異世界ダンジョン経営 ノーマルガチャだけで人気ダンジョン作れるか!?

渡琉兎

文字の大きさ
171 / 183
過去の精算

ゼウスブレイドのダンジョン攻略⑧

しおりを挟む
 一九階層、そのボスモンスターは当初の予定通りにアークルである。
 今回が初陣であるアークルの戦いをその目で確かめようと廻は気合を入れてモニターを見つめていた。

「アルバス達は一七階層にいるのにゃ」
「ボスモンスターが復活してないから早いわね」
「まあ、あの三人ならボスモンスターが居てもこれくらい早く辿り着くのにゃ」
「うふふ」
「な、なんで笑っているのにゃ?」
「ニャルバンもアルバスさん達を信じているんだなって思ったの。モンスター側に立った発言が多かったからさ」

 ニャルバンは神の使いであり、ダンジョン都市の発展を願う者である。
 ダンジョンがより強固なものとなれば評価が上がりダンジョンランキングも自ずと上がっていく。
 それ故にダンジョンを強固なものにする要のモンスターが倒されることを極端に嫌がることが多かった。
 しかし、今回の発言はモンスター側ではなく人間側、つまりアルバス達の立場に立っての発言だったことが廻には嬉しく思えたのだ。

「ぼ、僕はダンジョン都市を発展させることを願う神の使いだけど、その前にメグルを支える神の使いでもあるのにゃ! だから、メグルが人を大切にするなら僕もそうするのにゃ!」
「うふふ、そうなんだ。ありがとう、ニャルバン」
「……ゼ、ゼウスブレイドがボスフロアに入るのにゃ! モニターを見るのにゃ!」
「何々、照れてるの? 照れるニャルバンは可愛いもんねー! 見せて、見せてー!」
「う、うるさいのにゃ! 早くモニターを見るのにゃー!」

 両手をバタバタと上下に振りながら顔を真っ赤にしているニャルバンを見て笑みを浮かべながら、廻はモニターに視線を戻したのだった。

 ※※※※

 目の前に立つモンスターを見て、ゼウスブレイドの面々は固まっていた。

「……アークエンジェルだと?」
「……ちょっと、情報になかったわよ!」
「……情報を仕入れてからの短期間でレア度4の天使族を手に入れたのか?」
「……おいおい、これはマジでヤバいんじゃないのか?」
「……」

 各々が声を漏らしていく中でリッカだけは何も言えないでいる。
 これは上層で決意した想いから来るものだが、内心ではアークルを目の前にして恐怖との戦いを繰り広げていた。

(……こ、怖い! どうして、ただ見られているだけで、こうも恐怖が体を支配するの!?)

 レア度4以上のモンスターは個体によっては威圧を相手に与えることがある。
 それはサウザンドドラゴンであり、アークエンジェルも同様のモンスターとなる。
 リッカ以外のゼウスブレイドはアルバスがいた頃からレア度4以上のモンスターとも多く戦ってきたので威圧に対して耐性を持っているが、経験が少ないリッカにとっては覚悟を決めないと動けなくなってしまいそうな相手だった。

「……リッカ、ここはスキルの使用を許してやる」
「……レ、レインズさん」
「その代わり、絶対にこいつを倒せ。俺の手を煩わせるなよ?」

 ゴクリと唾を飲み込んだリッカは、それでも力強く頷いて大剣を握りしめる。
 今回もリッカに加えてヴィルとクックで戦うこととなり、ライラは支援魔法を発動するだけ。
 ヴィルとクックは顔を見合わせて一つ頷くとリッカよりも前に立ちナイフと拳を構えた。

「……ヴィルさん、クックさん?」
「てめえはスキルを当てることにだけ集中していろ」
「その通りだ。お膳立てはこちらで全て受け持とう」

 二人の背中を見つめるリッカは感動のあまりに泣いてしまいそうになったが、今はまだ泣くことは許されないと自分を律してアークルを睨みつける。
 威圧を受けていたリッカだが、二人のおかげでどうにか動けるようになってくれた。
 傍から見ればパーティとして機能しているように見えるのだが、それは三人だけの話でありレインズとライラから見ればどうでもいいことだ。

「……行け」
「うふふ、サウザンドドラゴンは私達に任せなさいな」

 体力向上、そして速度向上と筋力向上が掛けられたヴィルとクックが一気に駆け出した。
 それを見てもすぐには動き出そうとはしないアークルだったが──突如として奇声を発した。

『キイイイイヤアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!』
「「「──!!」」」

 耳を劈く奇声が二人の動きを一瞬だが鈍らせ、その隙を突いてアークルが初めてその場から動き始めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命

遊鷹太
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

処理中です...