344 / 361
魔法競技会
進化する魔獣⑤
しおりを挟む
砂煙の中から伸びてきた首の一つの狙いは――キリアンだ。
その間に飛び込んだアルとジャミールが剣を交差させて受け止めるが、切り裂かれた首とは別の首がさらに蠢きキリアンへと迫っていく。
「はああああっ!」
後方から飛び出してきたシエラがキリアンと二つ目の首との間に飛び込んでいく。
二人とは違って魔法装具ではないが、ナイフと切れ味抜群の斬鉄で触手を細切れにしキリアンを助けた。
「助かったよ、シエラちゃん!」
「まだ来るわよ!」
「サモン! ウルフ!」
残り最後の首が砂煙を吹き飛ばしながら飛び出してくると、それらへ無数に召喚された漆黒の獣が噛み付いていく。
動きが僅かでも阻害されればそれでよかった。
「助かった、レイリア!」
「ナイスタイミングだね~!」
直後に飛び込んできたアルとジャミールが最後の首を細切れにして声をあげた。
「キリアン様は下がってください! ありがとう、レイリア!」
「――! ……う、うん!」
先ほどまで怒鳴り合っていたシエラからお礼を言われて驚いたレイリアだったが、戻ってきたキリアンに頭を撫でられるとやや俯いて照れ隠しをする。
だが、まだ戦闘が終わったわけではなく、むしろ佳境に入ったところだ。
「これからは予定通りのフォーメーションで行くぞ!」
「待って! アル、魔獣の動きがおかしい!」
「……これ、進化してるんじゃない?」
アルが前進しようとしたタイミングでシエラが叫び、ジャミールが顔をしかめながら口を開く。
キリアンとレイリアも様子を見ていたが、魔獣の肉体が変化していく様子に悪寒を感じていた。
「アル! 進化が終わる前に――」
「ダ、ダメです! 強力な結界が!」
キリアンの言葉を遮るようにレイリアが叫んだ。その言葉通り結界の中にいた漆黒の獣が搔き消されてしまい、直後には顔を失った三つの首が自らの周囲に集まってとぐろを巻いていく。
その姿はまるで繭の中に閉じこもっているようだった。
「近づけないね!」
「魔法も、通らない!」
至近距離から魔法を放つジャミールとシエラが焦った様子で声を張り上げる。
こうなればどうしようもないと判断したアルは、繭の中から出てくるだろう魔獣の気配を探る事にした。
だが――感じ取った気配にアルの全身から汗が噴き出した。
「……こいつは、マズいな」
感じ取った魔獣の気配は、フェルモニアを含めたアルが遭遇してきたどの魔獣よりも強大な圧力を放っていた。
「シエラ! ジャミール! 力を温存しろ! 兄上とレイリアもだ!」
瞬間、アルは無駄に力を使う事を嫌い今は何もしないよう指示を出した。
この選択が正解なのかは分からないが、アルの指示に誰も逆らう事はなく距離を取って魔獣の動きを注視する。
その間、誰もが結界が消えた直後に強力な魔法をぶつけようと準備を始めていた。
「……そろそろ、来るぞ!」
繭の中に留まっていた気配が増幅し、繭の隙間から溢れ出したのを察したアルが声を張り上げるのとほぼ同じタイミングで繭が弾け飛んだ。
周囲の大木を穿ち、薙ぎ倒し、吹き飛ばしていくほどの衝撃がアルたちに襲い掛かる。
「ライトサークル!」
「アースウォール!」
キリアンのライトサークルによって闇属性の魔力を含んでいた繭の破片が吹き飛び、その他に飛んできた障害物をレイリアが作り出したアースウォールが阻んでくれる。
それでも生じた衝撃波は消える事なく、アースウォールを破壊しながら突き進んでくる。
「ジャミール!」
「うおおおおおおぉぉっ!!」
繭の破片や障害物に交ざって進化した魔獣の腕がジャミールに襲い掛かっていた。
間一髪で気づいたジャミールはグラムで受け止めたものの、圧倒的な膂力によって吹き飛ばされてしまう。
「兄上はジャミールの回復を! 三人でこいつを止めるぞ!」
「もちろんよ!」
「はい!」
アルは仲間たちと共に、かつてないほどの強敵と相対する事になった。
その間に飛び込んだアルとジャミールが剣を交差させて受け止めるが、切り裂かれた首とは別の首がさらに蠢きキリアンへと迫っていく。
「はああああっ!」
後方から飛び出してきたシエラがキリアンと二つ目の首との間に飛び込んでいく。
二人とは違って魔法装具ではないが、ナイフと切れ味抜群の斬鉄で触手を細切れにしキリアンを助けた。
「助かったよ、シエラちゃん!」
「まだ来るわよ!」
「サモン! ウルフ!」
残り最後の首が砂煙を吹き飛ばしながら飛び出してくると、それらへ無数に召喚された漆黒の獣が噛み付いていく。
動きが僅かでも阻害されればそれでよかった。
「助かった、レイリア!」
「ナイスタイミングだね~!」
直後に飛び込んできたアルとジャミールが最後の首を細切れにして声をあげた。
「キリアン様は下がってください! ありがとう、レイリア!」
「――! ……う、うん!」
先ほどまで怒鳴り合っていたシエラからお礼を言われて驚いたレイリアだったが、戻ってきたキリアンに頭を撫でられるとやや俯いて照れ隠しをする。
だが、まだ戦闘が終わったわけではなく、むしろ佳境に入ったところだ。
「これからは予定通りのフォーメーションで行くぞ!」
「待って! アル、魔獣の動きがおかしい!」
「……これ、進化してるんじゃない?」
アルが前進しようとしたタイミングでシエラが叫び、ジャミールが顔をしかめながら口を開く。
キリアンとレイリアも様子を見ていたが、魔獣の肉体が変化していく様子に悪寒を感じていた。
「アル! 進化が終わる前に――」
「ダ、ダメです! 強力な結界が!」
キリアンの言葉を遮るようにレイリアが叫んだ。その言葉通り結界の中にいた漆黒の獣が搔き消されてしまい、直後には顔を失った三つの首が自らの周囲に集まってとぐろを巻いていく。
その姿はまるで繭の中に閉じこもっているようだった。
「近づけないね!」
「魔法も、通らない!」
至近距離から魔法を放つジャミールとシエラが焦った様子で声を張り上げる。
こうなればどうしようもないと判断したアルは、繭の中から出てくるだろう魔獣の気配を探る事にした。
だが――感じ取った気配にアルの全身から汗が噴き出した。
「……こいつは、マズいな」
感じ取った魔獣の気配は、フェルモニアを含めたアルが遭遇してきたどの魔獣よりも強大な圧力を放っていた。
「シエラ! ジャミール! 力を温存しろ! 兄上とレイリアもだ!」
瞬間、アルは無駄に力を使う事を嫌い今は何もしないよう指示を出した。
この選択が正解なのかは分からないが、アルの指示に誰も逆らう事はなく距離を取って魔獣の動きを注視する。
その間、誰もが結界が消えた直後に強力な魔法をぶつけようと準備を始めていた。
「……そろそろ、来るぞ!」
繭の中に留まっていた気配が増幅し、繭の隙間から溢れ出したのを察したアルが声を張り上げるのとほぼ同じタイミングで繭が弾け飛んだ。
周囲の大木を穿ち、薙ぎ倒し、吹き飛ばしていくほどの衝撃がアルたちに襲い掛かる。
「ライトサークル!」
「アースウォール!」
キリアンのライトサークルによって闇属性の魔力を含んでいた繭の破片が吹き飛び、その他に飛んできた障害物をレイリアが作り出したアースウォールが阻んでくれる。
それでも生じた衝撃波は消える事なく、アースウォールを破壊しながら突き進んでくる。
「ジャミール!」
「うおおおおおおぉぉっ!!」
繭の破片や障害物に交ざって進化した魔獣の腕がジャミールに襲い掛かっていた。
間一髪で気づいたジャミールはグラムで受け止めたものの、圧倒的な膂力によって吹き飛ばされてしまう。
「兄上はジャミールの回復を! 三人でこいつを止めるぞ!」
「もちろんよ!」
「はい!」
アルは仲間たちと共に、かつてないほどの強敵と相対する事になった。
0
あなたにおすすめの小説
封印されていたおじさん、500年後の世界で無双する
鶴井こう
ファンタジー
「魔王を押さえつけている今のうちに、俺ごとやれ!」と自ら犠牲になり、自分ごと魔王を封印した英雄ゼノン・ウェンライト。
突然目が覚めたと思ったら五百年後の世界だった。
しかもそこには弱体化して少女になっていた魔王もいた。
魔王を監視しつつ、とりあえず生活の金を稼ごうと、冒険者協会の門を叩くゼノン。
英雄ゼノンこと冒険者トントンは、おじさんだと馬鹿にされても気にせず、時代が変わってもその強さで無双し伝説を次々と作っていく。
荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。
しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。
しかし――
彼が切り捨てた仲間こそが、
実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。
事実に気づいた時にはもう遅い。
道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。
“荷物持ちがいなくなった瞬間”から、
アレクスの日常は静かに崩壊していく。
短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。
そんな彼と再び肩を並べることになったのは――
美しいのに中二が暴走する魔法使い
ノー天気で鈍感な僧侶
そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー
かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。
自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。
これは、
“間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる”
再生の物語である。
《小説家になろうにも投稿しています》
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜
サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。
そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。
彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。
その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。
「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」
そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。
これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる