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第三生 現地住民舐めたらアカン
02
「機嫌、悪くねぇ……?」
「良好だな」
「眠くねぇかな……」
「半夜行性であるよ」
「俺にカラダ絡まれンの……ウゼぇとか、邪魔とかも、ねぇか」
「生憎、己は邪魔者と同衾する奇特な趣味など持ち合わせとらん。寝床じゃ何者も無防備であるからな。それともお主が寝首をかくつもりか?」
「ん、かかねぇ……ジェゾの首は、ジェゾが持ってるほうがいいからよ……」
ユル、と軽く頭を一度左右に振り、一斉はやおら片腕を伸ばして、片肘を着き横たわるジェゾの首に絡ませた。
それを平然と眺めるジェゾ。
首の太さに対して小顔な肉食獣の頭を抱き寄せるでなく、簡単に振り払える程度の形でただくたりと預けただけのやましい絡め方だ。
様子を伺う上目遣いのまま、猛禽のようだと称される切れ長の瞳を熱っぽく潤ませ、溶けるように微か細める一斉。
開きかけた唇をつぐみ、乾いた唇をペロ……、と舐めてからまた解く。
それも涼しい顔で眺めるジェゾ。
ちなみにこのなかなかえげつない仕草のコンボは全くの無意識である。
本人は色気など醸し出そうともしていないし、まだ誘っていないつもりだ。生来なにかと夜のオーラが溢れるのだろう。
「んじゃ俺と……交尾、してください」
「あぁ。わざとか」
「は?」
「なんだ素か」
「んぶ」
そんな一斉の無自覚オチすら涼しげな顔で受け止めたジェゾは、ザラついた大きな舌で一斉の唇をベロォリと舐めあげた。
いきなりエロ全開でアプローチしてきたのは夜のお誘いをするためだったのか、と納得したところ、別にそうでもなかったことを秒で理解したらしい。此奴は素で艶かしい手の出し方をしてくる。
まぁ、若干ムラっとはキた。
しかしジェゾはそうと悟らせない強かな大人なので、やれやれとため息を吐き、呆れた視線で一斉を見下ろした。
別名ズルい大人とも言う。
「お主。誘えと言ったのは己だが、なにがどうしてそうなった? 脈絡がかつふつ見当たらん。人間族の大好きな順序はどうした」
「ん、順序……? いや別に俺は好きくねぇけど……あ、あー……準備はシてるぜ」
「なんの話だ。経緯だぞ? 食事を共にし、話し、触れ、段階を踏む。商売も契約だ。人間族や森人族、空人族……なんにせよ人型の種族は順序を好むものよ」
「そか……でも俺もう、ジェゾと話す、食う、寝る、触る……シてるだろ。……ヤッてもいんじゃねーかな……」
「……。まぁ、よいなら構わん。飼い主の義務だ。子猫の八つ当たりに付き合ってやる」
「八つ当、っぃ」
言い終わるやいなやゴロリとベッドに転がされ、ジャガーの巨体でできた影にすっぽり収められた。
あっという間に両腕を片手でひとつに捕まえてフカフカのデカクッションに押しつけられたかと思うと、顎の縁を鋭い牙がガプ、と甘噛みする。
八つ当たりって。
別に自分は喫茶店がうまくいかずにヤサグレたわけじゃないのだが。
どうやらあまりに突然(一斉的には順当に)誘ってきたため、ジェゾの中で「一斉は不貞腐れて非行でストレスを発散したくなったのだ」という定説が成り立ったらしい。熱い解釈違いである。
(……ジェゾは俺ンこと、物知らずのスゲェアホな猫だと思ってンだよな……)
「まったく、此方の気も知らずミャーミャーと好き勝手鳴きおって……主人としては頭の痛い話だぞ。どうしてくれようか」
「こっちのセリフだぜ……」
「抜かすな。お主は気ままだろう? 言動も行動も思考も突拍子ない小僧に弄ばれる哀れな年増はこの己よ。おちおち惰眠も貪れん」
「ン、ッ」
圧倒的勘違いに微妙な顔で見上げる子猫の視線をスルーし、ジェゾは一斉の唇にガブリと噛みついた。
産毛で覆われた獣の唇に喰らわれ、息付く間もなく肉厚の舌がヌルリと口内に入り込み、喉を嬲る。
どっちが八つ当たりなのやら。
意地悪い性根が滲み出るキスに溺れた隙に、シャツの結びをシュルリと解かれ、褐色の肌が顕になった。
「はっ……ぅ…ん……」
布が割れて滑り落ちると、左腕から肩口、鎖骨を通って胸元までまとわりつく鳳凰の刺青がよく見える。
その上を肉球でなすりながらベロベロと口内を舐るジェゾの喉が、ゴロゴロと稲妻のような重低音を鳴らした。
ジェゾはこれを気に入っている。
模様が興味深いのか存在が愉快なのか、なんせ面白がっている。
毛繕い以来ただの皮膚としか思わなくなった一斉には全く良さがわからないが、ジェゾはココを毛繕うのが好きだし、人目に晒すと当然のように捲った袖を下げられるくらいにはコレを独占している。
……言っちゃあなんだが、ジェゾの好みはちょっとおかしい。
そんなに気に入ったなら皮膚ごとあげても構わないのだが、そういうものでもなさそうだ。絵が絡みついた体が面白いのだろうか?
(俺は……ちっと、面白くねぇかもな)
「ん……、っひ」
「誘っておいてよそ見をするな。虐められたいのなら止めはせんが」
「ぅ、っや……よそ見じゃねぇ、よ。ジェゾのこと考えてたから……」
「そうか。では日夜そうしておけ」
「いッ……」
そう言って、ジェゾは舌で首筋をなぞり、丸く張った肩の尖りをガブリと噛んだ。
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