異世界ダンジョン経営 ノーマルガチャだけで人気ダンジョン作れるか!?

渡琉兎

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施設とダンジョン

顔合わせとダンジョンの開放

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 ロンドがダンジョンのお試しをしてくれた翌日にはポポイが到着した。
 大きな鞄を背負っていたことにも驚いたのだが、鞄の隙間から謎のアイテムが顔をのぞかせていることにも驚き、家と道具屋の間取りをさっさと決めてもらって経営者の部屋マスタールームを後にしてもらった。
 次の日にはニーナが到着して、ポポイとは違い長旅を労い、ゆっくりとお茶をしながら家と宿屋の間取りを決めてもらい、世間話をしてから別れた。
 そして、一ヶ月間際になってアルバスがようやく到着した。

「アルバスさん、遅いですよ! 心配したじゃないですか!」
「わりぃわりぃ、ちょっと野暮用で遅れちまったんだよ」

 アルバスは全く悪びれた様子もなくそう口にする。

「その野暮用って何なんですか?」
「何でてめえに言わなきゃならないんだよ」
「私は雇い主ですからね、心配事は減らしたいんです! 野暮用って何なんですか!」

 詰め寄る廻を上から眺めていたアルバスは、ニヤリと笑うと顔を廻の耳元に近づけて小声で呟いた。

「……大人の野暮用って言えば、分かるかい? お嬢さん?」

 少女をからかうには多少刺激が強い発言だったのだが──廻はキョトンとした表情を浮かべた後、苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべた。

「大人の野暮用? あー、女の人と遊んでたわけですねー。全く、最近の大人はみんなこうなんですかねー」

 溜息混じりに声を漏らした廻を見て、アルバスは口を開けたまま固まっていた。

「んっ? どうしたんですか?」
「……あー、いや、何でもねぇ」
「変な人ですね。他の人はもう集まっているんですから、さっさと家と換金所の間取りを決めてくださいね!」
「お、おぅ」

 全く話の流れを掴めなかったアルバスはいそいそと間取りを決めると、頭を掻きながら経営者の部屋を出ていこうとした。

「あっ! ちょっと待ってください!」
「俺のやることはもうないだろう?」
「せっかくだからみんなを集めて顔合わせをしましょう!」

 そういった廻はメニューを開いてすでに集まっている三人に連絡を入れると、すぐに経営者の部屋に現れた。

「……ほ、本当にアルバス様だ!」
「あん? 誰だ、小僧は」
「おぉーっ! やっぱりこの部屋は不思議なものですね! 研究をしてはダメですかねぇ?」
「おやおや、賑やかなこと。楽しい都市になりそうですね」

 それぞれが口を開き、その後に自己紹介がなされる。アルバスだけが面倒臭そうにしていたが、それでもちゃんと自己紹介をしてくれたのは廻に睨まれたからだろう。
 ロンドは案の定アルバスを尊敬の眼差しで見つめており、アルバスはというと面倒臭そうにしている──と思いきや、意外と嫌ではなさそうでむしろ照れているようだった。
 ニーナはニコニコと笑顔を浮かべてみんなを見ており、ポポイはニャルバンを相手に質問攻めだ。

「はいはーい! 皆さん注目して下さーい!」

 そこに廻が手を叩いて声を掛けると、全員の視線が廻に向く。

「私のダンジョンは、このメンバーで開放を迎えます。全く知識もなくて、経営なんてしたことのない新人経営者だけど、精一杯やることを誓います! だから、私に皆さんの力を貸してください、お願いします!」

 ロンドの意見を受けて鍛冶師を探していた廻だが、結局契約まで至ることはできなかった。
 今日この場に集まっている四人が、廻と契約してくれた仲間達である。
 そんな仲間達へ惜しげも無く頭を下げた廻に、ロンド以外の三人は口を開けたまま固まってしまった。
 経営者が頭を下げるなどほとんど見たことがないからであり、ロンドは廻の人となりを他の三人に比べれば知ることができていたので驚きはしなかったが、苦笑を浮かべている。

「お、おい。経営者が頭を下げたらダメだろう」
「えっ? 何でダメなんですか?」
「な、何でって、お前なぁ」
「私は独裁を行うつもりはありませんし、みんなと仲良くなりたいんです。良い経営者になる努力もしますし、できることがあれば何でもやりたいと思っています。だけど、やっぱり一人でできることは限られますし、できないことの方が多いと思います。それなら、頭を下げてでも協力してもらった方が、より良い都市作りができるんじゃないでしょうか」

 廻の真摯な意見を受けて、アルバスは何も言えなくなってしまった。

「まあまあ、アルバスさん。メグルさんはこういう人なのですよ」
「ぐっ、しかしですねぇ……」
「ア、アルバスさんが、敬語を使ってる!」
「うるせえな! 俺が敬語を使っちゃダメなのかよ!」
「あまりにも意外だったので驚いただけですよー」
「て、てめぇ……」

 口では勝てないと悟ったアルバスは無言のまま睨みつけるが、廻は苦にもならないようで気にせず話し始めた。

「ロンド君にはすでにダンジョンのお試しをしてもらったりしているけど、これから宿屋も道具屋も換金所も忙しくなる予定なので、よろしくお願いします!」
「もちろんです。ロンド君もよろしくね」
「はい。ニーナさんも何かあれば言ってください」
「何だ小僧、宿屋でも働くのか?」
「私の腰が悪いせいで、ロンド君が代わりに動いてくれるんですよ」
「冒険者をしながら宿屋の従業員ってか? 本当に大丈夫なのかよ」

 苦い表情を浮かべるアルバスだったが、それはロンドを心配しての発言だった。
 元冒険者とはいえ、怪我がなければ今も現役で続けられていた年齢であるアルバスは、若いロンドを気に掛けているのだろう。
 言葉は荒々しいが、根は優しい冒険者なのだ。

「あの、アルバス様!」
「あん? 何だ小僧」
「も、もしお時間がある時で構わないので、僕に剣術や冒険者としての心得を教えていただけませんか?」
「何で俺が小僧に教えなきゃいけないんだよ、面倒くせぇ」
「ちょっとアルバスさん! それくらいだったらいいじゃないですか!」

 ロンドのお願いに廻が助け舟を出す。

「それに、交渉した時には少し乗り気だったじゃないですか!」
「そんなこと言ってねえだろうが!」
「そうでしたっけ? でも、ロンド君ならきっとランキング上位まで行ってくれると思いますよ! モンスター相手に勉強も欠かしていませんからね!」
「それくらい冒険者なら当然だ。新人なら特にな」
「その新人冒険者の頼みごとを断るんですか? 大の大人が、先輩冒険者が?」
「……てめえの言い方だと、受けるのが嫌になってくるんだがなあ」
「だからてめえじゃなくて廻ですってば!」

 普通に会話をしている二人を見てロンドがぽかんとしていると、アルバスが頭を掻きながら呟いた。

「しゃあねえから、教えてやるよ」
「えっ? ほ、本当ですか!」
「あぁ、暇つぶしにもなるだろうからな」
「ありがとうございます!」

 二人のやりとりを見た廻はニヤニヤしている。

「……何を笑ってんだ、てめえは」
「うふふー、アルバスさんも素直じゃないなーって思っただけですよー」
「こ、この野郎!」

 会話の主導権を廻に握られたまま、アルバスはこれ以上何も言わなかった。
 ロンドはアルバスに師事することができるとあって喜んでいるし、ニーナは二人のやりとりを見て穏やかな笑みを浮かべている。

 そんな中、ポポイだけは全く違うことを考えていた。

「ねえねえ、ニャルバンちゃんは何でできているんですか?」
「何でって、ニャルバンはニャルバンにゃ! 何でできているとか言われても分からないのにゃ!」
「それじゃあ、この部屋は何でできているの?」
「僕には分からないのにゃ。経営者の部屋は経営者の部屋なのにゃ」
「うーん、答えになってないわよー。ねえ、やっぱり研究させてくれないかな? 経営者の部屋の謎、私が必ず解いて見せるからさ!」
「ダ、ダメなのにゃ!」
「えー、何でよー」
「よく分からないけど、ダメなものはダメなのにゃ!」

 自己紹介が終わると、ニャルバンと最後まで話していたのだった。

 ※※※※

 残る日付でダンジョンのお試しを行なったり、みんなで都市運営について話し合うことを繰り返した。

 そして、ついに廻のダンジョンが解放された。
 ダンジョンの名前は――ジーエフ。
 Good Friendのイニシャルを取って付けた名前だった。
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