異世界ダンジョン経営 ノーマルガチャだけで人気ダンジョン作れるか!?

渡琉兎

文字の大きさ
173 / 183
過去の精算

ゼウスブレイドのダンジョン攻略⑩

しおりを挟む
 誰もが固唾をのんで砂煙を見つめている中、リッカだけは自らの剣に意識を集中させていた。
 ヴィルとクックの言葉を信じて渾身の一刀をアークルにぶつけようと機会を狙っているのだ。

『ギイイイイギャアアアアアアアアアアアアッ!!』
「リッカアアアアアアアアァァッ!!」

 アークルの悲鳴とクックの雄叫びがボスフロアに響き渡る。
 砂煙を吹き飛ばしたその声を契機として、リッカは駆け出しスキルを叩き込もうと大剣を振り上げた。

「これで決めます──破城大斬はじょうだいざん!」

 リッカの大剣に金色の光が顕現すると、光が刀身の倍以上に伸びて光の刃を形成する。
 クックは耐久力を最大限に高めるスキル金剛を発動させてアークルの一撃に耐えてみせた。
 そして、耐えられると思わなかったアークルは困惑し一瞬の隙を見せてしまう。
 結果として、天井を削りながら振り下ろされると光の刃はアークルの左肩から胴体を斬り裂き、そして振り抜かれ地面をも粉砕した。

『ァァァァ……ァァ…………アアアアアアアアッ!?!?』
「これで終わらんのか!」
「クックさん、逃げてください!」
「こんの、年寄りが!」

 金剛のデメリットはスキル発動中は動きが制限されるため緊急回避ができなくなる。
 その分、ほとんどの攻撃に耐えることができるのだが耐えられない攻撃が放たれると成す術が無くなる。
 そして、アークルがやろうとしている攻撃は金剛では耐えられない命を賭した最後の一撃だった。
 ヴィルはスキルまで発動させてクックを抱えるとリッカの方へと全力で投げ飛ばし、自らも戦域を離脱しようと試みたのだが──

「あー、こりゃダメだ」
「ヴィル!」
「ヴィルさん!」

 真っ白な光がアークルを中心に広がりを見せるとヴィルを射程に収めた瞬間──大爆発を巻き起こした。
 二人がヴィルの名前を叫ぶも爆音に掻き消されてしまう。
 爆発の余波でボスフロア全体が大きく揺れて天井や壁からはパラパラと砕けた岩の破片が落ちてくる。
 風に乗って飛んでくる破片を腕で遮りながらヴィルの姿を探そうとしていた二人だが、その姿は意外なところで見つかった。

「……なんだこりゃ?」
「あれは、結界か?」
「ということは……ライラさん!」

 ヴィルの周囲にはドーム型で半透明の白い膜が顕現している。
 その様子を見たクックの言葉を受けてリッカは名前を叫びながら振り返った。

「……全く、私の手を煩わせるんじゃないわよ!」

 だが、ライラは三人に怒声を響かせた。
 ライラはレインズに行為を抱いている。だからこそレインズ以外の為に自分の力を使いたくなかった。
 それにもかかわらずヴィルを助けたのはそのレインズの命令だからなのだが、それでも嫌なものは嫌なのだ。

「特にヴィルとクック! あんた達は長年組んでてそれくらいも分からないの!」
「知るかよ。こちとら命がけなんでな」
「感謝はしているが、それ以上も以下もない」
「ふざけんじゃないわよ! いいわね、二〇階層ではレインズを守る以外には魔法を使うつもりはないからそのつもりで働きなさい!」

 そう言い放つと次にリッカへと視線を向ける。

「それとあんたもただ突っ立てるだけじゃなくて働きなさいよね!」
「す、すみません!」
「そもそも、あんたは前衛なんだから何をあいつらに任せて──」
「おいおい、リッカのスキルで止めを刺すのは当然の判断だろうがよ」
「そうだな。俺達がそれを最善だと判断したのだから文句を言われる筋合いはない」
「……へぇ、私に文句を言うつもりなのかしら? いい度胸じゃないのよ!」

 この場で仲間割れが勃発しそうだとリッカが止めようとした時、ライラの肩に手を置いたレインズが口を開いた。

「お前ら、いい加減にしろよ?」
「あぁ、レインズ! ねえ、こいつらなんて放っておいて私達だけでサウザンドドラゴンを倒しに行きましょうよ? 絶対に倒せるからさあ!」
「落ち着くんだ、ライラ。倒せるだろうが、ここは万全を期して挑むのが一番だろう。もちろん、お前の為だからな?」
「もう! さすがはレインズだわ、あいつらなんかとは大違いね!」

 ライラが甘えるような声でそう口にすると、レインズには見えないように鋭い視線を三人へ向ける。
 一方のレインズは冷めた表情のまま言い放つ。

「サウザンドドラゴンへの止めは俺が刺す。お前達はその隙を作り出すようにしろ、いいな?」
「へえへえ、分かったよ」
「もちろんだ」
「わ、分かりました!」
「……ならいい。行くぞ、ライラ」
「もちろんよ、レインズ!」

 歩き出したレインズの腕に自分の両腕を絡めたライラは横目で三人を睨みつけながら下層へと進んで行く。
 その様子を見つめていたヴィルとクックは嘆息を漏らしながら歩き出したのだが、リッカは自分がこれからどうするべきかを考えていた。

(……私のスキルはもう使えない。サウザンドドラゴンを相手にスキルなしでどうしたらいいの?)

 不安を胸に抱きながら、クックに呼ばれたこともありリッカはなるべく早足で追い掛けて最下層へと向かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命

遊鷹太
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

処理中です...