを確認したいという気持ちも持っていた。
「フレイアさんの心の属性は火属性でしたよね?」
「そうだな。レベル4の火属性だから、魔法師としては相当な実力を有しているぞ」
「相手がかわいそうだね。でも、第三試合の女の子もヤバそうだったけどね」
「フォルトさんも、そう思いますか?」
「その言い方だと、アル君も気になっていたんだね」
まさか自分以外にもシエラのことを気にしてい見ている人物が間近にいるとは思ってもいなかった。
「はい。というか、開会式の時に殺気を飛ばされていたので」
「なるほどね。それじゃあ気になるのも仕方ないか」
「フォルトさんはシエラ・クロケットについて何か知っているんですか?」
一年次のAクラスということしか知らないアルとしては何かしら情報を得ておきたいところだったが、フォルトからの答えは期待に沿うものではなかった。
「いいや、僕は彼女の雰囲気が気になっていただけだから、特別何かを知っているわけではないんだ」
「そうですか……あっ!」
そこでアルは思わず声をあげてしまった。
というのも、フォルトとの話に夢中になっている間にフレイアの試合が終わってしまったからだ。
こちらも五分と経っておらず、あっという間の試合終了だった。
「……これは、フレイアさんに怒られますかね?」
「そうだろうね。試合を見ていなかったアル君が悪いから、甘んじて受け入れるんだね」
「……はい」
そんなことを考えながら、アルは舞台上でこちらに手を振っているフレイアを見ながら周囲と同じように手を振り返すのだった。
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