異世界ダンジョン経営 ノーマルガチャだけで人気ダンジョン作れるか!?

渡琉兎

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チュートリアル

神様との会話

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 神が人間の願いの為に動くなんてあっていいのかと廻は思ったが、神様は淡々と説明を口にする。

「アセッド大陸はアセッド王あっての大陸なのですー。なので、私はアセッド王が望む世界を作る必要があるのですー」
「そのアセッド王は今の状況をどう思っているの?」
「悪い経営者が多い現状を嘆いておりますー。それと同時に、良い経営者を増やすように願っておられますー」
「だったら、神様から王様にアセッド大陸の人達がダンジョンを経営できるようお願いしたらいいんじゃないの?」

 アセッド王の願いを叶えるのならば、アセッド王の願いを変えてもらえれば万事解決ではないかと提案してみる。

「アセッド王はそれを望んでいないのですー。これは何よりも優先されることなのですー」
「何でなの?」
「それは私にも分からないですー。アセッド王が願わないのであれば、私は何もできないのですー」
「……アセッド大陸で暮らす人達よりも大事なの?」
「一番はアセッド王ですー。次がアセッド大陸に暮らす人達なのですー。この優先順位は変わらないのですー」

 何を言っても聞いてくれない神様に苛立ちながら、次に神の使い──ニャルバンについて聞いてみた。

「ニャルバンもアセッド大陸の人達のことを心配していたわ。部下の心配を解消するのも上に立つ者の務めじゃないの?」
「彼らは私の使いだから、特に気にすることはないのですー」
「こ、この神様は!」
「お、怒らないで欲しいのですー。メグルちゃんの言ってることも分かるのですが、私はアセッド大陸の神様なのですー。だから、アセッド大陸で一番偉い人の願いを叶えるのは当然のことなのですー」
「だから……えっ?」

 会話の中で一つの疑問を感じた廻の言葉が止まる。
 神様も首を傾げており、廻が感じた疑問に気づいていないようだ。

「神様って、アセッド大陸の神様なの?」
「えっ? そうですよー」
「それっておかしくないですか? だって神様、地球にいたんですよね? 私以外の人達は輪廻転生して地球で生まれ変わったんですよね?」
「……えっ?」
「いやいやいやいや、それでごまかされると思わないでよ! 何でアセッド大陸の神様が地球の人達を輪廻転生させられるのよ! 何かおかしくないですか!」

 神様が一人しかいないということなら話は分かる。どの世界でも共通の神様だから輪廻転生も異世界転生も頷ける。
 しかし目の前の神様は、と言った。ということは
 仮に神様が複数いるのであれば、その世界にしか干渉できないのではないか。廻はそう考えていた。

「そ、そんなことないですよー。他の人達はちゃんと輪廻転生しましたからー」
「でもそれってあなたの力じゃないですよね? きっと地球の神様の力か何かですよね?」
「それはー……どうでしょうー」
「それに、アセッド大陸の神様なのにアセッド大陸への干渉力が低過ぎませんか? そんな神様が他の世界の人達に干渉できるとは思えないんですけど?」
「えーっと……それはですねー……」
「ついでにもう一つ言わせていただくと、適応力って面でいえばあの飛行機に乗ってた人のほとんどが持っていたわよ? それも私以上に高い適応力をね」
「えっ?」

 そう、適応力だけをみればあの飛行機に乗っていた人の大半が対象になり得るものを持っており、廻以上に能力は高かったはずだ。
 何故ならあの飛行機には──全国を飛び回っているボランティア団体が乗り合わせていたのだから。

「もし私が神様の言う適応力によって選ばれたのなら、私以外の人間が選ばれるはずなのよ。それなのに私が選ばれたってことは──神様、私だけを輪廻転生の枠組みから勝手に外しましたね?」

 廻の言葉は全て推測の域を出ていない。そもそもという行為ができるのかどうかも怪しいものだ。
 それでも今の神様にはその矛盾に気づけるだけの余裕の持ち合わせがなかった。

「……」
「ちょっと、何か言ったらどうなんですか!」
「……ん……い」
「何ですって!」
「ご、ごめんなさいですううううううぅぅっ!」
「……へっ?」

 まさかの謝罪に廻は一瞬何を言われているのか分からなくなってしまった。

「私の頭じゃあもうどうしたらいいのか分からなかったのですー!」
「あの、えっと、ちょっと落ち着いて?」
「この人だって思って転生させたら適応できずに発展しないし、慎重に選んでも気づけば権力に溺れちゃうし、そっちの世界のゲームですか? あれが好きな人を選んだら個性的過ぎて変な発展の仕方をするし、もう分からないのですー!」

 最後の言葉には廻も同意だった。寝る前に見た1000位のダンジョンの名前がオレノオキニイリだったのだから。

「お願いしますメグルちゃん! 私を助けると思って良い都市を作ってくれませんかー!」

 泣きついてくる神様に頷きそうになった廻だが、どうしても確認しなければならないことがあったので何とか踏み止まった。

「神様落ち着いて! 一つ聞きたいんだけど、どうしてあの飛行機の中で私を選んだんですか?」

 先ほど廻が話した通り、あの飛行機には適応力で言えば廻以上の人が多く存在していた。その中で自分を選んだ理由をどうしても知りたかった。

「そ、それは……」

 言葉を濁す神様だったが、ニャルバンの時と同様に廻が引くつもりは一歩もないので真直ぐに見つめる。
 廻の圧力に負けたのか、神様は視線を逸らせながら答えた。

「……たまたまですー」
「……はあっ?」
「た、たまたまだったんですー! ごめんなさいですー!」

 再び泣きじゃくる神様だったが、たまたまと言う言葉に泣きたくなったのは廻の方だった。

「わ、私はたまたまで来たくもないこんな世界に連れて来られたんですか!」
「でもでも、適応力が高い人を選んだのは本当ですー! その中からたまたまメグルちゃんが選ばれたんですー!」
「たまたまには変わらないじゃないですか!」
「そ、そんなに怒らないでくださいー! 本当にお願いします、助けてくださいー!」

 小さな体で廻の脚にしがみついてくる神様は、独白のように呟いていく。

「今の私には新しい人を転生させる力がないんですー。メグルちゃんに頼る以外に手がないのですー」
「どういうことですか?」
「メグルちゃんを転生させた時に神様としての力のほとんどを使ったのですー。この体もそのせいなのですー」
「小さいのが本当じゃないんだ」
「本当はもっと大きいのですー! もっとボンキュッボンなのですー!」
「ボンキュッボンは全世界共通かい!」

 変なところでツッコミを入れてしまった廻だが、大事な部分では神様の言葉に嘘がないように感じた。

「お願いですー、メグルちゃーん」
「……ニャルバンにも言いましたけど、私は私のやりたいようにやります。集落や村で終わるかもしれません、都市を目指すつもりはありませんから」
「うぅぅ」
「だけど──悪い経営者にはならないと、それだけは誓いますから安心してください」

 最後の言葉に神様は顔を上げると、顔をくしゃくしゃにして大泣きしてしまった。

「ありがどうごじゃいまずー!」
「いや、泣き過ぎじゃないの?」
「だって、今まで転生させた人のほとんどが、こんな優しい言葉、掛けてくれなかったんですものー」

 それは転生させた神様の人選ミスではないかと思った廻だったが口にはしなかった。

「私にできることは少ないと思いますけど、やらなきゃいけないんだしやりますよ。これで私の転生がたまたまじゃなかったら良かったんですけどね」
「そこは本当にごめんなさいなのですー」
「あっ! そうだったわ!」

 廻はここに至り、何を置いても重要なことを思い出した。これは自分が転生された理由よりもこれから生きていくうえで最も重要なことだった。

「神様! せっかくの機会だからお願いがあるの!」
「何なのですかー?」
「経営を頑張るから、私のギフトをレアガチャが引けるギフトにチェンジしてよ!」
「それは無理なのですー」
「即答かよ!」

 ギフトのチェンジを申し出たのだが、全く考えるそぶりも見せずに却下されてしまった。

「ギフトはその人が元々持っているものであって、私が決めたものではないのですー。だからチェンジとかできないのですー」
「だ、だったらレアガチャチケットを下さい! 一枚くらいなら融通できるでしょ?」
「今の私には無理なのですー。あっ、時間が来たようなのでさっさと消えようと思いますー」
「あーっ! また逃げるのかー!」
「さ、さよならなのですー! 経営の事は本当にお願いなのですー!」

 最初の時と同じようにさっさと空に飛んで行ったかと思ったらすーっと姿を消してしまった。そして──

「経営をお願いするなら少しは手を貸しなさいよー! それとまた落とすんかーい!」

 次元の狭間に黒いヒビが入り砕けたかと思えば、再び真っ暗な世界に落とされてしまう廻なのだった。
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