異世界ダンジョン経営 ノーマルガチャだけで人気ダンジョン作れるか!?

渡琉兎

文字の大きさ
150 / 183
様々な動き

アルバスとジギル③

しおりを挟む
 七階層のボスモンスターはスティンガーだ。
 こちらもレベルはまだまだ低いのでゴーストパラディンだった頃よりも普通ならば弱いはずなのだが、ここでもアルバスは首を傾げていた。

「うーん、ストナも力に関しては少し強いな」
「へぇー。なんだか不思議なものね」
「お前が暮らしているダンジョンでも似たようなことは起きてないのか?」
「どうかなー。私はここ最近、帰ってないしねー」
「帰ってないって、ランキング1位なんだから好待遇なんだろう?」
「そうでもないわよー。むしろ、冒険者への発言力では私の方が上になりそうだから嫌われちゃってるかもねー」
「ランキング1位が冷遇されるって、どんな都市だよ」

 嘆息しながらもアルバスはストナの双剣を巧みに捌き切っている。
 隻腕で双剣の連撃を捌き切れるだけの技量を見せつけられては、ジギルの冒険者心にも火が灯り始めていた。

「……ねえ、本当に私がジーエフに移住してきたら迷惑になっちゃうかな?」
「お前、あれは本気だったのか?」
「うーん、あの時は半分半分って感じだったけど、今は割と本気だね」
「そうか。まあ、小娘なら迷惑とかそんなん関係なく、喜んで受け入れてくれると思うぞ」
「メグルちゃんならそうだろうね。だけど、私はアルバスの意見を聞きたいのよ」

 ジギルは真剣な眼差しをアルバスに向けている。
 一方のアルバスはストナと対峙しながらなので視線は向けていないが、ジギルの質問について自らの見解を口にした。

「……今のままだと、ジーエフの迷惑にはなるだろうな」
「その根拠は?」
「いまだに一五階層までしかないダンジョンにランキング1位のお前が移住となれば、何か裏があるんじゃないかと疑われる可能性もあるし、そこから変な噂が流れて冒険者が来なくなる可能性も出てくる」
「それはあくまでも噂でしょ? 私本人が否定すればいいことじゃないの?」
「経営者に言わされている、と思われたらそれこそ最悪だ。そんなことになったら、小娘の方がお前のことを心配して頭を悩ませちまうだろうな」
「……そっか」
「それに、まだまだランドンの噂は広まりきってないからな。今の状態ではまだ早いとしか言えん」

 アルバスの言い回しに、ジギルは一つの違和感を覚えた。

「……それなら、ランドンの噂が早いところ広がったら可能性はあるってこと?」
「あぁ。そして、その噂を早く広げてくれる材料がのこのこと近づいてきてくれているから、そいつらの結果次第では考えないでもないな」
「……あぁ……そっか、なるほどね! ゼウスブレイドか!」

 ジギルの言葉に、アルバスは一瞬だけ振り返り笑みを浮かべる。
 その最中にも《速度上昇》による双剣の高速連撃が繰り出されていたのだが、アルバスは大剣を一振りしただけでストナに防御姿勢をとらせてしまった。

「ゼウスブレイドが盛大に負けてくれれば、落ち目とはいえ噂の広がりは絶大だろう。そうなってくれると、ランドンの実力を認めたという体でお前が移住するのもありだと思うぜ」
「……アルバス、さすがはゼウスブレイドを影で支えていただけのことはあるはね」
「どういうことだ?」
「うふふ。あいつらはね、アルバスが抜けてからほんっっっっとうに酷かったんだから! 依頼選びもろくにできないし、ダンジョンに必要な道具もちんぷんかんぷん、自炊に至っては地獄だったみたいよ」
「あー……それ、全部俺が見てたやつだな」
「でっしょー! それで、代わりに入る奴も前衛で、そういう奴らは大抵が筋肉バカだからアルバスみたいにはできないわけ。それで結局辞めるんだ……って、これはもう話したわね」

 苦笑気味にそう言うと、ジギルは興奮していた自分に気づいたのか再び体を壁に預けた。

「まあ、いいんじゃないか? 今はちょっとくらいはマシになっていると信じているがな」
「変わらないと思うわよ? あいつらは、そういう奴らだからね」
「……同感、だ!」
「──!」

 おそらくストナとしては不本意だっただろう。
 目の前の相手が片手間に自分と戦い、たった一振りで《硬質化》させていた自慢の鎧が両断されてしまったのだから。

「さて、とりあえずの目的は達成したが……どうする?」
「そんなもん、当然最下層まで行くわよ!」
「……まあ、そうなるわな」
「ランドンだっけ? まさかモンスターに名前を付ける経営者がいるとは思わなかったけど、それはそれで面白いわよねー!」
「名前ねぇ……まさか、名前を付けたからモンスターが強くなったなんてことは……いや、ないか」
「あはは、そんなんで強くなるんだったら苦労はしないでしょ」
「それもそうだな」

 しっかりとドロップアイテムを確保したアルバス達は、さらに下層を目指してダンジョンを下りていく。
 目指すは一五階層のランドンなのだが、そこまでのモンスターは二人にとってはザコも当然であり、あっという間に攻略されてしまう。
 元々はアルバス一人でも到達できてしまうのだから当然であり、三〇分と掛からずに一五階層の安産地帯セーフポイントに到着したのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命

遊鷹太
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

処理中です...