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第一生 子猫とジャガーとドリンク無双
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◇ ◇ ◇
紆余曲折を経てジェゾの召喚獣として暮らすことが決定した一斉は、ジェゾに連れられ元いた屋敷に帰ってきた。
独り身には広い屋敷だ。
とはいえ建物自体は戸建てが三つ分ほどで、敷地のほとんどは庭である。
特権階級に相応しい華やかさを、とのお達しで建てた豪邸はジェゾサイズなので、普通の住居より増して大きく見えるのだろう。
どこか愛らしく草木が似合う木造レンガのオシャレな住居。それの周りに果樹や小池や花壇や畑があり、敷地はぐるりと背の高いレンガの塀で囲まれている。
小さな動物人形で遊ぶなんとかファミリーの家にありそうだが、住んでいるのは巨大ジャガーと刺青男。慈悲はない。
部屋には余裕があるから好きに使えと言われ、初めに目覚めた部屋を貰った。
ハンターとして日々ダンジョンに潜るジェゾは、夜だけか、三日に一度くらいしか屋敷に戻らないらしい。
なので屋敷には基本誰もいない。
来客もほとんどない。
屋敷の掃除や庭の手入れは一週間に一度、雇い人がやってくるが、それ以外は盗人ですら近寄らないと言うジェゾ。
「そんな、誰もこねーの……? 変なやつら……ジェゾに会いたくなんねぇのかよ」
「…………」
「ンぐぅ」
自分はすごーく会いたくなる。
常にそばにいたい。
そんな気持ちから疑問を口にすると、ジェゾは渋い表情で一斉を抱き上げ、喉仏を軽く潰すように首元を甘噛みした。
「ゲホッ……ンで、噛む?」
「お主、誰にでもそうなのか?」
「あ……?」
意味がわからんと首を傾げる。
誰にでも、と言われても他の誰にがいないのだが。そう、と言うのは会いたくなるということか? これまた難しい質問だ。
ジェゾの質問に答えたい一斉だが、生憎持ち合わせがなかった。
今までジェゾにしかこうも優しくされたことがないので、比較対象がないぞ。
「はぁ……いや、構わんよ。お主が己のそばにいれば一人ではない」
「? あぁ。そばにいる。いてぇ」
「…………」
「ぐえ」
もひとつオマケに喉を甘噛みされ、言葉ごと二の句を潰された。
喉の甘噛みは〝ちょっともう黙ってください〟ということらしい。
うるさいのかと思ったが違うと言われてますますハテナを浮かべる一斉。
ジェゾはたまによくわからない。
言いつけ通りに閉口したものの、始終疑問符だらけの一斉であった。
◇ ◇ ◇
それから風呂やトイレなど広々とした屋敷の案内を受け、終えた頃にはすっかり外が暗く、夕食の時間になっていた。
一見すると二足歩行の巨大ジャガーでしかないジェゾだが、意外にも料理ができるようだ。
食糧庫から食材を取り出して手際よく調理し、ドン、とテーブルに並べる。
並んだ料理たちはどれもこれも素朴な味わいで美味だった。
ファンタジーらしく謎の巨大魚の香草焼きや踊るパスタと格闘する羽目になったが、それはご愛嬌。
大柄なジェゾに合わせた家は大きい。
もちろん食器や家具も特別大きい。まるで巨人の国にやってきたような気分だ。
おかげでポロポロ食事を零してしまい、一斉は冷や汗をかいた。
ジェゾは叱らず食べカスを拾って口元へ運んでくれたものの、それはそれで手間をかけさせていることにしょげてしまう。
最終的に手づかみで食事をすると、なぜそうなるのだと叱られた。
叱られるのは得意じゃない。
しかしジェゾはソースで濡れた手をザラついた大振りの舌で丁寧に舐めとってくれたし、食器の使い方も教えてくれた。
手を舐められるのは気持ちいい。
……よし。たまに手を汚そう。
明日には人間用の食器を用意すると言うジェゾに、一斉はひっそり些細な悪事を企むのであった。
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