74 / 462
第二話 気になるモテ期
27
しおりを挟む一方その頃。
まさか悪魔と友人が結託してストーカー行為を始めているなんて知らない九蔵は、パーフェクトイケメンこと桜庭と、まるでデートのような休日を満喫していた。
目的だったショッピングを終え、余った時間をのんびりと過ごす。
ゲームセンターで遊んだあとは雑談に花を咲かせつつ、おしゃれなカフェにてランチタイムだ。
ミルク味が好きな九蔵は四種の濃厚チーズグラタン。桜庭はツナコーンパスタを嗜む。
「いや、驚いた。九蔵はゲームが凄く上手いんだな」
「まあ、ちょっとやるだけだからそんなことねーよ。桜庭だって、ゾンビバンバン倒してただろ?」
「そう? ああいう狙って撃つゲームは得意なんだ」
(うっ)
ふふ、と色っぽく微笑む桜庭に、九蔵はドキ、と胸を高鳴らせた。
顔がいい人類ならば男女関係なく下は中学生から上は還暦まで持病のメンクイを発病する九蔵なので、桜庭の微笑みは心臓に悪い。
それはもちろん九蔵だけでなく、周囲からも視線を感じる。みんな桜庭を見てしまうのだ。激しく同意する。
部外者ならば、だが。
色素の薄いイケメンのどこか色っぽい笑みは、九蔵を始終緊張させる。
恋愛的なものではなくただ美しいものを見て興奮するだけだけれど、脳内で何度絶叫したかわからない。
それでも九蔵がイケメンという概念に出会った時に思い出すのは、なかなかどうして、ニューイのことだった。
──ニューイは、ホラーは大丈夫っぽい。でも狙撃とか無理そうだよな。
恥ずかしながらもはや癖に近い。
近頃の九蔵は、ふとした時にニューイを引き出してしまう。
(つか筐体潰しそうだからゲーセン自体まだ連れて行けねーけど……いつか行ったら、壊れそうにないやつやらせてみるか。なにがいいかね。ダンスラボ、ダンラボとか?)
「くく……」
「…………」
思わず自然に頬が緩む。
すると桜庭は九蔵が気がつかないほど、ほんの少し動きを止めた。
すぐに色めかしい笑みに変わったので蜃気楼と化してしまったが、確かな反応だ。
「かわいい笑顔だが、誰を思い出したものなのかな? 妬けるね」
「いっ!? ……ははは。からかうなよ。同居人を思い出しただけだ」
桜庭は上目遣いで九蔵を伺い、九蔵の気を引くように甘く唇を動かした。
大人の余裕に溢れた桜庭からスムーズに放たれたジャブに、九蔵は致命傷を負って赤くなった頬をこする。
(ひ~……っこのパーフェクトイケメンめ……っ。アンタの軽率なセリフで陰キャオタクは簡単に死ぬってよ……っ)
「からかってないって言ったら?」
「勘弁してください」
挑戦的な追い打ちに、ノックアウトされた九蔵は爆速で平服した。
いやもう、お手上げだ。
儚げ美人系イケメンがニヤリと笑うな。その効果音とのギャップで死ぬ。
二次元イケメンなニューイのように重すぎず、現実的に冗談程度で済みそうなものをサラリと与える桜庭。
非の打ち所のない対応だった。
エクセレント。
勘違いが起こる女性相手ではなく男の九蔵相手だからしているのだろうが、どちらもウェルカム九蔵さんには勝ち目がない。
34
あなたにおすすめの小説
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。
はぴねこ
BL
高校生の頃、片想いの親友に告白した。
彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。
もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。
彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。
そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。
同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。
あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。
そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。
「俺もそろそろ恋愛したい」
親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。
不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。
過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される
中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」
夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。
相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。
このお話はムーンライトでも投稿してます〜
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる